穏やかなフランの朝
どうも、東方転妹録最新話です!
今回はフラン&お姉さん's+αののんびりとした朝ですよ!
一部カウントし忘れてるお姉さん'sがいるような気がしてならない……まぁ、大丈夫ですよね?
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー翌朝、紅魔館の大広間。
ーーーーside フラン
とても美しいけど、既に見慣れてしまった大きなステンドグラスから朝日が射し込む。
本来なら体を蝕む忌まわしきその朝日も、吸血鬼としての弱点を無くし、ある意味始祖の吸血鬼と同格となった私には、とても暖かく心地よいものにしか感じられない。
そして私は、穏やかな朝日の照らす中、ゆっくりと意識を覚醒させていった。
「ふぁ……ん…………あれ、私の部屋じゃない……?」
「あややややっ! おはようございますフランさん! 昨日はゆっくり眠れましたか?」
「ふぇ? 文お姉さん……? あっ、そういえば……」
大広間に置かれた大きい円卓。 その円卓を囲む席の中でステンドグラスを背に位置する場所は、紅魔館において、普段は御姉様が座っている上座となる場所。
私はそこに、文お姉さんに横抱きにされながら寝ていたらしい。
しかし、すぐに昨夜の記憶が脳裏を過り始め、少しばかりの違和感を私の中に生み出し始める。
……昨夜は私が泣きじゃくってしまって、それですぐに駆け付けてくれた文お姉さんの使っていた客室のベットで、文お姉さんと一緒に寝たはず。
だから文お姉さんがいるのはおかしくないんだけど……どうして、大広間にいるんだろう?
「あら、フランちゃんったらやっと目覚めたのね!」
「おぉ、目覚めたのか! よし、薬師! 朝食を取ってこようじゃないか!!」
「はいはい……全く、元気な人が多いわね」
「永琳さん……勇儀……?」
起きた時の私の声……というよりは私が起きたことに気付いた文お姉さんの声で、同じく気付いたらしい永琳さんと勇儀が声をかけてくれる。
そして、いつも通りに元気の良い勇儀が苦笑する永琳さんを引き連れてキッチンの方へ歩いていった。
……そこでふと自分の体に目をやると、文お姉さんごと私を包むように暖かい毛布が掛けられている。
その上私の体勢が辛くなったりしないように、文お姉さんに全ての体重を預けられるようになっていた。
「……あっ、忘れてた! おはよう文お姉さん! えっと、いきなりだけど、私はどうしてここにいるのかな?」
「どうしてここにいるか、ですか……それはですねーーーー」
「ーーーー紫様達が、別室で話し合いをしているからだよ。 少々白熱しそうな内容でね、声も届きづらく特に堅牢な造りの此処ならば、フランもゆっくり眠れるのではないかということになったのさ。 ……さっ、粗茶ではあるが一口飲むと良い」
「あっ、おはよう藍さん! それとありがとう!」
「ちょっ!? それは私が説明しようと思っていたのですが……」
「はははっ! 早い者勝ちだよ!」
「ぐぬぬっ……!!!!」
先程から頭にあった疑問を口に出せば、質問に答えようとした文お姉さんに上手いこと割り込み、藍さんが説明と共にお茶を出してくれた。
出されたお茶は紅茶ではなかったけど、一口飲めば寝起きでまだ少し感覚がぼやけている体の隅々まで暖かさが広がり、どこか爽快で心地よい感覚が全身を駆け抜けていく。
そして説明役を奪われて悔しがる文お姉さんの腕の中で、ゆっくりと藍さんのお茶を楽しんでいると今度は突如横から伸びてきた腕に私に掛けられていた毛布を取り去られた。
「さっ、もうこれは良いでしょう? あの鬼と薬師が朝食を取ってくる前に、一度顔を洗ってきなさいな」
「おはよう幽香さん! うん、行ってきまーす!!」
「あややっ!? フランさん、寝起きで走ったら危ないですよー!」
瞬く間に手に持った毛布を畳んで腕に提げた幽香さん。
どうにもさっきから突然皆が現れることに慣れた私は、幽香さんの行動に特に驚くことなく素直に幽香さんの言葉を受け入れる。
そして残った藍さんのお茶を一気に喉に流し込むと、文お姉さんの腕の中から飛び出して大広間の扉へ駆け出した。
ーーガチャッ……ポスンッ!
