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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第4章 ~フラン包囲網、拡散~
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怒髪天を突く一秒前

どうも、東方転妹録最新話です!


今回はもうシュールなツッコミ満載でお送りしますよ!

そして、遂に…………。




それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー数十分後。

ーーーーside レミリア



木々が影に包まれ大地が曇って夜の帳が降り、私にとってもフランにとっても心の底から感動を感じる居心地のよい世界が辺りに広がる。

忌々しい太陽の下で穏やかな生き方をする者達は眠りにつき、夜の美しい、そして危険が溢れる世界に生きる猛々しい者達が生の営みを始める時だ。

……だがきっと、そんな夜の世界に住む強者達も、今私の目の前に広がる光景には思わず怯んでしまうだろう。



「……ねぇルーミア、これはフランの仕業だと考えて良いわよね?」


「……うん、これはフランの仕業だと考えて良いと思うのだー」


「星さん、どうして着替え始めたの?」


「小傘さん、今は星ではなく寅さんと呼んでください……! バレたらヤバイのですよ……!」



私、いや私達の目の前に広がる光景ーーーそれはパルスィやナズーリン達のもの、そして何故か射命丸のものと思われる両足が、『地面から並んで映えている光景』だった。

腰から上の部分は地面に突き刺さっていて、煤汚れたり靴下が軽く傷ついていたりと、ある程度ボロボロになっている両足が綺麗に地面から空に向かってそれぞれ伸びている。

皆容姿端麗であるから、足ひとつとっても好む者からは好まれそうなものではあるけれど…………私からすれば苦笑いしか込み上げてこないあまりにも痛々しい光景だ。



「さて、これはどうしてあげるべきかしら?」


「とりあえず引っこ抜いて「待ってください! もう少しで変装が終わりますから!!」って、さっきから星は何で着替えてるのかー? 人里の仮拠点にいた時も変装してたし、気になるのだー」


「うんうんっ! あちきも気になるよ!! どうして着替えるの?」



ルーミアが両手で地面から生えているナズーリンの両足を掴んで引っこ抜こうとした瞬間、普段は穏やかでそこまで大きな声をあげない星が悲鳴にも似た大声でルーミアを止めにかかる。

その行動に疑問を感じたルーミアが小傘と一緒に訳を尋ねると、星はしどろもどろになりながら話し始めた。



「えっと、ですね……? 実は私はそこの三人、ナズとムラサと一輪に深い面識があるのですが、今は少し山より高く海より深い問題があって会うわけにはいかない、というか私だとバレる訳にはいかないのですよ」


「山より高く海より深い問題? その様子だと、この三人とはあまりウマが合わないとか、そんな感じかしら?」


「いえっ、それはありませんよ! なんたって昔、寺で一緒に住んでいましたからね! 正直、皆が無事に封印されていた地底から出てこれて安心しているところです! ……ですが、今は、その…………」


「へぇー! 一緒に住んでたことあるんだね! でも、皆が出てきて嬉しいなら変装とかしないで会えばいいのに。 あちきだったらそうするよ?」


「うっ!? いや、その……実は最近そこの三人に怒られそうなことをしてしまったというか、特にナズに怒られそうなことをしてしまったというか……」


「怒られそうなこと? 一体何をしたのだー?」



要は星の方に問題があって、ナズーリン達とは会いづらいらしい。

しかしそれならば謝ってしまえば良いのではないかしら?

一緒に住んでいたことがあるくらいなら元々仲が良いでしょうし、ウジウジしてるよりはスパッと謝る方が断然良いでしょうに…………。



「あー……その、大切な宝を無くしてしまったというか、落としてしまったというか……」


「大切な宝? それは皆が大切な宝なの?」


「えっと、私とナズにとって特に大切な宝ですね……あはは……」


「だったらそれをちゃんと話して、皆で探せばいいのだー。 まぁ、そうは言ってもフランの後になるのかー」


「で、ですよね! でもルーミアさんの言う通り、フランを探すことが優先ですからその後でも良いですよね!? ですから今は変装して「ルーミア、ナズーリンを引っこ抜いて訳を話してあげなさい」ってレミリアさぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!!!!!!?」


「了解なのかー!!!!」



あまりにも星のヘタレが過ぎているだけなのだと理解し、即座にルーミアへナズーリンを引き抜いて『星のなくしもの』の件について話すように指示を出す。

それを聞いた星が再び悲鳴にも似た声をあげていたけれど、その悲鳴が上がった瞬間には既にルーミアはナズーリンの足を掴む手に力を入れていた。



ーーズボッ!


「よしっ、引っこ抜いたのだー!」


「ふむ、助けてくれて感謝するよルーミア殿。 さて、御主人? 覚悟は出来ているかな……?」


「「「「えっ!?」」」」



私達の驚きの声が響く中、ルーミアが引き抜いた手に掴まれて逆さまにぶら下がるナズーリン。

本来なら意識を失うには十分な時間地面に突き刺さっていた訳だし、意識を失っているはずだけれど……そこにいたのはしっかりと目が覚めていて、腕を組み良い笑顔でルーミア越しに星を見るナズーリンだった…………。





















































ーーーーー同刻、???。

ーーーーside ???



