姉の想いと妹の想い
どうも、東方転妹録最新話です♪
今回は前夜の宴会まで持っていくつもりが、フランとレミリアの再会だけになってしまいました。
……しかも今回、初めてフランsideがありません!
完全なレミィ回になっていますよ!
それでは楽しんでいってください♪
ゆっくりしていってね♪
ーーーーside ルーミア
一体あの人は誰なのかー!?
フランの危機に颯爽と現れて、本当に見事な手際であの妖怪を殺すし、しかもフランに御姉様って呼ばれてたのだー!!
「……こいし、フランにお姉ちゃんがいるって、聞いたことあるー……?」
「えっと……直接聞いたことはないけど、フランが前に都で『私は御姉様と同じ誇り高き吸血鬼だもん』って叫んでた事があるから、いるのは知ってたよ」
「……そーなのかー」
こいしでも直接は聞いていないっていうことは、フランが私達に言わなかったってことになるけど、何でお姉ちゃんがいるって教えてくれなかったんだろう……?
今もフランはお姉ちゃんらしい人の方を向いて驚いていているだけで嫌っている様子は見られないし、これまでも同じお姉ちゃんのさとりがいたから思い出せなかった訳じゃないだろうし…………。
それに何よりも……
「……お姉ちゃんがいるって教えてくれてたら真っ先に挨拶に行ったのかー……」
「私も教えてもらってたなら、お土産とか持っていったりしたのになぁ……」
少しむくれた様子のこいしも考えたことを同じみたい。
……まぁこいしよりも私の方が良い印象を与えるはずなのだー……!!
「……あの方が実姉……?そんな……私がフランの姉になったつもりだったのに、まさか本当の姉がいただなんて…………」
「「…………」」
……さとり、ショックを受ける理由が何かおかしくないかー!?
本人は口元に両手を添えて顔を青ざめさせているから本気でショックを受けているのは分かるけど……!
……3人でそんなやり取りをしていたら、フランがゆっくり震え始め…………
「…………お、御姉様の……御姉様のバカァァァァーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
「「「「…………えっ?」」」」
……な、何で助けてくれたお姉ちゃんに怒ってるのかー!!!!!?
ーーーーside レミリア
「…………お、御姉様の……御姉様のバカァァァァーーーーーー!!!!!!!!!!!!」
「…………えっ?」
フランの危機に、颯爽と現れ華麗に助けたはずなのに……な、何で私は怒られているのかしら?
グングニルで串刺しにした奴は、どう見てもフランの友人とかでは無かったわよね?
どう考えても私にマイナス面はないはず……。
…………もしかして私って、フランに嫌われてる!!!?
「御姉様のバカ!!!!
バカバカバカ、バカァァァァ!!!!!!!!
どうして殺しちゃうの!?
私、そいつを殺そうとしてなかったの何処からか見てたよね!!!!!?
大好きな御姉様の気配と視線を感じてたから分かってるもん!!!!
第一、私は100年は帰らないって手紙に書いてたでしょ!!!?
あれって御姉様とは100年は会わないって意味だったんだよ!!!!!?」
「えっ!? ちょっ、それって一体どういうこと!!!?」
顔を真っ赤にして叫ぶフランに思わず大声で聞き返してしまった私。
……フランが月面戦争の戦力を減らしたくなかったのは分かるし、大好きって言ってもらえたことに体が震える程の歓喜も感じているのだけど…………100年は会うつもりはなかったって、どういうことなの!!!?
「御姉様と別れてから丁度100年目の時に、綺麗な百合の花を御姉様に渡したかったの!!!!!!
