誰と誰がおしどり夫婦?
どうも、東方転妹録最新話交信です!
えー、まずあまりにも私的な理由で更新が遅れて申し訳ありません。
あまりの難易度に必死になっておりました……なんとかE-1は突破したけど、主力を温存したままとか辛すぎる……。
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーside レミリア
ーーズルッ、ドサッ…………。
「えっと……そいつ、死んだの?」
「大丈夫……と言って良いかは分からないけれど、安心しなさいチルノ。 神は肉体が滅んでも信仰がある限り、精神と記憶はそのままに蘇り続けるわ」
ルーミアの左腕から滑り落ちる諏訪神社の主神、八坂神奈子の体。
既にその体は事切れてはいるけれど、段々と光に変わり始めたから、一度完全に消失した後再びこの付近の土地で生まれるだろう。
それに信仰もかなり多い神だから、恐らくは明日の朝には蘇るはずだ。
神社の付近にある里に住む人々が気づく前に、後処理を済ませるくらいできるかしら。
「終わったならさっさと進みましょう? フランが汚されたら、目の前で花を切られるよりも怒り狂う自信があるわ」
「待って頂戴、後少しで結界を壊せるから……藍、そこの式を乱してくれる?」
フランが心配なのか、苛立った表情で八雲紫に催促する風見幽香。
いつの間にかそそくさと結界の解除を始めていた八雲紫は、どこからか取り出した巻物に何かを書き込みながら催促を聞き流していた。
……てっとり早く結界を壊すために、真っ正面から消そうとするのではなくて、式を乱して結界としての意味を持たせないようにしているのかしら?
でも、それだと下手をすれば別の術になってしまいそうなものだけれど……。
「……恐らく大丈夫だと思いますよ、レミリア。 単に乱されただけならこの国の術は変化したりしませんから」
「あら、そうなの? これまであまりこの国の術を調べてこなかったけど、汎用性がないのね」
「……この国の術は『乱す』ことではなく、『付け足す』ことで他の術に変わりますから。 偶然性を持たないが故の、分かりやすい術でもあります」
「確固とした式をもって術と為す、と言ったところかしらね……遊び心のないこと……」
いつも通り私の心を読み、疑問に答えてくれるさとり。
例え、さとりの手が話している最中に私の腰に回されてこようと気にしていない。
例え、さとりの舌が私の首筋へ伸び始めていても反応しない。
例え、さとりの触手が私の翼を絡め取っていても無視する。
……気にしたら負け、気にしたらさとりは止まらなくなるのよ。
恐らくフランが襲われそうという状況に焦りながらも、信頼しているこいしが結界を越えていけたから安心してしまって、焦りと落ち着きが混同して発情してしまったのね。
もうすぐ八雲紫が結界を解除し終えるはず……それまで耐えて、フランを私の手で助け出すためになんとかさとりの注意を目の前の状況に向けないと……!
「……ふふっ! レミリア、それを心に思い浮かべては意味がありませんよ? 体や言葉が反応せずとも、心が反応してしまっているなら、私にとっては結局反応しているのと同じですから」
「あら、そうだったの? それじゃあ今始めて知ったのだから今回は見逃して頂戴な。 始めの一回くらいは見逃すことくらい当主の素質として必要よ……って、ちょっ、ホントに待ちなさい!?」
軽く冷や汗を流しながら言い訳を重ねてみたものの、さとりには通用しないどころかさらに激しく首筋を舐められ始めた。
確実にこの後に能力を全て活かして言葉攻めを始め、私の逃げ道を塞いでいくはず……そしてこういう時のさとりには敵わないことも分かりきっている。
ただ単に戦うだけなら誰であろうと負ける気はさらさら無いし、誘惑のようなことがあってもどこの馬の骨かも分からない相手の誘いに乗ることはない。
しかしさとりは私が心を許している身内の一人でもあるし、(特に私に対して)実力がある館の主だ。
そんなさとりを無下に扱う等まずあり得ない……だからこそ、はっきりと断れないのよ……。
「ほら、そこのおしどり夫婦。 なんかもう結界が壊れるみたいだぞ? フランを助けに行くならさっさと行こう。 早くこの糞尼から離れたいんだ」
「誰が糞尼よ!? この焼き鳥野郎! あんたがフランに触れたらフランが火傷するからここで虫でも食いながら待ってなさい!!!!」
「あんっ!? お前こそ純粋なフランにその高飛車を移すんじゃねーぞ!!!?」
