間に合わなかった……byヤマメ
どうも、東方転妹録最新話です!
えー、まず始めに更新が遅れて本当に申し訳ありません!
毎年恒例の杉花粉との勝負が中々決着がつかず……いっそ杉山に特攻してこようか(錯乱)
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数分後、紅魔館書斎の前。
ーーーーside ヤマメ
尊敬すべき、大好きなレミリアさんの住んでいる館の広い広い廊下を、全力で駆け抜ける。
道中、あの恐怖の姉妹の部下と必死に戦う紅魔館のメイド達の援護の弾幕を張ったりしてきた為に、私の息は荒い。
しかしそれも全て、すごく大好きなレミリアさんの大切なものを守るためなのだから、今の私にとって辛くはなかった。
「ハァ……ハァ……! あっ、あそこか!!」
助けてきた紅魔館のメイド達から聞いていた、とっても大好きなレミリアさんがいるという書斎の扉が見えてくる。
最も単純で綺麗に整って見える様に付けられた真ん中の小さな札に、私には読めない言語と一緒に書斎と記された扉……その前に立ち、私は恐怖と混沌の姉妹と戦う為の気合いを入れた。
ーー……バンッ!!!!
「レミリアさんっ!!!! 不肖ヤマメ、微力ながらお助けに参りました!!!! さぁ恐怖と混沌と淫乱の姉妹! 大人しくお縄に----」
「----レミリアの胸がフランより上? あははっ、ないない! それはないでしょ!……ん? レミリア、お客さんが来たみたいだよ」
「思うぐらい良いじゃない!? ……って、あら、ヤマメじゃない? どうしたのかしら?」
扉を開けた私の視界に映ったもの。
それは床に倒れ伏す恐怖と混沌と淫乱と終焉の姉妹に、その二人をしっかりした作りで柔らかな布の大きな椅子に運ぶルーミアさん、よく分からない変な帽子を被った人……そして無邪気な表情を私に向けてくるレミリアさんの姿だった。
「…………あれ?」
……レミリアさん、ピンチじゃなかったの…………?
ーーーーー更に数分後、紅魔館の書斎。
ーーーーside レミリア
「ふ、ふふ……間に合わなかった……」
「あー、助けに来てくれたことには本当に感謝してるわよ? ただまぁ、洩矢が早かったというか……」
「成る程、そこの土蜘蛛はレミリア大好きっ娘なわけか。 それは邪魔をしてしまったかな?」
扉の前で両手両膝を着き、何故か本気で落ち込んでいるヤマメにとりあえずフォローをしておく。
どうやら目覚めたフランから話を聞いて私をさとりとこいしから助けに来てくれたらしいのだけれど、ヤマメにとっては残念ながら既に私は救出された後だった。
ひとしきり叫んだ後、さとりに絡み付かれた私はすぐに妖力を展開し、私と密着してこようとするさとりとの間に小さな障壁を作った。
そしてその障壁を外にずらすことによりさとりの体を浮かす事に成功、そこをルーミアが張り手で窓の方向に弾き飛ばし、騒動のせいか鉄の輪で武装した洩矢が丁度窓から訪ねてきた時にさとりを鉄の輪で床に弾き落としたことにより、さとりの撃退は完了していたのだ。
因みにこいしは私が障壁を作ろうとした瞬間に飛び出そうとしたらしいけれど、ルーミアが手刀で処理してくれたらしい。
「そこは別に気にしなくていいんじゃないのかしら? それにヤマメも、道中でメイド達を助けてくれたんでしょう? それだけで嬉しいわ……本当にありがとう!」
「いえいえ! レミリアさんの為なら例え火の中溶岩の中ですよ!!」
「何か違うし、正に飛んで火に入る夏の虫なのかー……」
お礼を告げた途端に天狗もかくやというほど素早く立ち上がりニコニコと笑顔になるヤマメに向けて、ルーミアが呆れたようにツッコミを入れる。
その様子に、洩矢と共に苦笑しながら洩矢と向き合い、数分前に話していた本題へと話を進めた。
「さて、本題へ戻りましょうか……私は色々とフランより大きいわよ?」
「ちょっと待った! それは願望でしかないでしょ? フランより大きいのって腰回りとか傲慢な態度とか、その辺りだけでしょうに」
「OK、その喧嘩買ったわ! 胸だって大きいし傲慢な態度とかは貴女に言われたくないわよ!!」