…………日の本の国、ジパングで使われている文字で『百』に『合う』って書くって本を読んで知ったから、『百年目の出会い』って意味を込めて、御姉様に渡したかっただけだもん……。
それまでに会っちゃったら、意味がないよ……」
「フ、フラン…………」
そう言って、紅い瞳を潤ませ始めるフラン。
まさか、フランがそんなことを考えていたなんて……。
……まったく、私って気が利かない姉ね。
本当に自分のことが嫌になっちゃうわよ……。
……でも今は、そんなことを思っている場合ではないわね。
「……フラン?」
もうすぐ泣き出してしまいそうなほどに、瞳に涙を浮かべるフランに呼び掛けながら、私はフランに歩み寄っていく。
「お、御姉様……?」
急に歩み寄り始めた私に戸惑っているフラン。
そんなフランを……私はーーーーー
ーーーー……ギュッ……ーーーー
ーーーー華奢なフランの体が壊れてしまうのではないかと思うくらい、強く、強く抱き締めた。
「……ごめんね、フラン。
フランが、そんな素敵なことをしようとしていたことに気付けなくて…………」
「あぅっ……御姉、様……?」
私の抱き締める力に、少しだけ苦しげに身を捩りながらこちらを見つめるフラン。そんなフランを決して逃がさないように、さらに強く抱き締める。
「でもね、フラン。
私は100年も待たされたなら、例えフランから素敵な百合の花を貰ったとしても、きっと喜ばなかったでしょうね」
「えっ……!?」
私の発言に、フランは少しだけ身を離して体を固まらせながら、驚きの感情に満ちた眼差しを向けてくる。
そして私は、その眼差しを両目で受け止めながら話を続けた。
「例え素敵なシチュエーションで美しい百合の花を貰ったとしても、その百合の花にフランと過ごせたはずの100年に値する価値はないわ。
フランと一緒にパンを食べて、一緒に勉強をして、一緒に遊んで、一緒に沢山の思い出を作る…………そうやってフランと共に生きる時間ほど、かけがえのないものは存在しないのよ?」
「あっ…………!」
……フランと共に生きる時間に変えられるものなど、この世にあるはずがない。もっと言えば、100年もフランと共にいられないだなんて、私には受け入れられないのよ。
……私とて始めは100年ぐらい平気だと思っていたわ。
次にフランと会う時までに、より素晴らしい姉になろうと決意していたもの。
……でも、ある時気付いたの。
フランという『大切な妹』が側にいないのに、私が本当に『より素晴らしい姉』になることができるはずがない、と。
そうは言っても、フランは側にはいない。
だから、色々理由をつけて100年が経つのを待とうとしていたわ。
でも…………
「……私は待てなかったのよ。
もし、家を出ていったフランが何処かに定住してしまって、紅魔館に、私のところに帰ってこなかったらと思ったら……どうしようもなく不安で、いてもたってもいられなかったの」
だから、フランを追ってここまで来たのよ。
こうやってフランと会うため……自らの両手でフランを抱き締めるために。
「…………ごめんなさい、御姉様。
私、自分の事ばっかりで……御姉様のことを何も考えられてなかった…………。
本を読んだりして引きこもってばっかだった私を、あんなに愛してくれた御姉様なら絶対に悲しんじゃうって、ほんの少し考えれば誰でも分かることなのに…………!!」
私の気持ちを察したのか、自分がしてしまった行動を悔いながら謝るフラン。
まるで雪のように白く細い両腕で私の力に負けないほど強く抱き締め返し、紅く綺麗な瞳がある可愛らしい顔を私の首筋に埋めて、その小さな体を震わせていた。
……首筋に、冷たいけれどどこか暖かいモノがつたっているのを感じる。
「……泣かないでいいのよフラン。
今、こうして愛しい貴女と再会して、自分の両腕で抱き締めることが出来てる。
だから全然悲しくないし、それに、とても嬉しいもの…………!!!!」
「……ヒグッ……ウゥ……お、御姉様ぁぁぁぁ!!!!!!!!」
遂に大泣きしてしまったフラン。
泣かないでって言ってるのに、本当に泣き虫なんだから……。
……フランの笑顔が見れるのは、もう少し先になりそうね。
そう思いながら私は、泣きじゃくるフランを抱き締め続けていた…………。
ーーーーー
ーーーー十四夜の月の夜。妖怪達が集う場所で、月明かりに照らされて抱き締め合う姉妹の姿と、それを優しく見守る3人の妖怪達の姿があったーーーー。
ーーーーー
以上、レミリア回でした!!
…………今回、何故第3話の書き置きで『100年以上は帰りません。』と書いてあったのかが分かりましたね。
まぁ、あまり気になっていた方はいなかったと思いますが。
さて、次こそは前夜祭に入りますよ!!
ようやくレミリアとルーミアとこいし、そしてさとりが顔合わせをします♪
それではまた次回にお会いしましょう♪




