包囲網は幻想郷?
どうも、東方転妹録最新話更新です!
お盆の前後は、本当に忙しいですね……。
さて、今回は徐々に物語が進むような単発話です!
……因みに本作のフランとレミリアはドロワーズ愛用のつもりですので御了承ください。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数日後、紅魔館の図書館。
ーーーーside フラン
皆さんこんにちは! 只今合成魔法の研究をしているフランドール・スカーレットだよ!
……とは言ってもまぁ、ここ数日合成魔法について調べ続けてるけど何も進展は無いんだけどね。
御姉様やこいし達、こあやお燐達の手も借りたりしてるんだけど……御姉様と一部の古くからいる妖精メイド以外は魔法の知識がないから、正直手伝いにならなかったの。
美鈴も、魔法が込められた魔具は使えても、魔法の理論は知らなかったし…………これは、本物の魔法使いを探すしかないよね?
「……と、言うわけで旅に出ようと思います!」
「分かったよフラン、暫く私の部屋でお茶をして旅は中止しよっか」
「えぇっ!? そんなの酷いよ! ぬえの分からず屋!」
「わ、分からず屋って…………」
合成魔法の研究には必要不可欠だと考えられる幾つかの魔導書を図書館から持ち出し、いざエントランスから飛び出そうとした時にぬえに見つかり、その場で捕まってしまった私。
何の説明もせずに旅に出ると宣言した私にぬえは呆れた顔をしつつ優しく私の頭を撫でてくれていた。
それにしても、以前はこいし、そして今回はぬえに捕まってしまったけど、別に逃げ出せないことはない。
そう思って、こいしの時と同じように分身を作り出そうとすると…………。
「はい、分身は作らせないのかー」
「えっ!? ル、ルーミア!? 何時からそこに……」
「ぬえのリボンにある宝石を見るのだー。 あれが私の腕輪と繋がってる魔具なのかー」
「そういう訳だよフラン、私は、まぁ……なんていうの? フランの姉さんに風紀保全委員長とか呼ばれる紅魔館の内部の風紀を守る長の役割を担ってるしね。 守護総帥のルーミアと繋がってるのは当然でしょ?」
「し、知らない内に二人とも肩書きが凄いことになってたんだね……」
突如背後に現れたルーミアに両肩を軽く掴まれ、分身を作り出そうと集めた妖力をひっそりと散らされる。
しかしそのことに特に驚くことはなく、私はルーミアの腕輪とぬえの胸元にあるリボンに付いた宝石を交互に見比べ、私の知らない内に二人の肩書きがとてつもないことになっているのに驚いていた。
……でもそうなると、御姉様は紅魔館当主って肩書きなのは変わりないだろうけど、私の肩書きって何なんだろう?
原作のように、悪魔の妹とか恐怖の波動とか呼ばれてるのかな!?
「ねぇねぇ! 二人の肩書きが凄くなってるのは分かったけど、それなら私の肩書きとかあるのかな!? もしもあるなら……こう、威厳のあるやつだよね!?」
「フランの肩書きなのかー?」
「それは当然……」
「「『可愛い一輪の百合の花』だよ(なのだー)」」
「……ぬえもルーミアも御姉様もだいっきらい!」
「「………………え?」」
ーーー…………パリーン……。
私の言葉に固まるぬえとルーミアを置いて、どこからか聞こえてきた陶器の割れる音に紛れつつエントランスの扉を開けて外に飛び出す。
まだ春先の日の高い昼間だから御姉様も追ってこれないだろうし、ルーミアもほんの少し、雀の涙程だけ制限がかかるかもしれない。
ぬえは元々私より身体能力が低いから全力で飛び続ければ問題ない。
それにこのまま博麗の巫女も生まれ結界が強化された幻想郷を飛び出せば、皆もそう簡単に追い掛けて来れないはず。
……決して皆肩書きがカッコいいのに私だけカッコよくなかったのが嫌だった訳じゃないんだからね!
