嫉妬は(何故か)奇跡を起こす! byパルスィ
どうも、東方転妹録最新話です!
えー、今回は無駄に思わせぎみな伏線と無駄にハイテンションな追跡班と無駄に出落ちな天狗で構成されています(笑)
もう、なんで作者自身が変なテンションな時に書いたのだろう?
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー七時間後、どこかの上空。
ーーーーside フラン
一体全体どうしてなのか、誰もいない夜の空を駆け抜け翼から光の尾を伸ばす。
それは何かの術や技ではなく、ただ単に翼に籠めきれなかった妖力と魔力が混ざり合いながら零れ出ているだけだ。
つまりは妖力と魔力を使った身体強化、それの行き過ぎた結果である。
そんな端から見れば幻想的とも、はたまた無防備とも言える姿を晒しながら、私は私の中の何かに邂逅していた。
……怖い、怖い怖い怖い!
ーー何が怖い?
……いきなり現れたあの人達、それにこれから現れるかもしれない誰かが怖い!
ーーどうして怖い?
……皆が分からないから、それに皆強いから!
ーーこれから現れるかもしれない誰かも?
……当然だよ、だって強いんだよ!?
ーーどうしてあの人達や、これから現れるかもしれない誰かが強いって分かるの?
……それは、私が戦ったことがあるから!
ーーどうして戦ったことがあるって知ってるの?
……それは、だって……。
ーー気付いてるんでしょ?
……分からない。
ーー気付いてるんでしょ?
……分からない。
ーー気付いてるんでしょ?
……分からない、分からないよ!
ーー気づいてるくせに。
……知らない。
ーー気づいてるくせに。
……知らない!
ーー気づいてるくせに。
……知らないって言ってるでしょ!
ーー大好きなんでしょ?
……そうなの?
ーー大好きなんでしょ?
……そうなのかな。
ーー大好きなんでしょ?
……そうなのかもしれない。
ーー壊してあげる。
……壊してくれるの?
ーー壊してあげる。
……壊して、くれるんだね。
ーー壊してあげる。
……ありがとう。
ーー壊してあげる、だから。
……だから?
ーー貴女の欲望を、私に頂戴?
ーーーーー同刻。
ーーーーside パルスィ
一体何時間飛び続けたのだろうか?
フランのお姉さんに頼まれて、ひたすらにフランの背中を追いかけ続けているけれど、本当に何処に向かっているのやら……。
まぁ、皆に心配されるフランが妬ましいからパルパルしていたら、フランが何処に、何が目的で向かっているのかという話を聞き逃していた私が悪いっちゃあ悪いのだけど。
……そんなことを考えていると、ふと前方に明るい虹色の光が見えてきた気がした。
「うん? あれは何だろうか?」
「あれ? あれって何……あぁ、あの光のことね」
「うっわぁ! 綺麗な虹色じゃん!」
「…………!」
同伴している妖怪三人と一匹、いや四人ーーーナズーリン、一輪、ムラサ、雲山が私と同じように前方の光に気付いて驚きの声をあげる。
気づいたのが私だけでは無いことが、ひっっっっっっっっっっっっっじょうに妬ましいけど、まぁ今はあの光の確認が優先事項だろう。
……いや、妬みながらでも大丈夫かな……パルパルパルパルパルパルパルパルパルパル…………!!!!
「パルパルパルパルパルパルッ!!!! よしっ、あれに追い付いてみるわよ! フランの翼も虹色だったし、あれはフランの光かもしれないわ!!」
「ぱ、ぱるぱるとは何なんだ……? ま、まぁその通りだし、さっさと追い付こうか」
私の言葉にナズーリンが追従し、皆で一斉に空を飛ぶ速度を上げる。
皆一斉に速度を上げたことがこれまた妬ましいけど、妬むよりも先に私は速度を上げることだけに集中していた。
何故なら…………。
「…………! …………!!」
「くっ、全然追い付く気がしないんだが!?」
「なんで、なんでよ!? 姉さん直伝の法力で身体強化もしてるのに!!!!」
「でも、これで追い付けないってことはフランさんで間違いないのかな?」
「ぬぁぁぁぁぁ!! どうしてそんなに速いのよ!? 妬ましいわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
「「「そこでも妬ましいの!!!?」」」
何か周りからツッコマれている気もするけど、そんなことを気にする余裕は私にはない。
只でさえ妬ましくてたまらないというのに、虹色の光には全く追い付く気配がしないのだ。
きっとあれはフランなのだろう。
そうでなければこの速さで追い付けないのは有り得ないだろうし、何より私の嫉妬が無駄になる。
フランに嫉妬せずして何を嫉妬するのか!