「あっはっはっ! 胸が大きいだとか、そんなのフランみたいに『当ててるのよ』が出来るようになってから言いなよ!!」
「ぐっはぁっ!!!!!?」
本当はこの話をしに洩矢も来たわけではなかったけれど、しかし今の私と洩矢の間ではこれが最も大切な話題となっていた。
私の女と姉としてのプライドを守るために始まった戦いは…………物凄い早さで私のトラウマが抉られたことにより、一瞬で決着が着いてしまったけれど。
「因みにフランは、抱き着かれたときに『当ててるのよ』が出来るほどに柔らかい感触があったよ!」
「ぐぼぁぁぁぁぁ!!!!!?」
「…………もう、もうやめてほしいのだー……」
追い討ちを掛けてきた洩矢の一言により、私はついに書斎のメインの机まで吹き飛ぶこととなった。
同時に流れ弾を受けたルーミアが膝を着いてその場に崩れ落ちる。
それほどまでに現実を突きつける洩矢の言葉は威力があり、私達の心を切り裂いたのだ。
「まぁ確かにフランさんは将来有望ですよね! 私並みか、それよりも大きくなりそうですよ、『フランさんは』!」
「おぉう、無邪気な笑顔でここまで心を切り裂く発言をできるとは…………こりゃヤマメは不憫キャラなんだろうね」
「へっ? どういうことです?」
「いや、何でもないよ」
裏表の無い笑顔のままヤマメの口から発された過酷な現実が私の魂を打ち砕く。
書斎の机の上から転がり落ち、同じようにヤマメの一言で床に倒れ伏してしまったルーミアの側まで転がった私は、遠退く意識の中で洩矢が発した言葉を拾った。
「……あっ、フランと幻想郷と白蓮のことについて話したかったの忘れてた!」
……せめて、私とルーミアがダメージを受ける前に思い出して欲しかったと切に思いながら、私は意識を手放していったのだった。
ーーーーー同刻、地霊殿の客間への通路。
ーーーーside フラン
右手に猫と烏を抱えたパルスィと共に部屋を出て、手を繋ぎながら不思議な雰囲気を放つ地霊殿の廊下を歩く。
今はぬえのいる部屋に向かってるんだけど、パルスィ曰くこいしが無意識に運んできていたせいでパルスィもヤマメもぬえと妖精メイド達が運ばれる姿は見ていないらしい。
だから一応確認しに行くと言って、ぬえの様子を見に行く私にパルスィも着いてきてくれたのだ。
「それにしても、こいしはどうやってあの人数を一人で運んだんだろう?」
「一度フランだけを運んでから、後は無意識に全員運んできたみたいよ? 余程面白い光景だったみたい」
「うーん、本当にどんな光景だったんだろう?」
ヤマメはともかく、騒動が始まってからずっと地霊殿の管理をしていたパルスィはそこまで詳しくは聞いてないらしく、面白い光景だったとしか聞いていないらしい。
ほどなくして、客間の前に着いた私は空いている左手でドアノブを回して扉を引き…………。
ーーガチャッ…………バタンッ。
「……な、何も見てないよ? 何だか様子がおかしいぬえとか、何も見てないもん!」
「え、えぇ……あれは形容しがたいというか……そうね、見てないことにしましょう。 私も嫉妬できないくらいに疲れているみたいだから……」
……そう、何も見ていない。
こいしの演出なのか、きらびやかな部屋の中で、聖母のような笑顔で涙を流しながら何かを抱くように固まり続けるぬえと、周りで何故か舞を躍り続ける妖精メイド達など、何も見ていない。
見なかったことにしないと…………。
「パルスィ、お腹すいたから何か食べようよ?」
「えぇ、じゃあこのまま食堂に行きましょうか……出来るだけ、あの部屋から離れないとね…………」
「うん…………」
出来るだけあの部屋から遠くにいたい、その気持ちがお互いに一致した私達は、現実逃避も兼ねて食堂に向かったのだった…………。
ーーーーー
以上、レミルミ撃破&フラパルそっとじ回でした!
……こいし、どんな演出をぬえと妖精メイド達にしていたのか(笑)
とりあえず、フランとパルスィがそっとじをするレベルだったということですね(笑)
それではまた次回にてお会いしましょう!




