戦はまだまだ終わらない……そしてほのぼのも終わらない!
どうも、東方転妹録最新話です!
今回は前回と引き続き、温度差の激しい回となっています!
……もうね、フランの方だけ書きたいぐらいフランの方がほのぼのしてる(笑)
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数分後、別室前の通路。
ーーーーside 星
まだ姿は見えないが、どんな状況で、どちらが優勢なのかすぐに分かる程の喧騒が廊下へ響いてきている。
これから起こる出来事を想像しつつ目を閉じながら私が槍を構えると、後ろに控えている一輪と小町さんがそれぞれ法輪と鎌を構えた音が聞こえてきた。
今回の作戦は、フランさんに気付かれるのを避けるために接近戦のみで戦うことになっている。
私が目立つ位置で大きく戦い、その補佐を小町さんが能力を使いながらする。
そして一輪が持てる全ての手段を持ってして相手の突破を防ぐ、というものだ。
それと恐らく正面からぶつかっては勝てないであろうレミリアさん達については、運命操作や読心をされる前に、能力を使って急接近した小町さんが素早く仕留めることになっている。
レミリアさん達、紅魔館の要人が同時に出てこられたとしても、少なくとも1人は削れる作戦だ。
……ここを突破されたとしても、戦力を削れていればそれでいい。
恐らくは、いつの間にか呼び寄せてフランと妖夢さんの朝食を一緒に作らされていた雲山もいることだろう。
いざとなれば、雲山に道を全て塞いでもらえれば時間も稼げる。
「……のぉ……!! やらせは…………ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
ーードガァァァァァァァァ!!!!!!!!
「……来ましたか! 二人とも、用意は良いですね!?」
「えぇ! 雲山もいけるわ!!」
「さーてっ! ちょっくら幼子のために、らしくないことをしてみるとしますかねぇ!!」
扉が粉砕され、押し出された影が廊下の壁にぶつかり激しく煙を撒き散らす。
一瞬ではあったが、二本の長い角と緑が基調となっている服が見えた……一体、吹き飛んだのは誰だったのだろうか?
しかし考えている暇はない、既に敵はこちらへ飛び込んできているのだから。
ーーガキィィィィィィィン!!!!
「そう簡単にここを通れると思うな! 犬っころ!!!!」
「だ、誰が犬ですってぇぇぇ!!!!!? 私は白狼天狗です! 犬ではない!!!!」
煙の中から飛び出し、おもいっきり切りつけてきた椛さんの刃を槍先で受け止め、軽く挑発する。
しかし、地雷を踏んでしまったのか一発で椛さんを激昂させてしまった。
……とはいえ、別に問題があるわけではない。
むしろ妖獣に限って言えば激昂させた方が楽に戦えるのだから。
「足元ががら空きですよ!!」
「あっ、しまっ……ぐぁっ!?」
「まず1人!!!!」
ーードンッ!!!!
「かふっ!!!!!?」
激昂したせいで私しか、正確には私の顔しか見てなかった椛さんの足に向かって槍を捻り、槍の尾の方で足を払う。
足を払われ一時的に宙に浮いた椛さんを、そのまま槍で抑え込んで押し倒し、無防備な鳩尾に向かって遠慮なく槍の尾を打ち込んだ。
もろに喰らってしまった一撃で、堪らず椛さんは意識を失う。
……しかし、まだまだ敵はこれだけではない。
ーーダダッ!!!!
「私だって……私だって胸はあるもん!!」
「いっつも師匠の手伝いや姫様の世話したりしてるんだから母性は認めてくれても良いでしょうがぁぁ!!!!」
「残念だけどねぇ、中途半端な包容力じゃあ認められないのさ!」
ーーシュッ!!
「ぁっ……!?」
「くっ! 瞬歩!?」
続けざまに弾幕を撃ちながら飛び出してきた大妖精と永遠亭の月ウサギ。
しかし弾幕は私にも一輪にも弾き落とされ、能力を使って一瞬で大妖精と月ウサギの前に現れた小町さんの峰打ちにより、早くも大妖精は意識を刈り取られてしまっていた。
月ウサギは辛くも避けたようだが、そのまま小町さんの追撃を許してしまっている。
「っ!! 星、あの人達が来たわ!」
「えぇ……しかし私とて毘沙門天様の弟子、槍を得物とする同志として、そう簡単にやられはしませんよ…………レミリアさん……」
新たに煙の中から現れた二人組ーーーーレミリアさんと、ルーミアさん。
俯きながら歩くレミリアさんの片手にはグングニルが握られ、さらに反対の手には見覚えのある帽子が握られていた。
それはもうすぐ月ウサギを仕留めようとしている、小町さんの上司の…………。
「しっ!!!!」
ーードスッ!!