あぁ、本当に妬ましい!!
「あぁもう、あの速さが本ッッッッッッ当に妬ましいわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「だったら、私の速さにも嫉妬してくださいね?」
「「「「へっ?」」」」
ーースッ、ビュンッ!!!!!!!!!!
私の嫉妬が爆発した時、私達の後ろから余裕を感じる声が聞こえてくる。
それに気付いて振り返った瞬間、私達の目がその姿を捉えるよりも早く誰かが残像を残して私達を追い越していった。
「あ、あれはっ!?」
「今の声……地底での宴会の時にも紅魔館に泊まった時にもいた、あの鴉天狗?」
一輪とムラサの声に慌てて前を向けば、何度か見掛けた後ろ姿が視界に入る。
しかしその後ろ姿は既に点に近いくらい小さくなっていて、もう少しで虹色の光に重なろうとしていた。
そのことに思わず戸惑い固まっていたけど、ふと我に帰って立ち止まってしまっていたことに気付き、再び虹色の光に追い付こうと空を駆け出す。
……あっ、嫉妬すら忘れていたわ…………!
「一体どうやって此処に……いやしかし、速い……! あれならフランさんに追い付けるぞ!!」
「でも、フランさんって確か精神操作か何かされていたんじゃないの? それなら、迂闊に近づくのは危ないんじゃ……」
「なーに言ってんのよ? あの天狗にとって危ないとか関係無いじゃない! 本当に妬ましいけどね!」
「…………?」
「関係無いって、どういうこと?」
感嘆の声を上げたナズーリンと一輪に全力で飛びながらツッコミを入れれば、雲山とムラサが頭の上に疑問を浮かべた。
そんな感情豊かな表情がまたまた妬ましいけど、私は一息ついてから簡潔に単純明快な説明を述べる。
「あの天狗はフランが大好きなのよ、心底妬ましい位にね。 第一昼はフランにやられてあんなに酷い怪我をしていたのに、今こうして目の前でフランに追い付こうとしてるじゃない。 つまり、あの天狗はフランに追い付くためなら危険なんて省みてないのよ。 あぁ本当にもう妬ましいったらありゃしない!!!!!!!!!!」
「成る程、愛故に危険を省みてないのか……」
「愛、ね……」
妬ましい妬ましい妬ましい、あぁ妬ましい!
ナズーリンとムラサが感心したように天狗の後ろ姿を見つめているのも、私がフランに追い付けないのにあっさりと天狗がフランに追い付こうとしているのも、私自身がフランに傾倒しようとしているのも、何もかもが本気で妬ましい!!
地底から地上に行き来できる穴が出来て、ようやく地底だけじゃなくて地上でも自由気ままに過ごせると思ったのに、結局自分の意思でフランに振り回されていることが本当に妬ましいったらありゃしない!!!!!!!!!!
「パァァァァァァルパルパルパルパルパルパルパルパルパルゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!!!!!!!! 妬ましいからフランに燃やされてしまえパルパル天狗ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!!!!!!!!」
「「ひぅっ!?」」
ーードカァァァァァァァァァァァァァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
「…………!!!?」
「天狗が、爆発した……!?」
私の叫びと共に視界の先で、虹色の光から伸びた紅い光に当たった天狗が凄まじい爆音と共に爆風が天にまで上る勢いで爆発する。
その光景に、私の叫びですら驚いていなかった雲山と一輪さえも驚きの表情を見せているけど、私は驚くことなどなかった。
何故なら、私の心の中は歓喜に満ちていたからだ。
「私の嫉妬は、奇跡を起こすっっっっっ!!!!!!!!!!」
喜びと共に叫んだ声は、爆風でまだ明るい夜空へと大きく広がっていったのだった……。
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以上、パルスィの嫉妬祭りカオス回でした!
……何だろう、この無駄にやり遂げた感は?(笑)
シリアス……目指したはずなんだけどなぁ(笑)
それではまた次回にてお会いしましょう!