勘の良い相手の対処法 = 瞬殺
どうも、東方転妹録最新話更新です!
えー、今回は久々にフランが戦います。
でも、ほとんど一瞬です。
そして美鈴と小傘も一瞬です。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数分後、妖怪の山の麓。
ーーーーside フラン
月明かりによって生まれた影に紛れ、術を展開する博麗の巫女の周りを駆け回る。次の瞬間、博麗の巫女が撒いた札が辺り一面に広がり、その一つ一つが的確に私を捉えようとした。妖怪の山の木々を傷つけることのない弾幕が、風切り音をたてながら影に隠れる私へと迫り、そして四散する。
「成る程、それが『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』ですか。 幻想郷縁起には名前と推測しか書かれていなかったけど、生で見ると凄いものね」
「えっ? 裨田家が編纂してる本に、私のことが書いてあったの?」
「えぇ、人里で見ることは叶わず、それでいて数多くの妖怪達に名を知られ、幻想郷の主たる勢力のほぼすべてから守られている存在。 そんな貴女に裨田家の者が興味を持たない訳がないでしょ? それに私の神社でも唯一逆らってはならない妖怪として代々伝わっているし、貴女の精密な姿絵も神社に保管されているもの。 私の代になってからも、裨田家の者が度々神社にある書物を見に来ていたわ。 私も話を聞かれたことがあるしね」
少し前、小傘の手を引いて博麗の巫女の前に飛び出したは良いものの、私とは面識が無かった当代の博麗の巫女が何故か私に興味を持ち、勝負を吹っ掛けてきた。美鈴に小傘を守ってもらいつつ、勝負を受けたけど、どうして博麗の巫女は興味を持っていたのか…………その謎が、早速解けたようだ。
結局、原因は幻想郷のありとあらゆる知識を修めようとする裨田家にあるらしい。ここ百年程は、人里の妖怪嫌いっぷりが悪化したとかで皆に近づけさせてもらえなかったんだけど、どうにもその間に私の姿を知る人が絶え、都市伝説のように私の存在は語られているようだった。
……いやまぁ、慧音さんも自分のことがあるし、芋づる式に自分の正体がバレないよう私のことは口外しないでいてくれたんだろうけど、幻想郷縁起にある私の記述については何も思わなかったんだろうか。勤勉な慧音さんなら恐らく、というか確実に幻想郷縁起は定期的に読んでいただろうし…………でも、閲覧するにも色々手続きが必要みたいだから案外読んでいなかったのかな?
そうじゃなかったら……きっと、人里の人間達の想像する私と、実際の私を比べて面白がっていたのかもしれない。
「今度慧音さんに会ったら幻想郷縁起のこと確認しないとね。 変な記述があったら訂正しておかないと……」
「あら、貴女寺子屋の教師のことを知っているの?人里には現れていなかったはずなのに…………いや、あの方も時折人里から出ることがあるみたいだし、その時に……?」
「んっとね、慧音さんはずっと前から私の大切な友達なの! それでいて私の先生!! たまに、こうして遊んでくれることもあるんだ、よっ!!」
ーー『カタディオプトリック』
未来に考案されるであろうスペルカードルールを知らない博麗の巫女の弾幕とは違い、無駄弾の方が遥かに多い弾幕が博麗の巫女へと向かう。 美しく、それでいて幻想的で、博麗の巫女の放ったそれよりも密度の濃い弾幕は周りの木々に当たっては跳ね返り、博麗の巫女の逃げ場を奪っていく。 そして幾らかの博麗の巫女を直接狙う妖力弾が博麗の巫女の纏う結界に当たっては破裂していき、結界を削っていた。
……因みに、諏訪子を除いた御姉様やこいし達の弾幕は当人達が弾幕に付けた名前こそスペルカードのものと同じだけど、その質は博麗の巫女のそれと同じ、極力無駄弾を放つことなく相手を狙うものだった。 最近は私と諏訪子の弾幕の影響もあってか、何人かは美しさを弾幕に求め始めたみたいだけど、それでも基本は無駄弾を射たない。
多分、私と諏訪子の影響が薄いのは、諏訪子については分からないけど、私自身が元々強力な吸血鬼という種族の上位にいるということと、私の戦歴の中で一対多の場面が多かったことに起因するのだろう。 今は存在しないスペルカードルール、それを知らない者からすれば私の弾幕は攻撃性よりも強さの誇示の意味合いが強いと感じるだろうし、私の戦歴を知る者からは多くの敵を殲滅するために広範囲に攻撃しているようにしか見えないはずだ。 だからこそ、今も博麗の巫女が焦りと戸惑いの表情を浮かべているのだろう。
「こんな広範囲の術でここまで追い詰めてくる!? 広範囲の拡散系のはずなのに威力も密度もここまでだなんて……それに、能力が効かない?」
「あっ、もしかして能力使ってたの? なら貴女のために言っておくけど、私には私の能力以外の能力は効かないよ。 それと、私も一応そこそこの実力はあるからね?」
ーー『レーヴァテイン』
私の手の中に現れた曲がりくねった剣。 それは初めて見る者には変な形の棒にしか見えないだろうけど、歴とした双頭の剣である。 しかも由緒正しい魔剣、その辺りの無名の魔剣なんかより遥かに上位の魔剣なのだ。
……別に、初めて妖夢に見せた後、棒と間違えられたことを根に持っているわけじゃあない。 私の相棒をしっかりと自慢しただけ、そう、自慢しただけなのだ。
そんなことを考えながら、全身に妖力と魔力を巡らせてからレーヴァテインを両手に持ち直して腰に当てて構え、レーヴァテインにも妖力を流し込む。 そしてレーヴァテインから吹き出した焔が円上に纏まり、『カタディオプトリック』が撃ち終わると同時に『スターボウブレイク』を放ち、最も大きい虹の閃光に紛れながら博麗の巫女へ向けて飛び出した。
「っ!? 今度は直線型の拡散系の術!!!? こんな早く連発するなんて……くっ!」
ーー『二重大結界』
「おぉ……これは久しい。 小傘さん、妹様の貴重な本気の姿ですよ、これ」
「うん……決着、着いちゃうね、これ」
やはり博麗の巫女は凄い。 瞬時にとてつもない堅さの結界を二重に張り、消えかけの『カタディオプトリック』と放ったばかりの『スターボウブレイク』を全て受け流し、自身も身に纏う簡易結界を張り直すと同時に飛びかかる私への迎撃体勢を取る。
そして、私は飛びかかった勢いを利用しながら腰に当てたレーヴァテインを振り抜き…………。
「……見事。 まさかその武器で、全部の結界を砕くのではなく切り裂くなんて…………」
「居合い切りは椛から……とても優しい白狼天狗から教えてもらった私の自慢の技だもん。 この技を使って負けたりなんかしないよ?」
甲高い音と共に複数の結界に刻み込まれた一筋の線。 その線を越えた先にいる博麗の巫女の首筋には、焔を散らし、己の刀身を剥き出しにしたレーヴァテインが堂々と突き付けられていたのだった……。
ーーーーー
以上、フラン久々のバトル回でした!
妖力と魔力のダブル身体強化+妖力を込めたレーヴァテイン+居合い切り+上位の吸血鬼の身体能力+二つの弾幕による牽制
……これで今回登場した博麗の巫女を突破できなければ、霊夢突破なんか夢のまた夢ですよね、本当(笑)
因みに今回登場した博麗の巫女、名前や能力は特に考えていません。
皆さんの想像にその辺りはお任せします!
それではまた次回にてお会いしましょう!