「えっと……幻想郷を出るなら紫さんに頼めばいいだろうけど、もしかしたら紫さんにも止められるかもしれないし…………でも結界は壊しちゃダメだよね……?」
「あやややや……そうですねぇ、結界を壊したら流石にフランさんでも八雲紫に説教されて、ついでに一年間位愛でられ続けますよ、きっと。 ねぇ椛?」
「まぁ一年間もフランさんを独占される訳にはいきませんし、その時は助け出しますから安心してくださいねフランさん」
「うん、ありがとう椛…………って、何時からそこに!?」
頭を捻りながら飛んでいた私の両脇に、こっそりと着いてきていた文お姉さんと椛に気付き、驚きの声をあげる私。
紅魔館を飛び出すまではいなかったから、もしかしたらとにかくまっすぐ飛んでいた私を見つけて着いてきていたのかもしれないけど…………それにしても、さっきの私の驚き方には何かデジャヴを感じる……。
「あやや……何時からと言われれば、丁度フランさんが紅魔館を飛び出した位からですね。 ほら、これを見てください。 百年ほど前にレミリアさんが全ての知人に配った、『フラン暴走緊急通知用魔具』です」
「フランさんがまた突拍子もない行動をした時に、紅魔館が周囲に緊急で援助を求めるために配られたんですよ。 今回は封獣さんから連絡が届きましたけど、一体何のために幻想郷を出ようと? フランさんが何か必要なら、妖怪の山の方で用意しますから山まで来ていいんですよ」
「えっと、あ、ありがとう……御姉様には後で詳しく話を聞かないといけないね…………」
百年程前に知人全てに配ったっていうことは、御姉様のことだから私との共通の知り合いに、このとんでもない魔具を配ったはず。
そうなると地霊殿、マヨヒガ、永遠亭、妖怪の山、人里、三途の川、太陽の畑、それ以外の放浪している個々人全てに配られたってことになるから…………ほぼ幻想郷全体が私の包囲網になってると考えて良いのだろう。
私はただ、本物の魔法使いを探して合成魔法について聞きたいだけなんだけど…………。
……あぁ、でもまだパチュリーでさえ生まれたばかり位なのかな?
ーーースゥゥ…………。
「まぁ、つまりそういうことよフラン? 幻想郷の外に用があるなら私が代わりに調べておくから、教えて御覧なさいな」
「紫さん……えっと、自分で調べたいっていうのはダメ?」
「うぐっ……!? ま、負けてはダメよ紫……フランの上目遣いの可愛さに負けては…………フ、フラン? 危ないから、ね?」
「そんなぁ…………」
「「「ブフッ!?」」」
文お姉さん達と同様に魔具から連絡を受けて来たのか、スキマから現れた紫さんにおねだりをしてみたものの失敗してしまう。
失敗したことに思わずスカートの裾を握りしめながら俯いた瞬間に周りから赤い何かが飛び散ってきた気がしたけど、落ち込んでしまった私には興味を持つことなんてできなかった。
「じゃあいいもん、藍さんにお願いしてみるもん……!」
「あっ、ちょ、フラン!? 脇から潜り込むのは…………ブフォッ!!!!!?」
「あややややややややや!!!!!? フ、フランさんスカート…………ブファッ!!!!!!」
「そ、それは反則……ブッフゥゥゥ!!!!!?」
紫さんが上半身を乗り出しているスキマに、紫さんの体を押し退けるように潜り込んで行っている内に三人から濃い血の臭いが漂ってきたけど、流石に今の私には血さえも興味の対象ではなく、ただひたすらに結界を管理するもう一人の妖怪である藍さんの元へ行こうともがきながら足をバタつかせていたのだった……。
ーーーーー
以上、フランの血の旅立ち(?)回でした!
……ドロワーズですよ、ドロワーズ。
フランのドロワーズです!
フランの上目遣いとうつむきスカート掴みです!
……想像だけで昂りますよね?
それではまた次回にてお会いしましょう!




