話を聞かないからこうなる byこいし
どうも、三週間ぶりの東方転妹録更新です!
……もうね、休みが休みにならないってなんなのさって気分ですね、本当にorz
そして今回はこいしが始まります(どういう意味かはお察しください)!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数十分後、廃寺(?)。
ーーーーside フラン
ナズーリンにとんでもない力で寺まで連れ去られてから十分、ナズーリンに寺へ引きずり込まれる私を見掛けた星が助けに来てくれてから八分、そして後から追い掛けてきていたこいしと小傘が寺に着いてから二分…………私は、最早周りの状況の変化に着いていけなくなっていた。
「こぉんの……発情ネズミがぁぁぁぁ!!!!!!」
「幾らナズとはいえ、フランさんに手を出すのは許されませんよ!!!!」
「ぐっ!? 発情期であることは認めよう!! しかし先に手を出したのは他でもないフランさんだ!!!! 故に私はそれに応える義務がある!! フランさん相手なら私も嬉しいしな!!!!」
明らかに綺麗に整備されて廃寺とは呼べなくなった寺の一室で、私を背に星とこいしに対峙するナズーリン。
私の足元には布団が一組敷かれていて、もしもう少し星達が駆け付けるのが遅ければ私は本当に襲われていただろう。
……確かに先に手を出したのは私かもしれないけど、別にえっちぃ意味で誘ったとか、そんなんじゃないんだけどね……。
怯えて固まるナズーリンを落ち着かせてあげようと思っただけなのに……どうしてこうなった!?
「ねぇねぇフラン、大丈夫? あちきがいるからもう安心してね!」
「ちょっとあの様子のナズ達は怖いけど、一応私もいるし、フランさんの盾にはなれるんじゃないかな……?」
「ありがとう小傘!! それと、ムラサもいざとなったら私が助けるから大丈夫だからね?」
「……あれ? 助けるはずの私が助けられかけてる…………?」
そこら辺は気にしたら負けだと心の中で呟いておくとして、とにかく目の前に広がる一触即発な状況をどうにかしないといけない。
こいしはきっと私が話し掛けたら止まってくれるだろうし、星もナズーリンが落ち着けばナズーリンにお話をするだけで終わるはず。
後の問題はナズーリンを落ち着かせてあげないといけないってことだけど……私が手を出したら、また興奮するかもしれない。
……何だか最近、私のやることなすこと全部裏目に出てるような気がするんだよね…………。
「……そうだ! あれなら上手く皆を落ち着かせられるはず!!!!」
「へっ? フラン、あれって何なの?」
「……何だろう、すごく嫌な予感しかしない…………」
星は槍を、こいしは札を、ナズーリンは二本のダウジングロッドを構えて対峙している様子を視界に収めつつ、私は魔力を右手に集める。
普段の私なら妖力を使うにしても魔力を使うにしてもレーヴァテインの影響か、以前も使った通り五行の中では特に火を操っていることが多いけど、別にそれ以外のモノを操れない訳ではない。
むしろいずれパチュリーが紅魔館に来たときに驚くかもしれない位には、五行全ての魔法を使える。
……幾ら私といっても無駄に紅魔館でのんびり過ごしてた訳じゃないんだからね!
「……ごめんねムラサ、ちょっとこの部屋痛むかも」
「えっ……?」
ーー『ベリーインレイク』
ーーーズシャアァァァァァァァァァァァァッ!!!!!!
「ぬっ!? な、なんだ!!!?」
「み、水の妖術ですか!?」
「違う、これは魔法だよ……って、きゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」
ナズーリンは私を背に星とこいしに対峙している、つまり私からしたらナズーリンと星とこいしはほぼ一直線上に並んでいるわけで、大体二時と十時の方向を塞ぎ逃げ道を奪ってから相手を押し流すベリーインレイクなら、三人まとめて水に呑ませることが出来るのだ。
星とこいしが飛び込んできたときに襖は開いていたし、その外はそのまま縁側で庭に直通しているから建物が壊れる心配は少なかった。
ただまぁ、木材で作られた建物だから、あまり大量の水で濡らすのもいけないとは思うけど……後でレーヴァテインで乾かしておけば大丈夫だよね?
