姉は強し
どうも、東方転妹録最新話更新です!
えー、今回はフランが狡猾です。
だって吸血鬼(悪魔)だから嘘はつけないですからね(笑)
そしてやはり……姉は強し。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー廃寺(?)の一室。
ーーーーside フラン
こいしに押し倒され、口付けをされながらこっそりと視線を動かし周りを伺う。
未だに驚いて何が起きたか分からずに呆然としてる小傘と顔を赤くしてこっちを見つめるムラサが視界の端に写り、ナズーリンと星の姿はこいしの体で遮られて見えない。
恐らく星は小傘同様に呆然と、ナズーリンは私とこいしの姿を見ながら体の疼きの高まりに身を委ねているのだろう。
ともすれば、星と小傘、ムラサはともかくとしてナズーリンは助ける所かこいしと一緒に私を襲おうとしてきかねない。
……まぁ、こいしがナズーリンを追い払うんだろうけどね。
「ん……ぷはっ、さぁフラン? お誂え向きに布団があるし、今日はたっぷり繋がろうね?」
「えっ!? いや、皆が見てるよ!?」
「いいのいいの、フランが私のものだって見せ付けるには丁度良いから! それに……邪魔をしようとすれば、潰すだけだしね」
「台詞がオーエンの時の私みたい!!!?」
良い感じにこいしが狂ってきているのを実感しつつ、こいしが体を起こしたことによってこいしの背中越しに少しだけ星とナズーリンの姿が見えた。
予想通り、ナズーリンは興奮を高めているようで今か今かと興奮が最高潮に達するのを待っているようで、星は何故か自分の背中を撫でていた。
……うん、星は絶対にこいしの言葉と私のツッコミで、私に背骨を折られた時のことを思い出してるね。
でも、何度でもそのことは謝るから出来れば思い出す前にこっちを助けてほしいなぁ……!
「さて、それじゃあそろそろ脱がしていくね……?」
「つ、遂に……始まる、の…………!?」
「おぉ……おぉぉ…………!!!!」
そうして星に気を取られている内にこいしが私の服に手を掛け、明らかに耳年増のような反応をしているムラサが両手で顔を隠しながらも指の間からこっちを見ており、ナズーリンに至ってはいつ飛び掛かってきてもおかしくないくらいに興奮が高まっているのが伺えた。
……何だろうね、この一部屋に色々吹っ切れた人と何気に初な女子中学生とド変態犯罪者予備軍とのんびりお子さまと天然お姉さんと唯一の常識人がまとめて押し込まれてるみたいな感じは。
勿論唯一の常識人は私だよ! それ以外は……まぁお察しの通りだね。
…………ってこんなことを考えている場合じゃなかったぁぁ!!!!!?
「ちょちょちょ、こいしっ!? ほら、あれ見てあれ!」
「……はぁ、フラン? 今さらそんな手には引っ掛からないよ? 私の気を逸らして逃げようなんて、そんな悪いことを考えるフランには罰が必要だね?」
「いやいや、違うよ!? 本当にナズーリンがヤバいの!! 本当だってばぁ!!!!」
「んー、全く、フランったらしょうがないなぁ……」
スカーフがほどかれてボタンが外されてたりしたところで、やっとこいしが馬乗りのまま後ろを振り返ってくれた。
勿論そこには本当に危険な状態の発情ナズーリンがいるから、嘘は言っていない。
でもようやくこの状況を抜け出せるであろう瞬間を、私が逃す訳も当然なく…………。
「すぅぅ…………レミィ御姉様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
「えっ!? ちょっ、フランったら何でこの状況で他の女の名前を呼ぶの? いいかげんにしないと本気でーーー」
「ーーー本気で、どうするつもりなのかしら? あぁ、それにしてもフランからレミィ御姉様って呼ばれるのも良い気分ね! 今度からはフランにそう呼んでもらいましょうか」
「っ……!?」
呆れてナズーリンを見ていたこいしが、慌てて私の方に振り返り怒った表情を見せる。
こいしが疑ったように逃げてもいないしナズーリンが危険なことも嘘ではない、ただ私の中で最も信頼している相手を呼んだだけだから、私は文句を受け付けるつもりはなかった。
私だって吸血鬼、嘘はつかない。
第一、これはほぼ賭けに近かったわけだし…………まさか、呼んだその瞬間にこいしの真上に浮かび不敵な笑みを浮かべる御姉様が現れるとは思っていなかった。
絶対に助けてほしかったから、初めて呼ぶ愛称付きで御姉様を全力で呼んでみたんだけど、ここまで効果覿面だったなんて……。
「さぁ、本気でどうする気だったの? 私の愛しくて堪らない大切なフランに」
「……これから繋がろうって時に他の女の名前を呼ぶんだもん。 本気で怒ろうとしただけだよ…………」
「あら、そう? でも無理矢理繋がろうとしてるんだから、他の女の名前を呼んでもおかしくはないんじゃないかしら」
「っ! 無理矢理じゃないし!! フランだって逃げようとしてなかったもん!! というかどうやってそこに現れたの!?」
「どうやってって、ただ運命をねじ曲げただけよ?八雲紫がスキマを開いた時に、私もそれまでフラン以外の貴女達の後ろを着いていって、こっそりスキマをくぐったって運命にね。 フランには能力が効かないからフラン以外ってしないといけなかったけれど。 ……それと、逃げなかったとはいえ他の女の名前を呼ばれた時点で流石に合意の元とは言えないわ」
「っ…………!?」
御姉様の畳み掛けに完全に押され、こいしが言葉を詰まらせる。
グングニルを喚んでいたり妖力や魔力を纏っている訳じゃないけど、御姉様から発されている雰囲気には何か下手な真似をすれば即座にこいしを抑え込むという圧力を感じることができた。
普段の私の姉として、紅魔館の主としての御姉様相手なら例え圧力を掛けられてもこいしは反抗しただろうけど、今はどうみても御姉様の様子が違う。
……明らかに、一人の誇り高き吸血鬼としてこいしに向き合っているからこそ、その威厳にこいしはこれ以上逆らえないでいた。
…………ただ、例え一人の誇り高き吸血鬼として存在していても、私のことを愛しくて堪らない大切な存在だと言い切ってくれたことは本当に嬉しいな!