「なんですってぇ!!!!!?」
「やるかゴラァッ!!!!!?」
「……さとり、巻き込まれる前にさっさと行きましょう。 コイツらが話している間に結界も解けたみたいだし」
「……え、えぇ……」
恐らくは私を助けようとしたのだろう……と、信じたい。
確かに何かあればこの二人は喧嘩していた、それもずっと。
ただその喧嘩の際にフランの名前が出ないことはなく、端から見ればフランを巡って喧嘩する仲の良い姉妹か友人にしか見えない。
つまるところ……その仲の良さを見せ付けられてるようにしか見えないのだ。
「八雲紫、もう通れるのよね?」
「え、えぇ……あの二人はほっといて良いのかしら?」
「……良いんじゃないでしょうか? 私達みたいに露骨な愛情表現じゃない、素直じゃないだけの様ですし、あれがあの二人の触れあいなのでしょう。 ……ただ、何故かこちらがげんなりとしてしまいますけど……」
「花と違って、何度見ても慣れないものね……」
さとりすら軽くげんなりとしながら、冷めた目で馬鹿姫様と炎使いを見つめている。
さとりは心も読める分、余計にげんなりとする何かを感じているのかもしれない。
……うん、早くフランを助けに行こう。
あの光景は私達から何かを奪っていっているのは確かなのだから……。
「……さて、フランとこいしはどこにいるのかしらね?」
ーーーーー同刻、森の中。
ーーーーside フラン
ーーガサガサガサッ!
「はぁっ…………はぁっ…………はぁっ……!」
こんばんは! 只今全力で逃走中のフランドール・スカーレットだよ!
息を乱しながら草木を掻き分け、ひたすらに逃げ続けてるんだけど…………進んでも進んでも真っ暗闇しかないや……。
出来るなら、空を飛んで逃げたいけど…………!
「フラァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!! 消毒するから待ってよぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!」
「消毒なんて……させるわけにはいかないよ……! このままフランを私の色に染め上げるんだから……!!!!」
……今空に飛んでしまえば、あの二人を撒くことは絶対に出来ない。
月が辺りを照らしてるから、下手に飛べばこいしはともかくとして諏訪子の目に完全に捉えられてしまう。
そうなれば諏訪子は地面を操って私を捉えようとしてくるはずだから……上手く道を塞がれてしまえば、後は捕まるだけだ。
「うぅ……どうしてあの空気に流されちゃったんだろう……! もしかして、また祟られてたのかな……?」
あの時突如乱入してきたこいしによって、冷静さを取り戻した私は自分の行動に恥ずかしさを覚えていた。
そして恥ずかしさに悶えている間にこいしと諏訪子が目標を私に変え、何故か襲い掛かってきた訳なんだけど……。
「下手に私の位置を教える攻撃をするわけにはいかないし、法衣も乱れたままだから走りづらいし…………フォーオブアカインドで逃げ切れるかな?」
ーー『フォーオブアカインド』
賭けみたいなことだけど、分身を作ってこいし達を混乱させようとした私。
本体の私の指示通り、分身はそれぞれ別々の方向に散っていった訳だけど……。
「ふふふっ! フランったら、そんな分身でいつもフランばかり見ている私の目を誤魔化せる訳がないじゃない!」
「残念だけど、分身を作ったところで分身には匂いが残らないんだよね……!」
「そ、そんな……!? な、ならこれならどうっ!?」
ーー『そして誰もいなくなるか?』
見事に分身をこいし達がスルーしたのを見て、ひたすら走って逃げながら私自身が透明になれる弾幕、『そして誰もいなくなるか?』を撃ち出す。
次々と格子状に広がる弾幕はこいしと諏訪子を正確に捉えていくけど…………。
「ふふふっ、フラン、足音が聞こえるから意味ないよ?」
「まぁ、空を飛んだところで弾幕の発生源を辿れば見つかるわけだけど……」
「こ、これでもダメ!?」
すれすれで弾幕を避けながら、正確に私の方向へ足を進めるこいしと諏訪子。
どこか悪寒を感じる二人の気迫に押されながらも、私の逃亡劇はまだまだ続く様であった……。
ーーーーー
以上、痴話喧嘩&始まった鬼ごっこ回でした!
……うん、ケンカップル爆誕してしまった(笑)
さとレミすら押しきるとは……!
そしてフラン、またまた逃亡(いつもとは違うけど(笑))!
……逃げ切れるのかなぁ?
それではまた次回にてお会いしましょう!