「ほぁ~……流石フランだね! わちきにはあそこまで勢いよく沢山の水は操れないかな?」
「今のなら私は楽に真似できるよ。 ただまぁ、水以外はほとんど操れないけど……」
「舟幽霊だから、逆に水以外を操れたら驚きモノだよ! 私はまぁ……とっても強い御姉様の妹だもん!!」
「もし何もフランさんのことを知らずに今の言葉を聞いてたら納得出来ないんだろうなぁ……」
苦笑いしながら頬を掻くムラサの言葉に笑みを返しつつ、私はレーヴァテインを喚び出して炎を纏わせる。
そして出来上がった小さな炎柱の形を一度に濡れた部分全体を覆えるように変えた後、部屋や縁側が乾くまでレーヴァテインを持ち続けた。
その間にムラサから今は白蓮と一輪が買い出しに行っているだとか、小傘から人間の驚かせ方の極意を教えてもらったりだとか、そんな他愛もない話をして談笑をしていたんだけど…………外からこいし達の声が聞こえてこないことに気が付き、私はほんの少しの疑問と不安を覚えていた。
……ただその不安も、数瞬後には忘れていたことは内緒だよ!!
「……っと、そろそろ乾いたかな? 小傘もムラサも色々お話ししてくれてありがとね! とっても面白かったよ!!」
「わちきも楽しかったよー! 何気にムラサが話に食い付いてくれたし!!」
「いや……まぁ、あれじゃん? フランや小傘と同じように驚かしたくなるのは妖怪の性というか……と、とにかくそういうことなの!!!!」
「ふふふっ! ムラサったらさりげなく名前で呼んでくれたね小傘!!」
「だね! わちき達の仲間が増えたよ!!」
「なっ、ちょっ……!!!?」
両脇から挟み込むように抱き着く私と小傘に、ムラサが慌てながら両手を宙で遊ばせていた。
……ただ、この時にもっと外のことを、こいしのことを思い出しておけばあそこまで酷い状況にはならなかったのだろうと後々思い知る羽目になるとは、この時誰も知る由はなかった。
ーーー……ズダンッ!!!!!!
「ひゃっ!!!?」
「な、なんだ!? 襲撃か!?」
「……こ、こいし?」
突然部屋に響いた大きな音、その音に小傘が驚き、ムラサが警戒し、私は音が鳴った方に立っていた人の名を呟く……。
そして沈黙が数秒続いたかと思えば、次の瞬間私は天井とこいしの顔を見上げていた。
ーーードサッ!
「きゃうっ!? こ、こいし、どうしたの?」
「……フランさぁ、私が紅魔館で言った言葉覚えてる?」
「こ、言葉……? え、えっと……」
「……フラン、前よりも遥かに脇が甘くなってるよ? だから変な虫がフランに沢山付こうとするんだよ? 変な虫が付いたらフランが汚れちゃうよ? フランも汚れたくなんてないでしょ?」
「え、あ、あぅ……」
「全く、フランは本当にしょうがないよね? だから私が守ってあげる。 変な虫が付いたりしないようにずっとずっと守ってあげる。 これは、その証だよ……」
言葉が途切れると同時に、こいしが優しく口付けを落としてくる。
そしてその瞬間、私は一つのことを悟っていた。
……これは、今までで一番ヤバい逆鱗に触れちゃったんじゃないのだろうかということを…………。
ーーーーー
以上、久々にヤンデレタグが生きた回でした!
……この作品、当初はヤンデレ祭り予定だったはずなんですよね(笑)
何百話ぶりのヤンデレ復活なのだろうか……?
それでは又次回にてお会いしましょう!