「さぁこいし、そこを退きなさい。 フランは私のことを所望しているわ。 それに後で紅魔館に戻った時のことを考えると一瞬でも長くフランに癒されていたいし……分かるわよね?」
「く、ぅぅ……!!」
「そう、良い子ね…………あら、良かったわね、こいし?」
「フ、フラン…………」
こいしの横にまで降りてきた御姉様の言葉とそこに含まれた圧力を感じたこいしが、悔しげな声を上げながら私の上から退く。
そして御姉様が私の体をゆっくりと起こしつつ、私の右手がこいしの左手を掴んで離していないのを見て不敵に微笑み始める。
同時に、こいしは瞳を揺らしながらどうしたらいいか分からないといった感じで私を見つめていた。
「ありがとう御姉様! でも、どうやって私がピンチだって分かったの? まさか私の呼んだ声が聞こえたとか、そんなことはないよね?」
「ふふっ、それは貴女のスカーフをよくよく調べてみると良いわ、フラン。 それと、またレミィと呼んで欲しいのだけれど……?」
「スカーフかぁ…………んっと、それじゃあレミィ御姉様? こいしも一緒で良いよね?」
「あらあら、勿論フランが望むままに……好きになさい?」
「やったぁ! ほらっ!! こいしもこっちに寄ってよ!!」
「え、えっ……!?」
甘えるように御姉様に身を寄せながら、繋いだままのこいしの左手を引っ張り、私と同じように御姉様に身を寄らさせる。
気まずそうにしながらも私の手に導かれるままにこいしが御姉様に身を寄せたのを確認すると、御姉様はその大きく立派な翼を広げ、ゆっくりと私とこいしを包み込み始めた。
……ふぅ、やっぱりこれが一番落ち着くなぁ!
それにしてもスカーフか……後でちゃんと調べとこっと!
「さぁて、私の翼の中はどうかしら? そこの発情鼠はきっちり防いでおくし、星と聖白蓮にはある程度話をつけておくから、二人ともこのまま寝てしまいなさい。 小傘は……まぁ、星に任せることにしましょう」
「ありがとう御姉様! とっても暖かくて、御姉様の匂いがするから凄く気持ちいいよ!! ねっ、こいし?」
「う、うん! それに、フランもいるし!!」
「あらあら、嬉しいことを言ってくれるわね? こいしはぶれてないようだけれど……さっ、おやすみなさい。 二人とも楽しい月夜の夢を見るのよ?」
「「はーい!」」
元気よく返事をしつつ、こいしと一緒に完全に体の力を抜いて御姉様に身を委ねる。
優しく撫でてくれる御姉様の手のひらの吸血鬼らしい温もりを頭で感じながら、私はゆっくりと意識を夢の世界へ沈めていったのだった……。
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以上、フランに甘々カリスマレミィ回でした!
……うん、まともなレミィが登場させられたことに凄い感動を感じています!
ちょっと小悪魔なフランも書けましたしね!
それと、最近コメントへの返事が滞っていることについて、本当にごめんなさい。
時間を取るのが中々厳しく、この後も実は課題とテスト勉強に忙殺されそうだったりします。
更に、これは自業自得なのですが先日バイクを洗車していて右腕(利き手)の普段使わない筋を痛めるというアホをやらかしてしまいました。
……犬が喜ぶようなタイミングで雨を降らせるバイクにツッコミ入れながら洗車してたらなっちゃったorz
そんなわけで、現在返信の目処がたっていない状態です。
ですが、後日まとめてきっちり全部返信させていただきますので、どうかもうしばらくお待ちください。
それでは又次回にてお会いしましょう!




