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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第5章~黒歴史魔女、参上~
246/283

中間管理職はつらい?

どうも、東方転妹録最新話更新です!



えー、今回は美鈴視点より、新キャラが二人登場しますよ!


……正確には、二匹、しかも一度登場済みですが(笑)



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー数日後、紅魔館並びに地霊殿合同会議室。

ーーーーside 美鈴



さて、私はここで一体何をすれば良いのでしょうか?

……いえ、やるべきこと、というか言うべきことは分かっています。

しかし、例えどんなに上手く立ち回ろうとも私の行く末など分かりきったこと……今日はとても気持ちの良い天気で、紅魔館の庭にある花壇のバラに気分良く水やりをしていたはずなのですが…………どうやら御嬢様は、私が落ち着いた一日を過ごす運命は許してくれないようです。



「それではこれより、紅魔館当主こと私、レミリア・スカーレットと!」


「……地霊殿当主、古明地さとりの両名の名の下に」


「「フランを私達から奪い独占し続けているあの小悪魔ならぬコソ泥対策会議を始めるわ(始めます)!!!!!!」」


『『『オォォォォォォォォ!!!!!!!!』』』


「お、おー……」



以前御嬢様と妹様が掘った紅魔館と地霊殿を結ぶ通路、その通路の中間に160年くらい前に作られた紅魔館並びに地霊殿合同会議室の中で、有志の者達を集めた何とも形容しがたい会議が凄まじい咆哮と共に始められた。

無論、その咆哮の中で気配を殺して静かに声を上げてみたのは私です。

この会議はこあさんが妹様に付きっきりなせいで妹様と触れ合えないことを嘆いた面々の集まりなのですが…………さとり様にバレないように思い返すと、こあさんじゃ妹様には着いていけない運動面の遊び相手は私と、ある二匹の計三人で全部受け持ってましたから、私はそんなに嘆いたりしてないんですよね。

妹様はどちらかといえば体を動かす方がお好きですし。

むしろ、今この状況に巻き込まれたことの方が私にとっては嘆かわしいですよ……!!



「それでは本題に入る! 今回の課題だけれど……ズバリ! 如何にして小悪魔もといコソ泥をフランから引き離すのか、よ!!!!」


「……先にこれまでの戦績を振り返えると、お菓子やお茶会でフランを連れ出す作戦はコソ泥もとい強盗のお菓子をフランが気に入っていたことにより失敗、続くぬいぐるみでフランを呼び込む作戦も強盗もとい凶悪犯罪者がフランと共にぬいぐるみを作ることでフランの興味を一身に集めていたため失敗」


「それと、いっそのこと寂しいという気持ちをフランへ素直に伝える作戦も一時的に成功したけれど、一週間もしたら元の木阿弥になったわね」


「……紅魔館特製飴玉を大量にあげる作戦も、まさかのフラン自身が凶悪犯罪者もとい世紀の犯罪者と一緒に食べると言い出す始末でしたし…………」


「ここ50年、私達は敗北を重ねてきたわ。 でも、それだけで終われるはずはないのよ……」


「……そう、私達は負けるわけにはいきません。 私達は勝利を、フランをこの手に収めなければならないのです!」


「その為に新たな作戦が必要よ! さぁ、何か名案がある者は早速挙手をなさい!!」



御嬢様とさとり様の演説が途絶えた途端、会議室の空気に大きな緊張感が生まれる。

この場にいる面々ーーー御嬢様、さとり様、ルーミア元帥、ぬえさん、こいしさん、パルスィさん、そして私とさとり様のペットである二匹、火車の火焔猫燐さんと地獄烏の霊烏路空さんの全員が、場の空気に呑まれまいと気を引き締めながらも沈黙を保っていた。

……ただし、パルスィさんは無言で嫉妬に荒れ狂う御嬢様達を見て喜んでいるだけで、お燐さんとお空さんは私と同様、早くこの場から逃げ出したいという気持ちが全身から溢れている。