「きゃうっ!?」
「あら、大丈夫ですかフランさん? 走っていたら危ないですよ?」
「ふふふっ! 妖夢よりもお姉ちゃんだとは思っていたけれど、やっぱりまだ子供らしくて可愛らしいわね!」
「ゆ、幽々子様! 私はもう子供ではありませんよ!」
「「それは、無理があるわね(あるな)……」」
「なっ!? ゆ、幽々子様も藍さんも酷いです!」
扉の取っ手を手に取り、思い切り引っ張り開けてから飛び出すと、同じように扉を開けて大広間に入ろうとしていたらしい白蓮さんにぶつかってしまった。
そして何故か白蓮さんと一緒にいたらしい幽々子さんにからかわれて、その場に幽々子さんと手を繋いだ妖夢もいたこともあってか思わず顔を紅く染め上げてしまう。
……ただまぁ、妖夢の方が幽々子さんと藍さんにおもいっきり弄られていたけど。
「さぁ捕まえましたよフランさん! 私も一緒に行きますから、朝食が来る前に早く顔を洗ってきましょう! あっ、でも走ったらダメですよ?」
「はーい! それじゃあ妖夢、また後でね!」
「はい! また後で、私が新しく作った戦術について話しましょうね!!」
「「「「「「こ、子供らしくない(わね)……!」」」」」」
文お姉さんと手を繋ぎながら、妖夢にむかって手を振りつつ洗面所へ向かう私。
直後に妖夢が発した言葉にその場にいた皆がツッコミを入れてたけど、妖夢は全く気にしていないようだった…………うん、長話に付き合わされる覚悟はしとこっと……。
そういえば、御姉様達は何の話し合いをしてるんだろう?
白蓮さんはさっき大広間に来てたし、そうなると今回の一件に大きく関わった諏訪子についてなのかなぁ?
「ねぇ文お姉さん、御姉様達は何の話し合いをしているの?」
「あぁ、レミリアさん達なら今後について話していますよ! 何やら昨晩さとりさんが守矢神社の主神の一柱である洩矢諏訪子さんと話した時に、八雲紫さんの提唱する幻想郷に神社ごと移り住むことにしたらしいのですが……それを含めて、今後の幻想郷の勢力関係についての話し合うようですね」
「そっか……今後の勢力関係、かぁ……」
原作とはうって変わって、諏訪子は早くも幻想郷に移り住むらしい。
信仰のこともあるし神奈子の意見も必要だから、すぐに実現するかは分からないけど……少なくとも移り住む予定があるというだけでも、勢力関係について話し合うことは必要なのだろう。
幾ら親しくて交友関係があるといっても、幽香さんみたいに単独ではない限り勢力としての交流も必要であるのは確かだ。
「皆が、バラバラになったりはしないよね……?」
「それは大丈夫ですよフランさん! 何たってさっきのは建ま…………こほんっ、形式的なことですから、どうせすぐに宴会に早変わりしますよ!」
「えっ!? あ、朝から宴会するの!?」
「……鬼の方々に、ノリの良い方々が集まってますからね。 とりあえず酔ってぶっ倒れるのは覚悟しないといけません」
「えっと、もしぶっ倒れそうになったりしたら私に言ってね? 私がちゃんと看病してあげるから!」
そこまで私が言葉を発した途端、これでもかというぐらい目を輝かせる文お姉さん。
その様子に思わずあっけにとられてしまっていると、文お姉さんは自慢の速さを使ってあっという間に私を抱き抱えていた。
胸元に頭を抱え込まれ、見た目的に同年代の中ではかなりの大きさを持つ豊かな双丘が、まるで暖かいクッションのように私の顔を包み込む。
顔の上の方からは文お姉さんが頬擦りをしている感覚が伝わってきていて、どうにも嬉しがっている様子がしっかりと感じ取れた。
「くぅぅぅぅぅ………………!!!! あー、やっぱりフランさんは優しいですね! もうこのまま拐ってしまいたいくらいーーーー」
「ーーーー拐ったりしたら、私の槍の錆となってもらいますよ?」
「あっ、星だ! おはよう星!!」
「はい、おはようございますフラン!」
これで何人目だろうと言いたいくらいに突然現れたのは、良い笑顔で文お姉さんを威圧する星だった。
しかし冗談だとは分かっていたらしく、私が挨拶をするとすぐにいつもの星の優しい顔に戻って、挨拶を返してくれる。
若干文お姉さんが不服そうにしていたけど、まぁこれくらいはいつも通りのことだ。
「星はここで何をしてたの? 顔を濡らした感じもしないし……」
「あぁ、ここの窓から見える景色があまりに綺麗だったものですから、少しばかり見入っていたのです。 さっ、その様子だと顔を洗いに行っているんですよね? 早く行かないと、朝食が冷めてしまいますよ。 今日は一輪と……後、小町さんという死神の方が腕を奮ってくれているようです」
「ほんとっ!? 分かった、すぐに行ってくるね! 文お姉さん、行こっ!」
「あややっ!? ま、待ってくださいってばフランさん!!!? ……あっ、『ここにいてくださいね?』」
「……えぇ、『私はここにいます』」
星の一言で文お姉さんの胸元から飛び出し、洗面所へ再び駆け出す私。
背後で交わされた文お姉さんと星の会話に気付くことはなく、私は一輪と小町の朝食を楽しみにしながら鼻唄を歌っていたのだった……。
ーーーーー
以上、フランの本当に穏やかな朝でした!
因みに今回選抜されたお姉さん'sはある一定の基準で選ばれてたりします(笑)
そして最後の文と星の会話…………ひとつだけいっておきましょう、シリアスではありません!
カオスへのカウントダウンです!
……レミリア達が集まってまともな会議になるだろうか、いやならない。
況してや紫もいるのだから(笑)
それではまた次回にてお会いしましょう!




