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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第4章 ~フラン包囲網、拡散~
228/283

ありふれた出会い、大切な出会い

どうも、東方転妹録最新話です!



えー、大変遅くなり申し訳ありません!

もうね、春休みに入って更に忙しくなりましたorz



さて、今回はちょっとした出会い回ですよ!


それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー1時間後、地霊殿、(さとりとこいし独断による)フラン用部屋。

ーーーーside フラン



夢を見ていた、黒い子猫になって母親の黒猫に着いて歩く夢。

舞台は今から遠い未来の前世のような所で、母親の黒猫が居てくれたから、どんな所にも行けた。

雨が降る中、母親の黒猫が公園の片隅で子猫の私を包み込みながら雨から守ってくれた。

他の猫や犬に追い掛けられた時も、すぐに母親の黒猫が現れて追い払ってくれた。

人間の子供に捕まってしまった時も、沢山威嚇しながら助けてくれた。

そしていっぱい歩いてお腹が空いたら、安全な場所を探してからお乳を飲ませてくれた。

でも、最後は…………。



「ーーーーあっ、目が覚めました?」


「あぅ……こ、ここは?」



ふと視界に淡い光が射し込み、意識が微睡みの中に浮上する。

体を包み込む柔らかい感触、右手を包み込む穏やかな温もり……微睡みの中でさえ感じることの出来たもの。

暫くして誰かが私の目覚めに気付いたのか、どこからか声が聞こえてきた。



「ここは地底にある地霊殿の一室、恐怖の……いえ、さとりさんとこいしさんがフランさんの為に用意した一室みたいですよ」


「地霊殿……ヤマメさん……?」


「はい! 地底の土蜘蛛の黒谷ヤマメです!!」


「う、うん。 それは知ってるよ?」



明るく元気な声を聞いている内に、漸く意識が微睡みから抜けた私は体を起こして周りを見渡しながら声の主ーーーヤマメさんを探す。

そして私が寝かされていたベッドの横で、私の右手を握りながら微笑んでいるヤマメさんを見つけた。

……どうしてまた自己紹介をされたんだろ?

御姉様が初めて会った時、自己紹介出来ずに泣いちゃったらしいから自己紹介を頑張ってるのかなぁ?



「えっと、どうして私は地霊殿にいるのかな? 確かゾンビフェアリーの襲撃から身を隠して、ぬえと一緒にお部屋にいたはずなんだけど……」


「あぁ、それならこいしさんが紅魔館から寝ているフランさんを連れてきてましたよ! その時に私とパルスィさんが呼び出されて、地霊殿の留守とフランさんの御世話を頼まれたんです!」


「こいしが? ってことは思った以上に紅魔館は追い詰められてるんだね……御姉様、大丈夫かなぁ?」


「……えっ、御姉様って、レミリアさんのことですよね?」


「へっ? あっ、う、うん」



ぬえと専属のメイド達がどうなっているかも気になるけど、そんなことも尋ねづらい位に瞳のハイライトを消して私に御姉様のことを尋ねてくるヤマメ。

ほんの少しだけ握ってくれている手に力が入り、尋常ではない雰囲気が私の心に不安を生む。

数瞬、じっと私の瞳を見つめていたヤマメは何かを決意したかのように瞳に力強い光を取り戻すと、突然立ち上がって扉へと向かい始めた。



「……フランさん、安心してくださいね」


「えっ?」


「私が……私が、レミリアさんをあの恐怖の魔王とその妹から必ず助け出してきますから!!」


「ち、ちょっ、待って!」


ーーガチャ! バタンッ!!


「あっ……行っちゃった……」



まだまだ聞きたいことは沢山あったのに、ヤマメは颯爽と部屋を去っていった。

宙に伸ばした私の手がゆっくりとベッドの上に落ち、音の無い静かな時間が部屋を包み込む。

……んー、今の様子だとヤマメは紅魔館に上がっていっちゃったのかな?

今の紅魔館は危険だと思うんだけど……でも、ヤマメだって地底の妖怪だし、実力はあるから大丈夫かな?

