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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第4章 ~フラン包囲網、拡散~
236/283

妖獣に気を付けることその1!

どうも、東方転妹録最新話更新です!




そして今回、ナズフラです!

もういっちょ、ナズフラです!!

ホントにそれだけです!



それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーside フラン



夜の闇と木々の影に包まれ、私とこいしはかなりくたびれてしまっている古家の前で静かに佇んでいた。

視界に入る草木に覆われてしまった古家は、以前さとりとこいしが住んでいた家であり、その証拠に取り払い忘れていた表札が残っている。

どうして私とこいしはここに送られたのか、そんなことをぼんやりと考えながら古家を眺めていると、ふと気掛かりな光景が目に入った。



「……あっ、ねぇこいし! 玄関の扉のところだけ蔓が絡み付いてないよ!」


「ホントだ! じゃあ誰か、中にいるのかな?」


「そう、なのかな……中、見てみよっか!」


「えっ!? だ、大丈夫……?」



大丈夫とこいしに声を掛けながら、全身に妖力を纏い淡い紅色で体を光らせつつ玄関へと足を進める。

恐る恐るといった感じでこいしも着いてくるけど、ほんのすこし足が震えてしまっているのか、歩みが遅く徐々に私との距離が離れていた。

さっきまであれほど興奮していたし普段ならここまで怖がらないこいしが、意識的になのか無意識になのか、恐怖を感じているのだということが少々引っ掛かりながらも私は玄関の扉の前へとたどり着く。



ーー…………コンッ……コンッ……。


「反応はないけど……鍵は空いてるみたいだし、やっぱり誰かいるのかな?」


「フラン、いっそ家ごと吹き飛ばす?」


「いや、もし知り合いだったらいけないから、直接確かめてみるよ」


ーーギィィッ…………。



ゆっくりと軽く二回ノックしてみたけど、反応はない。

激しく警戒するこいしを宥めながら、私はゆっくりと扉を開く…………すると、私の吸血鬼の瞳は玄関から入ってすぐの居間の暗闇の中に二人の人影がいるのをしっかりと捉えた。



「っ! 動くな!! そこで何をしているの!?」


「ひゃうっ!? ああああちき何も悪いことしてないよ!? このネズミさんと一緒に宝探ししてただけだよ!!!?」


「えっ、あっ、フ、フランさ……ひっ!!!?」


「あれ? 小傘とナズーリン…………?」


人影を捉えたと同時に体を屋内に滑り込ませ、威嚇するように大きく翼を広げ全身に展開していた妖力を強く紅く光らせる。

そしてさっきまでの暗闇より視界にはっきりと写っていたのは、私の妖力の光に紅く照らされ、完全に驚き固まる小傘の姿と何故かこっちを見て全身を震わせ怯えるナズーリンの姿だった。

……正直、威嚇しようと思って妖力を全身に広げ翼も広げたけど、知り合い二人にここまで怯えられると悲しいや…………。

何事もやりすぎはいけないってことだよね。



「ほぉ、小傘とナズーリンだったんだ! 珍しい組み合わせだね! というかフラン、それすっごい綺麗だね!!」


「あっ、ありがとうこいし! ただ、凄く怯えられちゃった……」


「あー……まぁ、それはしょうがないと思うなぁ。 とりあえず小傘は私がどうにかするから、ナズーリンを落ち着かせといてよ!」


「う、うん!」



そういってこいしは小傘の方へ向かっていき、小傘まで後数歩という所で空中に飛び上がった。

……そこから先は語る必要もなし、強いて言うなら小傘はこいしに押し倒され散々こしょこしょされていたとだけ言っておこう。

そんな楽しげな(小傘からしたら全力で逃げ出したい)光景を横目で見つつ、私もこいしから頼まれた通りナズーリンの所へと足を進める。

ついでにこれ以上驚かせないように居間にあった机の上の古い蝋に火を灯してから、体に展開していた妖力を散らしておいた。

散らした妖力はそのまま他の妖怪達に対する縄張りの証になる。

だから、ここは私並かそれ以上に強い妖怪が来ない限り、暫く安全なはずだ。



「やっほ、ナズーリン。 驚かせてごめんね?」


「あ、あ……フラン、さ……ん……」


「うん、フランだよ! よし、深呼吸しよっか?」


「え、あ…………」



余程私の逆鱗に触れたとでも思っていたのか、完全に怯えきってしまっていたナズーリンを抱き締め、特に胸と胸の部分を互いの鼓動を感じる程に密着させる。

勿論吸血鬼である私の心臓はそんなに強く動いてないし(というか、本来動く必要もないけどね!)、互いが感じる鼓動のほとんどはナズーリンの警鈴が鳴るかのように速くなっている鼓動だ。

