紅魔館、敗北
どうも、東方転妹録最新話です!
えー、今回はレミリアメインで、タイトル通りです(笑)
もうね、やっぱりこの落ちが一番だと思います!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーside レミリア
「んー、やっぱり紅茶を飲むなら紅魔館の紅茶だなぁ!」
「そう、それは良かったわ…………さて、わざわざここに乗り込んで来て一体何のつもりかしら?」
「今回ばかりはこいしやさとりと言えど本気のお説教なのかー!」
戦闘の真っ最中に堂々と敵陣に訪ねてきたこいし。
そのこいしに一応おもてなしの紅茶を振る舞ってから、わざわざ司令塔となっている書斎まで来た理由を訪ねる。
私の横に並ぶルーミアもまた、言葉を重ねて本気で怒った表情を見せていた。
「ル、ルーミアのお説教は洒落にならないから遠慮するよ? とりあえずね、一言報告というか、ある宣言をしに来たの」
「ふぅん? わざわざ敵陣のど真ん中に来てまで、どんな宣言をしに来たのかしら?」
「洒落にならないことをしてるのはどっちなのだー……」
ルーミアの呟きを流しながら、私は再び紅茶に口をつけたこいしの言葉を待つ。
こいしやさとりの運命を見てもいいけれど、流石に相手は長年共に紅魔館を支えてきた家族だ。
如何に唐突な攻撃だったとはいえ、運命を覗いて不意をつくのはなんとなく嫌に感じて、この騒動の間一度も運命を覗いてはいない。
フランの為なら運命を覗くのも嫌ではないからやぶさかではないけれど、まずフランの運命は見れないのだから覗く理由もないのだ。
……しかし、次の瞬間に私は、運命を見ていなかったことを後悔することとなった。
「……ふぅ、じゃあ宣言するね! 我々地霊殿は、半刻前にフランドール・スカーレットを紅魔館から奪取並びに保護に成功したことにより、ここに地霊殿の完全勝利を宣言する!! えっへんっ!!」
「………………えっ(はっ)?」
こいしの宣言を耳に入れた瞬間、私とルーミアの時間が止まる。
いや、正確には同じ場に居合わせた通信担当のメイド、そしてその通信担当のメイドが操っていた水晶を通してこいしの宣言を聞いた紅魔館の全メイドの時間も私やルーミアのそれと一緒に止まっていた。
先ほどまで紅魔館のメイドの怒号と共に水晶を通して聞こえてきていた地霊殿のメイドの声も、恐らくは空気を読んだのか、聞こえなくなっている。
……どれ程の時間が経ったのかは分からない、しかし主観でなら悠久の時をじっくりと感じてから、私の意識は現実へと戻り、同時に叫び声を上げた。
「……ど、どどど、どういうことよぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!?」
「ぬぬぬえは!? ぬえは一体何をしていたのだー!!!? フランと一緒にいたんじゃないのかー!!!!!?」
「ぬえなら確かにいたよー? ただね…………」
「た、ただ……?」
私の叫び声と共に水晶からもメイド達の嘆きの叫びが響いてくる。
ルーミアは司令官という立場もあってか、幾分落ち着いてはいたけれど……しかしそれも五十歩百歩、十分に落ち着きは無くなっていた。
そしてこいしは、どこか笑いを堪えたような表情をしながらルーミアの質問に答えようとする。
……先に言っておこう、私はこんな紅魔館の弱点を知りたくなかったと後に頭を抱えたことを。
「ただ、何なのかー……?」
「……ただね、ぬえの腕に抱かれたままフランが寝惚けて服の上からぬえの乳房を吸ってたせいで、まるで聖母の様な表情をして固まってたからそのままぬえごとフランを保護したの!」
「フラン寝ちゃってた!? この騒動の中で思わず寝ちゃってたの!!!!!?」
「ってか、ぬえが羨ましいのかー!!!!!? …………どうして私の胸は無いのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!?」
「……紅魔館と地霊殿合わせてもぬえと美鈴と一部のメイド以外、フランに胸で負けてるっていうね…………御義姉様はフランと同じくらいだし、まだいいかもしれないけど……」
やはりこの私の自慢の妹、その器の大きさというか肝の据わりっぷりは凄まじい。
この騒動の中、ぬえの腕に抱かれて眠っていたと言うのだから…………しかし、寝惚けて胸を吸っていたとは……フラン、私の胸ではダメなの……?
ルーミアみたいに悲痛な叫びやこいしみたいに虚しい呟きをしないでいい程度には、私にもあるというのに……というかフランの胸よりは大きいのよ?
「……はっ!? それどころじゃなかったわ! それで、フランは今何処にいるの!?」
「えっと、フランなら地霊殿にも勝手に用意したフランの私室で寝てるよー? 固まってたぬえと、乳を吸うフランの可愛さに茫然自失になってた専属メイド達は地霊殿の客室に飾ってる!」
「飾ってるのかー!? ……いや、それは面白そうだから良いとして、フランの部屋はちゃんと整備してあるのかー!!!?」
「それはもちろん! 私や当主であるお姉ちゃんの部屋よりも遥かに綺麗に、且つ華やかに整えてあるよ!!」
「よし、それなら文句は無いわ」
そう、フランが丁重にもてなされているなら別に他はどうでもいいことだ。
後は周りにストッパーがおらず、無防備なフランを眼前にしたさとりがフランに手を出さないかどうかだけが心配なのだけれど……。
「ちゃんとさとりの見張り役はいるんでしょうね? 無防備なフランをさとりの眼前に晒すとか、そんな据え膳なんてしてないわよね?」
「それなら大丈夫だよ! お姉ちゃんなら紅魔館に上がってきてるから! フランには名乗り出てくれたヤマメが着いてるよ!! 後、お姉ちゃんがいない地霊殿はパルスィが管理してくれてるし!」
「地霊殿だけじゃなくて地底全体がグルだったの!!!?」
「それは確かに地霊殿の全戦力を紅魔館の攻略に注ぎ込めるわけなのだー……」
地霊殿だけではなく、地底全体が相手だったと知って私とルーミアは呆れ返ってしまう。
フランの奪取の為にそこまで出来るというのは何も疑問ではないし、別に当然のことだとは思うけれど…………ん? そういえば、こいしがさっき私にとってはかなり大切な、というか不吉なことを言っていたような……?
「……ね、ねぇこいし? さっきの話の中でだけれど、さりげなく不吉なことを言ってなかったかしら?」
「御義姉様にとって不吉なこと? ……あー、成る程、お姉ちゃんのことだね。 うん、まぁ、その…………とりあえず、後ろを見てみると良いよ」
「う、後ろ…………?」
こいしの言葉に私の中の生存本能が警鈴を鳴らす。
下手に運命を見ることもできない、見た先にあるのは絶望しかないはずだから。
それでも私の体は、運命を見ずとも自然と後ろに振り返ろうとする。
錆び付いた鉄のように固まり、動かし辛くなった首をゆっくりと背後に向ければ…………。
「……フランは確保しました。 次は貴女ですよ、レミリア?」
「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」
私の悪夢が、そこにいた。
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以上、紅魔館(の人達的に)敗北回でした!
フランが拐われたら負けなのです!
そしてレミリアが捕まったら……ギャグなのです(さとり限定(笑))
それではまた次回にてお会いしましょう!




