愛情はちゃんと伝えましょう
どうも、東方転妹録最新話です!
……えー、更新を1日延期したどころか更に遅くなってしまい申し訳ありません!!
執筆しながら……本気で、寝落ちしてしまいましたorz
うん、最近はただただ時間が欲しい、そう思います。
さて、今回は重ね重ね申し訳ありませんが少々短めとなっております。
メインは気絶させられていたあの人……いつ起きたのだろうか?
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数分後、フランの私室。
ーーーーside フラン
御姉様を先頭に追い掛けてくる皆を振り切り、悲しみと寂しさを自分なりに必死に隠しながら部屋まで帰ってきた。
今のままでは合わせる顔もないし、念の為扉には施錠をしてある。
ーードンドンドンッ!!
「フラン!? フラーン!!!!!? ごめんなさい! からかった私が悪かったわ!!」
扉を叩き、必死に呼び掛けてくる御姉様の声が聞こえる。
とはいえ、鍵を掛け、扉に念入りに強化魔法も使ってみたせいか、流石の御姉様でも開けられないらしい。
足音だけは聞こえてきたから、きっとルーミア達も御姉様の後ろにいるのだろう。
「お願い! 本当はフランがいないと死んじゃうの!!!! 寂しすぎて、兎のように死んでしまいそうなの!!」
「……ごめんなさい御姉様、今は一人でいたいの」
「フ、フラン!? あぁ、そんなことを言わずにーーーー」
ーー…………キンッ!
ほんの少しだけ嘘を混ぜて私が発した言葉が聞こえたのか、御姉様の声が一際大きくなった。
しかし、その直後に小さく金属音のような音が鳴り、扉から御姉様の声が聞こえなくなる。
小さな金属音のような音の正体、それは衝撃や術を防ぐだけでなく音や光でさえも防ぐほど密度の高い結界だ。
そしてそんな代物を張れる技術は私には無い…………つまり私以外の誰かがその結界を張ったということ。
その誰かとは…………。
「……ふふっ、これでレミリアさんも少しは懲りるといいわね?」
「……御姉様は悪くないよ。 今まで迷惑だったと気づけなかった私が悪いんだもん…………」
「さぁ、それはどうかしら? 本当にフランが悪いの? ……まっ、考えながらこっちにいらっしゃいな」
「うん……ありがとう、紫さん」
……現実と幻の境界を管理する大妖怪、紫さん。
「さっ、おいで? ここ最近フランを抱っこした覚えが無いから、久しぶりに抱っこしたいわ」
「えっ? あっ、う、うん!」
一体何時から私のことを見ていたのか、そんな疑問を心の隅っこに浮かべながら私のベッドに腰掛けている紫さんに歩いて近づくと、紫が優しい響きを奏でながら私に向かって両手を広げる。
私と藍さん、そして幽々子さん以外には掛けることの無い親しみやすい口調で紡がれた言葉は、すっと私の体を包み込み、一瞬の戸惑いの後に拒否の二文字を頭から消し去っていった。
トコトコと紫さんの前まで足を進め、紫さんと同じように両手を伸ばしながら紫さんの首に手を回す。
しっかりと私が紫さんの首に手を回したのを確認しながら、紫さんも私の背中と腰に回した両手を引き上げ、私を膝の上に跨がらさせた。
「……うん、とても良い抱き心地ね! フランの純粋で優しい心の温もりが、じんわりと全身に広がってくるわ」
「紫さんもとっても暖かいよ! 私も、とっても心地良いや!」
正面から抱き合ったことで、紫さんの腕に包まれ触れ合う頬から感じる人肌の温もりが、さっきの声のように私の全身を包み込んで寂しさと悲しさに震えていた私の心をゆっくりと暖めてくれる。
紫さんの強固な結界で光が遮られ、妖怪などでなければ全く周りが見えない空間の中で、ただ一人、紫さんだけは仄かに明るく見えた。
勿論、実際は光っているわけではないけど、そう感じる程までに紫さんの温もりが私を癒してくれていたのだ。
「ふふっ、フランが心地良いなら良かったわ! ……さて、フラン? 始めに言っておくけれど、さっきの広間での件でフランは1つも悪くないのよ?」
「……それは、私が今まで御姉様と一緒に居たときに御姉様の迷惑になっていたかもしれないことに一度も気付かなかったから、だから私が…………」
「ねぇフラン、レミリアさんはハッキリとフランに迷惑と言ったかしら? それに迷惑に感じている人があんなに不敵な笑みを浮かべて原因である相手に近づくと思う?」
「えっと……言われたことはないし、迷惑に思う相手には近付かないとは思うよ?」
「そう、そうよね。 つまりそれが答えなのよ?」
「えっ……?」
少しだけ頭を起こし、至近距離で私の目を覗き込んでくる紫さん。
そんな紫さんは顔に笑みを浮かべ、まるで母親が子供に優しく諭すように暖かい響きの声で話してくれていた。
普段は藍さんに叱られたり、幽々子さんや幽香さんを筆頭に皆からからかわれたりしていた紫さんが、今だけは、私の家族や友達の皆の中で一番大人びて見える。
「つまり、フランはレミリアさんにからかわれたのよ。 どんな罰が良いか訪ねてくるフランの逆手を取るために、レミリアさんは『フランといることが一番退屈かも』という嘘を言ったわけね。 そうすればフランが、『私と一緒に暫く過ごすこと』なんて罰を与えてくれると思ったんでしょうけど…………まぁ、単なるバカよね」
「えっと、じゃあ私は御姉様に嫌われたりしてないの……?」
「えぇ、それどころかフランのことを独占したいくらいにレミリアさんはフランのことが好きでしょうね!」
「……そっか……良かったぁ…………!」
御姉様自身から聞いた訳じゃないけど、理由も分かって御姉様に嫌われているわけではないということが判明したから、私は掠れそうな程小さな声で喜びの声を上げて紫さんの胸元にすがり付く。
安心したせいか、ふと頭の中で覗き見とか不法侵入だとかいう言葉が頭の中をよぎったけど、私の友人であり励ましてくれた紫さんを攻め立てる必要もないだろう。
それに、今の私には紫さんの温もりが心地よくて、手放しがたいものであった。
「さぁ、一度眠りなさいフラン。 歌を歌ってあげるから、今はしっかりと寝て楽しい夢を見て……また起きた時には皆も落ち着いてるわ」
「うん、分かった! それじゃあおやすみなさい、紫さん!!」
「えぇ、おやすみなさい……フラン……」
慈しむように、ただただ優しい響きの音色を歌い始める紫さん。
その音色に、夢の世界へと誘われながら、私は紫さんの温もりをずっと感じていた。
ーーーーー
以上、母性丸出し紫さん回でした!
……うん、最後の締めがフランの寝落ちだったけど、決して作者の寝落ちと合わせた訳ではないですよ?(メソラシ)
そして何気に高い紫さんの母性……まぁ、これで家事とかちゃんとしてたらお姉さん騒動でもあっち側にならなくて済んだんでしょうねf(^^;
それではまた次回にてお会いしましょう!