昼からずっと五月蝿かった騒ぎの音がようやく止み、夜の雰囲気と相まって嫌にしんとした世界に放り込まれる。

そんな世界に然したる違和感も抱くことなく、昼の間、参拝客も不安がっている位であった騒ぎの原因を探るために社の奥へと私は足を進めていた。



「……うん? 社が軽く壊れているな……これは修復が必要かな?」



恐らくは先程まで聞こえていた騒音の原因が、社が軽く壊れている原因でもあるのだろう。

一体私の同居者は何をしていたのだと疑問に思いながら、階段を登り、引き戸に手を掛ける。

……前々から癇癪持ちな同居者兼友人は度々暴れることがあったが、ここ最近は落ち着いていたはずだ。

忘れた頃になんとやら…………その言葉がよくよく身に染みるものである。

そしてそんなことを考えつつ、外からでも壊れていると分かる社の中の惨状を想像しながら一気に引き戸を開けてみれば、そこには想像以上の惨劇が広がっていた。



「あれ? 神奈子じゃん、お勤め御苦労様」


「……ど…………」


「ん? どうしたの?」


「ど……ど、ど…………」


「ど? ど、って何? 土のこと?」


「……どうしたらこんな惨状になるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!?」


「ひゃうっ!?」



惨状や惨劇という言葉を使ってすらまだ足りない、そんな目の前の光景に思わず心の底から叫びがこみ上げ、私の口内を通り半壊した社の中にも外にも響き渡っていく。

床は全てひっくり返したのかと問いたくなるくらいほとんどが抜けていて、社を支える支柱もおおよそ折れている。

さらには神力で祝福を掛けた宝も例外無く全て壊れており、参拝客からの貢ぎ物もほぼ全てが駄目になっていた。

……幾らなんでもこれは酷い。

そりゃ確かに私が目の前にいる祟り神ーーー諏訪子に勝って此処の主神の座を奪い取ったわけで、その腹いせなのか癇癪を起こすことがあることは身に染みて理解しているが、本当にこれは酷い。

あれか、これは私への最大の祟りか、流石は祟り神の頂点に立つ神だな畜生め。



「え、えっとね? ちょっと久々に私への客が来てさ? 相手が中々骨のある妖怪だったから長引いちゃって……えと、その、逃げられちゃった!」


「そうかそうか、まぁそれは良いさ。 しかし何でまた妖怪が諏訪子に直接会いに来るんだ? そしてこの惨状を誰が片付けるんだ?」


「あぅ……その、私の巫女を生んでもらうのに最適な相手が見つかってさ? ただその相手が人気のある妖怪で、ちょっと祟りを使って呼び出してみたら先にその取り巻きが喧嘩売りに来ちゃって…………あぅあぅ……ごめんなさい、私が片付けます……」



さて、私は目の前で土下座を始めたアホちび祟り神にどこからどうツッコめばいいのか分からなくなってきた。

まずどうして巫女を生んでもらう相手が妖怪なのか?

妖怪なんざ孕ませようとしたら人間達から信仰が減るかもしれないというのに。

それに呼び出すにしても祟りを使って呼び出すとは何事か?

そりゃ相手の妖怪の取り巻きも喧嘩をしに来るだろう。

さらにその取り巻きが骨のある奴だということは、力のある妖怪ほど人気の出る妖怪社会のことだ、孕ませようとしているのはもっと力のある妖怪なのだろう。

さらさら負ける気はないが、そんな妖怪を呼び寄せて万が一この辺一帯に被害が出たらどうするのか?

信仰を減らしたいんじゃないだろうかこのお子さま祟り神は。

……とりあえず、今回はこっちに非があるのは明白。

話の分かる相手なら、諏訪子と共に頭を下げて誠心誠意謝ろう。



「とりあえずだ、まずはその相手に掛けた祟りを解け。 そしたら相手は正気に戻って此処に来なくなるだろうが、今度は諏訪子から会いに行け。 もちろんここを片付けてからだ。 そしてしっかりと謝ってこい、良いな?」


「あぅ……うん、分かったよ。 でも、もう祟りは解けてる、っていうか解かれてるみたいだね。 結構強いやつ掛けてみたんだけど……」


「はっ!!!!!!!?」



思わず声をあげてしまったが、これはしょうがないだろう。

諏訪子が結構強いやつというならば、それは私ですら嫌な位の代物のはず。

それを自力で解くような相手、或いは解ける仲間を持った相手は想像していたよりも強いのかもしれない。

……これは私も一緒に着いていかないと、諏訪子が

危ないかもな。



「……それに、もう来てるよ?」


「えっ、ちょっ、えっ!!!!!!!!!!!?」



諏訪子が発した一言にさらに驚かされ、慌てて後ろを振り返る。

すると、そこにいたのはーーーー



「……こんばんは! 初めまして、吸血鬼のフランドール・スカーレットだよ! ……ねぇ、キュッとしてドカーンってして良いよね? 今すっごく色々壊してたくて堪らないんだ!」



ーーーー諏訪子よりも幼い、そして可愛らしい服を血の紅に染めた美しい吸血鬼の少女だった。
























……諏訪子よ、お前自身も幼いというのにさらに幼い少女が好みとは、一体どういうことだ?






ーーーーー

以上、寅は辛いよ&神奈子の悲劇はまだまだ続く回でした!



……あー、人里の皆を動かす前に先にフランが到着してもうた(笑)


さて、星は次回まで生きていられるのか、そして神奈子のストレスはぶっちぎってしまうのか?



それではまた次回にてお会いしましょう!


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