そこまで考えた時、ふと扉がノックされ、腕に何かを抱えたパルスィが部屋に入ってきた。



「もう起きてたのね、フラン。 よく眠れた?」


「あっ、パルスィ! うん、気持ちよく眠れたよ!」


「そう、それは妬ましいくらい良かったわね」



言葉では妬ましいとは言いながらも、微笑みながらベッドの側にまで歩いてくるパルスィ。

そして腕に抱えていたモノをベッドの端に降ろすと、部屋の片隅に置いてあったポットまで足を進めていた。



「これ……この子達、猫と烏? どこかで拾ってきたの?」


「えぇ、さとりとこいしに呼ばれた後ヤマメと合流した時に大穴で拾ったのよ。 烏は単に飛んで迷い込んだだけだったみたいだけど、猫は穴に落ちてヤマメの巣に掛かっててね。 なんとなく、助けてみたの」


「そうなんだ……パルスィ、優しいね!」


「別に、ヤマメがその子達を食べて満足そうにお腹を撫でる光景を思い浮かべたら妬ましくなったから、邪魔する為に助けただけよ」



紅茶を注いでくれながら私の言葉を否定するパルスィ。

しかし紅茶注ぎ終わって私の方に振り返った時に、パルスィの頬が赤くなっているのを見つけてさっきの否定が照れ隠しだと分かった。

その事が何だかとってもくすぐったく感じられて、私もまたほんの少し頬を赤くしながら微笑む。



「……ただ、私はこの子達を飼うことは出来ないのよね。 基本的に橋にいるから、世話をする時間が取れないのよ」


「パルスィはそういう妖怪だし、それはしょうがないよ。 となると、紅魔館は…………んー、非常食みたいな扱いになっちゃうかもしれないしなぁ……」



少しだけ赤毛の混じった黒猫と、赤みがかった瞳を持つ烏の頭を撫でながら一匹と一羽のこれからを考える。

紅魔館は基本的に動物を飼うことはしない。

御姉様と私は本来夜行性で散歩とかを必要とする動物とは相性が悪いし、ルーミアにとっては大概の動物は食物になる。

ぬえは特に問題はないけど、何かを飼うことはしない性格だし、もし気に入らない動物なら容赦なく捨てるだろう。

美鈴は……寝てしまうから無理だと思う。

そうとなればさとりやこいしに頼むしかないんだけど…………あれ?



「猫と烏…………赤毛混じりの黒猫に、赤目の烏……この子達、もしかして……」


「どうしたの、フラン?」


「ううん、地霊殿ならこの子達を飼えるだろうなって、そう思ったの!」


「あー、まぁさとりの心を読む能力とかあるなら動物の世話も楽よね。 別にこの子達を食物とする妖怪が住んでるわけでもないし、確かに地霊殿(ここ)なら問題はないでしょうね」



ふと気付いたことをこれからの期待と楽しみと共に胸の内にしまいつつ、パルスィの疑問を受け流す。

この子達は『まだ』妖怪ではないけど、いずれ妖怪になった時、地霊殿を守る頼もしい存在になってくれるはずだ。



「まっ、それならさとりが戻ってきたら話をしてみるとしましょうか。 上で何かやってるみたいだし、いつ戻ってくるかは分からないけどね」


「うん! あっ、色々とありがとね、パルスィ!!」


「はいはい、どういたしまして…………本当、妬みたくても妬めないわね、フランったら…………」



これは偶然起きたとっても小さな出会い、どこにでもありふれた出会いだけど、私にとっては大きな出会いだ。

一つ一つ、出会いと共に集まるモノに喜びを感じながら、その感情をパルスィが注いでくれた紅茶と一緒に胸の内に流し込んでいったのだった。




ーーーーー

以上、あの子達登場回でした!



もうね、分かりますよね(笑)

フランの楽しみがまたひとつ増え、フランの周りは穏やかな時間が流れ始めました!


……レミリア? さとり? さぁ、知らないなぁ(メソラシ)



それではまた次回にてお会いしましょう!

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