本当に怖いのは……?
どうも、東方転妹録最新話更新です!
先週は休止してすみませんでした。
大学で、これからの人生の岐路となる研究室配属があったため、時間を割くわけにいかず休止させていただきました。
さて、今回はフランよりも凄まじいことになる方がいますよ!
……まぁフランだし、最早周りが動いちゃうよね、うん。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーside フラン
やっぱり、おかしいと思った通りだった。
朝から御姉様達がいない、それどころか最近ずっと世話をしてくれていたこあもいない。
いざ探しに出てみようと思えば妖精メイド達からやんわりと引き止められる。
それにカーテンを開けることも許されなかった。
幾ら日光が弱点にならないとはいえ、吸血鬼なんだからたまには浴びない日もあって良い…………そんなことを妖精メイドではなく御姉様から言われたなら、おかしいと思う気持ちも忘れ、何も疑うことはなかっただろう。
「ねぇ、ルーミア…………御姉様達は、どこ?」
「ぅ……ぁ、木っ端共を、狩りに……いったのだー……」
「そうなんだ……その木っ端ってさ、さっきルーミアが投げ捨てたそこそこの妖怪だけなの?」
「よ、妖怪だけじゃないのかー……人間や、妖精も対象なのだー…………」
「ふぅん? まぁいいや…………ちゃんと答えてくれたルーミアには、これをあげるね」
「っ…………リ、リボンなのかー? 紅い……フランのものみたいな……」
ルーミアの胸を貫いた左手を引き抜き、懐から取り出した紅いリボンをルーミアの髪に付ける。
その瞬間ルーミアの意識が落ち、同時に放たれていた妖力も弱まった。
……この異変、時期的に原作でなら博麗大結界騒動に当てはまるものだろう。
そうなれば事態を収拾するには不安の種は消しておかなければならない。
故に、紫さんと藍さんから習った式の一つで今回は暴れる側のルーミアには封印を施したのだ。
……これで、記憶や判断力はそのままに力だけを封じる…………つまり、私がリボンを外すまで原作のようにルーミアの力は弱いままとなる。
「……さてと、小傘! 大丈夫?」
「えっ!? あっ、うん! わちきは大丈夫だけど……その、椛や妹紅さんが下に……」
「成る程、下の騒ぎがそうなんだね。 よし! 分身を一人つけておくから小傘はここで待ってて!」
「え、ちょっ……!!」
ルーミアを自分が通ってきた空間の歪みへ放り込んで私がさっきまでいた場所ーーー紅魔館にある私室へと送ってから能力で歪みを破壊し、すぐにフォーオブアカインドを使って分身を生み出してから、一人を小傘の傍に残したまま下の騒ぎの方へ飛び出す。
下の森の中で戦っていたのは妹紅と幽香さん、慧音さん、諏訪子、そして輝夜さん。
椛はその近くで、意識を失っているのかぐったりと倒れ込んでいた。
状況把握を終えた私は、1対4と正に多勢に無勢の様相を呈している集団に向かって二人の分身と共にスターボウブレイクを放ち戦っている妹紅さんと他の皆を分断し、間に割って入るように位置取る。
「なっ!? フ、フラン!? どうしてここに……『狩り』の間は紅魔館にいるはずじゃ……!」
「んー、だってあまりにも不自然だったもん、メイド達の様子。 それに今の諏訪子の言葉から察するに……変なこと、してるみたいだね?」
私の問いに狼狽えたのは諏訪子と輝夜さんの二人。
幽香さんは凛として堂々とした様子のまま、慧音さんは何故狼狽えているのか分からないといった様子で諏訪子と輝夜を眺めている。
……どうやら、単に首謀者達に丸め込まれた人達もいるみたいだ。
「ねぇ慧音さん! どうして妹紅達を襲ってるの? 何か理由があるの?」
「ん? あぁ、フランは聞いていないのか? 輝夜から聞けば、妹紅は結界反対派の妖怪と結託し博麗大結界を破壊しようとしているらしいからな。 頭を冷やさせる意味も込めて、一度鉄拳制裁を加えるべきだと判断したんだよ」