「きゃうっ!?」
「よしっ! 二人目撃破ってね!! ……ん? その帽子……」
「あら、分からない? 貴女は毎日これを見ているのではなかったかしら?」
「……全く、二人目から仇討ちしなくちゃならないなんて、ねっ!!!!」
鎌を素早く振るい、月ウサギの意識を刈り取った小町さんがレミリアさんとルーミアさんの方を向きながら疑問の声を上げる。
それを聞き漏らさなかったレミリアさんが小町さんを挑発すると、不適に笑った小町さんが、レミリアさんが動き出す前に能力でレミリアさんの側まで行き鎌を振り上げていた。
……これは、勝った。
小町さんの鎌を振る速度と間合い、そして無防備にしていてすぐには動けない状態のレミリアさん。
例え運命を見ていたとしても、レミリアさんとルーミアさんの動きより早く動いた小町さんの一撃を、もうレミリアさんは避けられない。
さとりさんが煙の中から小町さんの心を見ていたとしても、小町さんの心を読んでからでは援護も間に合わない速さだ。
ーードガァァァッ!!!!
「ぐ、あっ…………!?」
「「……えっ?」」
ーー…………ドサッ……。
目の前で豊かな胸に拳を突き立てられ、小町さんが苦痛の呻きを漏らしながら静かに床へ崩れ落ちる。
しかし、拳を突き立てたのはレミリアさんでもルーミアさんでもない、第三者、さとりさんの一撃だった。
……何故、あんなに速く動いた小町さんに追い付けたのか?
幾らなんでもさとりさんの身体能力では小町さんの心を読んでからでは間に合わない。
そうなると、どうやって一撃で小町さんを仕留めるほどの援護を……。
「……成る程、レミリアさんが読み取った運命を読心していたのですか」
「『想起、三歩必殺』…………忌々しい胸を持つ鬼の技ですが、やはり使いやすいですね。 あぁ、勿論手加減はしておきましたよ? 胸を狙わさせていただきましたが……」
紅魔館の当主補佐であり、新しくできた地霊殿の当主、古明地さとり。
……それだけの地位につけるというのも、伊達ではなかったらしい。
「……一輪、法輪を飛ばしてください」
「分かったわ。 雲山! 廊下を塞ぎなさい!!!!」
怪しく笑いながら私と対峙するレミリアさんとルーミアさんとさとりさん。
後ろで一輪が法輪を広間へと飛ばし、雲山が廊下を塞いだ瞬間…………私の視界は、闇に埋め尽くされていた。
ーーーーー同刻、紅魔館広間。
ーーーーside フラン
「はーい、それでは綺麗に歯を磨きましょうねー!」
「「はーい!」」
食事を終えてから文お姉さんの掛け声に合わせ、一斉に返事をして歯磨きを始める私と妖夢。
可能な限り御姉様達の会議の邪魔にならないように、広間で歯磨き等も済ませてしまうことになったらしい。
これからの幻想郷の勢力に関わる話はとても大事……だからこそ、少しでも邪魔にならないように広間に引っ込んでおこうという考えみたい。
「さて、ちゃんと磨けたかな? 磨けたらこの水で口をゆすいで、こっちの桶にぺっ!ってするんだぞ?」
「「ガラガラガラッ……ペッ!」」
ーーコツンッ。
次の掛け声は藍さん。 きちんと口をゆすいだ私と妖夢は、周りに飛び散らさないように桶に向かって水を吐く。
その時、広間の扉に何かが当たったような音が響いてきた。
……んー? 何だろう? ノックじゃないみたいだけど。
「あらあら、会議が白熱しすぎたみたいね? フラン、妖夢、気にしなくていいのよ。 これは会議が白熱しすぎている時の合図だから…………それじゃあ、ちょっと私達も行ってくるわね。 行きましょうか、永琳さん」
「えぇ……全く、しょうがないわね」
私と妖夢が揃って疑問符を浮かべていることに気付いた幽々子さんが説明をしてくれた後に、永琳さんを伴って広間から出ていく。
どうにも会議は白熱してしまっているらしい……喧嘩になってないと良いけど……。
「心配そうな顔をしなくても大丈夫ですよ、フランさん! さて、朝食も食べて歯も磨きましたし、会議が終わるまで外に行っておきましょうか。 私達の住んでいる山なんてどうです?」
「文お姉さんの住んでいる山? それだったら文お姉さんの家に行ってみたい!」
「わ、私も! どんな武器が置いてあるのか見てみたいです!」
「「「「子供らしさは一体どこに……」」」」
幽香さん、藍さん、勇儀、白蓮さんが苦笑しながら、皆着々と出掛ける準備が進んでいく。
会議がどうなっているのか気になりつつも、今は邪魔をしないようにしようと思いながら、私は出掛ける用意を始めたのだった…………。
ーーーーー
以上、戦争&ほのぼの回でした!
……さーて、小町の胸は無事なのだろうか?(笑)
そして書いているとフランと妖夢が可愛くてしょうがない!
それではまた次回にてお会いしましょう!