それでもなけなしの私の温もりと鼓動を感じて貰うために、苦しくないように、それでいて強く抱き締めた。



「はい、じゃあ私の掛け声に合わせて息を吸ったり吐いたりしてね? じゃあいくよ! すってー……はいてー……すってー……はいてー……」


「う、あっ…………すぅ……はぁ……すぅ……はぁ……」


「すってー……はいてー……すってー……はいてー……」



隣から小傘の悲鳴とこいしの笑い声が聞こえてくるけど、それらは全て意識の外に放り投げて私はナズーリンへ全ての意識を集中する。

只でさえナズーリンには身長とかで微妙に負けてるから(微妙にだよ! 微妙に!!)、私は正座をするかのようにへたりこんでしまったナズーリンの膝の上に股がり抱っこされる形でナズーリンに抱き着き首元に鼻先を埋めていた。

そのおかげか、小傘とこいしの声に気をとられるようなことなくナズーリンも私に意識を集中してくれたようだ。



「すってー……はいてー……すってー……はいてー…………どう? 少しは落ち着いたかな?」


「すぅ……はぁ……すぅ……はぁ…………あ、あぁ、大分落ち着いたよ、ありがとうフランさん」


「ふふっ! それならよかった! ……あっ、でもまだ表情が固いね? うーん、次はどうしようか……」


「えっ? つ、次!?」



抱きしめて深呼吸はしたから、それでも無理なら次はもっと落ち着くようなことがいいよね!

となると……もし私なら、抱きしめてもらうことよりも落ち着くことって言ったら…………あ、おやすみのキスとか落ち着くや!!



「じゃあ本来はおやすみとかの挨拶の時にしたりするんだけど、もっと落ち着く方法をやってみるね!」


「へっ? もっとって……あっ、ま、待った! 今私ははつじょーーーー」


ーーチュッ…………。



私がしようとしていたことに気づいたのか何かナズーリンが言おうとしていたけど、また落ち着かなくなっちゃったら困るから問答無用でキスをする私。

すると初めはナズーリンもおもいっきり体を硬直させていたけど、次第に力が抜けていき、完全に脱力したところで私も唇を離した。

……まさか、これが恐ろしいきっかけになるとは知らず…………。



「……えへへ、どう? 落ち着いたかな? 私もおやすみ前に落ち着かない時とか、そんな時に御姉様にしてもらうとすぐに安心して落ち着くんだよ! だから私もナズーリンにしてみーーーー」


「ーーーーごめんフランさん! 寺まで拐わせてもらうよ!!」


「えっ? ちょ、きゃあっ!?」


「あっ、フ、フラン!? ちょっ、ナズーーーー」



突然の宣告と共にナズーリンの全身に妖力が広がったかと思えば、そのまま私を強く抱き抱え勢いよくさとりとこいしの古家を飛び出す。

こいしが呼び止めようとしてた声が聞こえたけど、それもすぐに風を切る音に掻き消され聞こえなくなっていった。



「あぁすまないフランさん! 元々は元気の無い聖とご主人を元気付けるために何か面白いものはないかと偶然出会った小傘という妖怪と一緒に探してあの古家に辿り着いたんだ!! それに今の私は出来るだけ誰かと一緒にいない方が良かったしね! まぁ、道中で小傘と一緒になってしまってはいたが!! しかしもう今はそんなことはどうでもいい、今はフランさんだけでいい!!!! 突然ですまないが一夜を共にしてもらうぞ!!!!」


「えっ!? ちょっ! 今はってどういうこと!? ど、どうしていきなりそんな……!!」


「さっきは遮られてしまったがな! 私は今『発情期』なんだ!! そんな時に接吻などされては我慢がならない! 私はネズミ上がりの妖怪、だから体の色々な周期もネズミのままなんだ!! すまないが諦めてくれ!!!!」


「は、『発情期』!!!? そ、そんなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!?」



柔らかく照らす月明かりを浴びながら星空を駆け抜け、ナズーリンは私を抱えて一目散に寺へと向かって飛ぶ。

そしてナズーリンが駆け抜けた後には、私の悲鳴の残響だけが残っていったのだった。





ーーーーー

以上、フランやらかし回でした!



えっ? ナズーリンがフラン(吸血鬼)を引っ張れるとはどういうことかって?

……愛の力ですよ(メソラシ)


こいしが間に合うか、星達が気づくのか……はたまたまた誰かに拐われるのか、それは運命のみぞ知る……!



それではまた次回にてお会いしましょう!


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