先に述べた私以外の妹様の遊び相手、それがお燐さんとお空さんで、妹様にとてもなついているとはいえ私と同様に危機感を感じるほど妹様と触れ合えていない訳ではない。

故に、本来ならこの二匹も会議には参加しなくてよいのだ。


「にゃ、にゃ~ん…………美鈴さん美鈴さん、これ、どうすれば良いかな? 私まだ250年くらいしか生きてないのに、ここで死にたくないよぉ…………!」


「うにゅ……お燐、泣かないで? こういう時はフラン様の所に行けば助かるって前に美鈴さんが教えてくれたでしょ?」


「えぇ、確かに伝えましたね……まぁ今回の場合、行けるかどうか分かりませんが…………」



沈黙を破り、こいしさんがこあさん抹殺作戦の提唱を始めた瞬間に私の両脇の席に着いているお燐さんとお空さんがヒソヒソと話し始める。

お燐さんに至ってはあまりの迫力に泣き出してしまっている程だが、正直に言って、泣き出したいのは私の方だ。

円卓を囲んで会議は行われており、特に私とお空さんは最も扉に近い位置に座っているとはいえ、対面に位置する所に座っているのは御嬢様とさとり様。

さらに私の左隣にいるお燐さんに至っては隣の席がぬえさんで、対面があのルーミア元帥だ。

お空さんの隣はこいしさんとの間にパルスィさんが座っているから、間にクッションがあるが…………。



「誰かお客さんが来た場合は私とお空さんは出られるでしょうが、席の位置的にお燐さんは……」


「にゃん…!? それは酷いよ! 私に奇跡は起きないっていうことなの!?」


「お燐さん、声が大きくなってますよ……! それと、全く起きないってことはないでしょうが、それでも妹様がお燐さんを直々に指名して呼びに来るとかでない限りは……きっと…………」


「うにゅにゅ…………それってつまり、奇跡中の奇跡ってことだよね……?」


「うにゃぁぁ~~……!!!?」


「こらそこ!! 大切な会議中に私語は止めなさい!!!! それとも、何か名案があるのかしら?」


「も、申し訳ございません!! 今こうしている間も、妹様のことが気になっていました!」



明らかに気がたっている御嬢様に見つかり、思わず妹様のことを話にあげてしまった。

勿論、妹様の奇跡的な登場を願っていたのだから言っていることも嘘ではないのだが…………。

……しかしこの時、私は妹様のことを侮っていたのだと、後々心底感じることとなる。



「そう、それなら良いけれどね。 ただ私達もフランのことが気になるのは同じ、それでもがむしゃらにやってて何も効果はなかったのだから今は話し合わなければならないの。 だから、今は気持ちを抑えて頂戴……」


「はい、本当に申し訳ありませんでした……」



深刻な表情で俯きながら語る御嬢様の姿を見て、なんとか許してもらえたのだと察しほんの少しだけ安堵する。

それと同時に御嬢様も如何に追い詰められているのが感じられ、先程まで逃げ出したいと思っていた自分が恥ずかしく感じた…………その時だった。



ーーーバタンッ!!


「あー! お燐ったら皆とここにいたんだね!! 紅魔館と地霊殿、どっちを探しても中々見つからないし、皆にも会えなかったから心配したよ!! 」


「フ、フラン!?」


「にゃにゃっ!? 御足労掛けてごめんなさいフラン様、どうされたのですか?」



ノックも無しに勢い良く飛び込んできたのは、どうやらお燐さんを探していたらしい妹様。

笑顔で嬉しそうにお燐さんに近寄る妹様の姿に、私はおもわずさっきの会話を思い出していた。



「ねぇ御姉様、話し合いをしてるときに悪いんだけど、ちょっとだけお願いして良い?」


『誰かお客さんが来た場合は私とお空さんは出られるでしょうが、席の位置的にお燐さんは……』


「えぇ、私の可愛い、大切な大切なフランの頼みだもの! 何でもどうぞ?」


『にゃん……!? それは酷いよ! 私に奇跡は起きないっていうことなの!?』


「やったぁ!! えっとね、夜になったら二人で一緒にお散歩したいっていうのと……」


『お燐さん、声が大きくなってますよ……! それと、全く起きないってことはないでしょうが、それでも妹様がお燐さんを直々に指名して呼びに来るとかでない限りは……きっと……』


「今から地底を探検してみたいから、お燐を連れていきたいの! 明るく道を照らしてくれるから!!」


『うにゅにゅ……それってつまり、奇跡中の奇跡ってことだよね……?』


「あらあら、元気一杯ね? お燐を連れていくのは良いけれど、ちゃんとはぐれないように手を繋いでおくのよ? それと、夕飯までには帰ってくること、良いわね?」


『奇跡中の奇跡ってことだよね……?』


「はーい!! ありがとう御姉様!!」



……奇跡が起きたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?

えっ、ちょ、えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!?



「よしっ、じゃあ行こっかお燐!」


「は、はいですにゃ!!!!」



お燐さんの手を取り、扉を抜けて地底の方へと姿を消していく妹様。

明らかに妹様の一言で上機嫌になった御嬢様の気配と、逆に不機嫌になった他の面々(お空さんもお燐さんに嫉妬していたようだ)の邪気を背後に感じつつ、私はただただ奇跡的かつ嵐のように消えていった妹様の背中を目で追おうと、もう誰もいない扉の外を見つめ続けていたのだった…………。





ーーーーー

以上、おりんりん助かる回でした!



……お燐とお空、口調あれでよかったかな?

何となく不安を感じてしまった……(笑)




それではまた次回にてお会いしましょう!

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