「私もそうね。 あの八雲紫が主導しているというのはいけ好かないけれど、博麗大結界はフランが八雲紫と話し合いながら作ったものなのでしょう? それを壊されるわけにはいかないもの。 まぁ、最近花畑を荒らされることが多いから、少し暴れたかったのもあるのだけどね」
「そっかぁ……じゃあ保証してあげるよ! 妹紅達は結界を壊すような、そんな真似はしないよ? だって私の大切な友達だもん! それに……諏訪子と輝夜さんは、別の理由があるもんね?」
そう、妹紅達はそんなことはしない。 ましてやこの騒動も実際は結界がどうのこうのの話じゃなくて、ルーミアの言葉と諏訪子と輝夜さん、特に諏訪子が狼狽えていることから、きっと私の式に関する騒動なのだということは容易に想像がつく。
結界に関する騒動なら、程ほどの実力を持った人間や妖精を諏訪子達が襲う必要はない……反対しているのは妖怪の一部だけなのだから。
それとルーミアや諏訪子、御姉様達が動いているともなれば、何気に独占欲の強い御姉様達のこと、私の式のことで何か不安になることでもあったのだろう。
つまり、この騒動…………首謀者であろう御姉様達を抑えれば収拾がつくということだ。
手始めに、目の前にいる諏訪子から…………。
「むむぅ……まぁ、フランに嘘はつけないよね、うん。 確かに私はフランの式になりうる者を狩るっていう理由で動いてるよ? 私なんてわざわざ外の世界と幻想郷を必死に行き来してフランに会いに来てるのに、実力はそこそこに、簡単にフランの傍にいることができて、フランを守ることができるなんて羨ましい限りじゃないか。 それにフランを中途半端な実力で守ろうなんて…………実に、ふざけたことを言っているようなものでしょ?」
「まぁ、私もこの騒動に乗じて妹紅を叩きのめす良い機会だと思っていたのが一番の理由ね。 それに最近は一部の妖怪が嫌な意味で煩いし、一石二鳥でちょうど良いと思ったのよ」
狼狽えていた時の姿は影を潜め、今は開き直って堂々とそれぞれの理由を語る諏訪子と輝夜さん。
諏訪子の語る理由については、狩りの本当の目的を知らなかった幽香さんもうなずいていた。
しかし、輝夜さんの語る理由を聞いた慧音さんは…………。
「……ほう? つまり輝夜は私を騙して古くからの友人である妹紅を攻撃させたと…………ふむ、成る程なぁ……」
「おい慧音、一人で殺るなよ? 私にも殺らせてくれ。 只でさえ慧音達を煽って散々殺ってくれたんだからな」
「いや、妹紅はフランを宥めておいてくれ。 私も後で誠心誠意謝罪しなければならないが……今は一教師として、輝夜の躾をしなければならないからな」
息を切らしながらも闘志を絶やさない妹紅に、慧音さんは私を一瞥した後、手を出さないように告げる。
いつもの優しい慧音さんが放つ威圧感に気付いた妹紅と輝夜さんはたじろぎ、自分には関係ないという様子で慧音さんには興味を持たず、諏訪子を傘で一叩きしてから私の方に幽香さんは歩いてきていた。
そして、幽香さんが私に辿り着いた瞬間、慧音さんが凄まじい速度で輝夜さんの傍に駆け寄り手で頭を挟み込む。
「フラン、大切な友達を傷付けてしまって悪かったわね。 今回は簡単にあの子達の話を信じてしまった私も悪かったわ…………後で傷付けた相手にも謝罪するから、許してもらえないかしら?」
「えっ、あっ、その……幽香さんのことは許すけど……慧音さんが! ほら、慧音さんが!」
「ありがとうフラン。 それとね……あまり良い光景じゃないから、あっちは見ない方がいいわよ?」
幽香さんが微笑みながら私を抱えあげつつ、出来るだけ私の視界に慧音さん達が映らないように体を動かす。
しかし、それでも慧音さん達の様子が気になっていた私は幽香さんの体の隙間からしっかりと見ていた。
そして……慧音さんの渾身の頭突きによって、上半身を一瞬で吹き飛ばされた輝夜さんの姿を、視界に収めることになってしまったのだった…………。
ーーーーー
以上、フランは抱っこ&慧音が怖い回でした!
うん、相手の面々的にフランの前では素直になるよね。
そして嘘をついたら罰を受けなきゃね、うん。
……さりげなくフランを抱っこした幽香さんには触れない方がいいかも?
それでは又次回にてお会いしましょう!




