結論、頭を潰せば話は早い
どうも、東方転妹録最新話投稿です!
いやー、展開上表や裏で全キャラ動かすのキツいですね(笑)
たった一人の黒幕のために……無念orz
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数十分後、???。
ーーーーside ??
ーースゥ……カッカッカッ…………。
空中に細い切れ目が現れて瞬く間に大きく口を開き、中から三人の女、いや、女の子が現れる。
一人は、アメジストを思わせる淡い紫の髪を靡かせ、フリルのついたワンピースドレスのようなものを身に纏い、胸元に大きな瞳をこしらえている。
一人は、月によく映えそうな銀糸のごとき髪を揺らし、落ち着いた配色の服を着こなして、胸元に閉じた瞳をこしらえている。
一人は、夜を象徴するかのような鮮やかな漆黒の髪を流し、摩訶不思議な左右不対称の翼を蠢かせながら、上物の大きな槍を携えている。
その三人は黙したまま歩みを進め、私の目前へと迫ろうとしていた。
ーーカッカッカッ…………カッ。
「ふむ、よくぞ参った。 して、御主らは何用で此処を訪れたのかな?」
「……知れたこと、それは貴女がよくよく御存知でしょう? 心を読む限り、どうやら貴女が正解のようですし」
「ふふっ、お姉ちゃんの前じゃ、隠し事は意味ないよ?」
「まどろっこしいのは好きじゃないんだ、さっさと話を進めてよ。 それと、その作った口調はやめてよね」
私を前にして、怯むことなく堂々と構える三人。
流石にここまで敵意を露にされているのだから、ここでふざけた道化を演じるのも無粋と言うものだろうか?
いや、口調位はそのままで良いだろう。
これはどうせ、数ある内の一つの余興でしか無いのだから。
「……数ある内の一つの余興でしかない、ですか。 そうとなれば、本命は分かりやすいものですね」
「うん? 本命だと? ……ふふっ、ふふふふふふふふっ!!」
「……何がおかしいのですか?」
「いや何、思い出したら高揚感が溢れてきてね。 少し笑みが溢れてしまったよ」
「……チッ!」
どうやら二人ほど機嫌を損ねてしまったらしい。
紫髪の少女は私を睨む目をさらに鋭くし、口調を変えなかったことで黒髪の少女は大きく舌打ちをしていた。
しかしそんな二人に御構い無く私は言葉を進める。
「御主らが守ろうとしている子は、とても素晴らしい子だ。 戦い方以外の記憶を奪って尚、経験を失った身であれほどの力を見せつけ、そしてその純真さを失うことはない」
「記憶を奪ったんだ……本当にふざけてるね!」
「なぁに、ちょっとした下準備のようなものさ。 ……何せ、まだ見ぬあの子には私の巫女を生んでもらわなければならないんだ。 余計なものは必要なーー」
ーーードシュッ!!!!
私の言葉を遮るように、槍の一撃鋭く一閃される……が、そう簡単に当たるわけもない。
槍の矛先が煌めく瞬間、私は既に槍の軌道上から飛び退いていたのだから。
「ちょっと、避けないでよ! あんたの脳天ぶち抜かないといけないんだから!!」
「私はあの子みたいに凄い再生能力を持っているわけではないからね、脳天をぶち抜かれるわけにはいかないさ……さて、準備は良いみたいだね?」
先程までの飄々とした態度を改め、ミシャクジを纏める時のような祟り神としての心得を持ち三人の少女と向き合う。
その変化を感じ取ったのか、覚り妖怪の姉妹はそれぞれ札を構え、鵺は槍を静かに両手で持ち、腰を落として両手突きの構えをとっていた。
それを見た私は両手に鉄の輪を召喚し、不敵に笑って見せる。
「私を倒せばあの子の祟りは解ける……が、勝てなければあの子の身体を私が味わい、巫女を生ませるまでだよ。 さぁ、此度の余興、存分に楽しもう!」
ーーーーー同刻、どこかの上空。
ーーーーside ルーミア
晴れた空を駆け、フランが向かったと考えられる方向に真っ直ぐ飛ぶ私と御義姉様と小傘と星。
何故この四人なのかと聞かれれば、逃走するフランを保護するために複数の班に分かれたからと答えるのが正解なのだろう。
それぞれの班の総力が均等になるように、実力順に班分けした結果なのだ。
「……御義姉様、本当にさとり達三人だけで良かったのかー? 助けがあるとはいえ、幾らなんでも嘗ての諏訪大国の主神相手にあの三人だけじゃ戦力不足なのだー」
「そうね、でもそれでいいのよ。 戦いに勝つことが全てじゃないのだから…………例えば、自分が操られている時にその操られている原因を弾くには、どんなことが起きれば良いと思う?」
「……成る程、中々えげつないことを考えるのかー」
私が横を飛ぶ御義姉様にそう告げれば、御義姉様は面白そうに笑みを浮かべる。
確認するまでもないけど、御義姉様のことだからさとり達の命と貞操の安全はしっかりと守っているのだー。
そうでなければ負傷した者達を連れて一度人里に帰ろうとしていた八雲紫に、『さとり達が危なくなれば全力で介入して頂戴』なんて頼まないのかー。
更にそこで介入する予定の面々は、八雲紫を筆頭に西行寺幽々子、風見幽香、勇儀、萃香、蓬莱山輝夜、美鈴と中々に素晴らしい顔ぶれなのだー。
それに人里に仮設したフラン捜索拠点には八意永琳や鈴仙、妖夢に慧音がいるし、お客さんだったナズーリン達も手伝ってくれてるのだー。
だから、さとり達の安全と治療の準備は万全なのかー。
「あのー、出来るだけ穏便にしてくださいね? 聞けばレミリアさんったらせっかく氷漬けから解放したチルノさんを宴会の後に屋根の上で凍らせたりしているようですし、争いはフラン自身も望むところではないはずですから」
「大丈夫よ、チルノに関しては地霊殿から帰ってきた時にちょっとした憂さ晴らしに凍らせたりだけだし、フランが悲しむ結果にはしないわ」
「あちきも出来るだけ争いはしたくないなー。 だってびっくりさせるのは好きだけど、びっくりさせられるのは嫌だもん!」
「「「いつもびっくりさせられてる側じゃない(ですよね)(なのかー)」」」
「あー!!!! 皆ひどーい!?」
私達に言葉で集中砲火され、ぷんすかと怒り出す小傘。
それを見て笑いながらも、私達はそれなりに全力で飛び続けていた。
小傘のおかげで和んではいるけど、今はフランに関わるかなりの緊急事態なのだ。
それこそ、知り合い全員を総動員するほどに……。
「いつも通りの小傘は置いといて、フラン追跡班を三つに分けて良かったのかー? フランは精神操作されてるみたいだし、下手をしたら暴走したフランに各個撃破されかねないのかー」
「正確には記憶操作ね。 まぁ現時点の情報によるなら、という程度のものだけれど。 それと各個撃破は気にしてないわ…………あまりオーエンの時の真似はしたくないけれど、負担を増やせば増やすほどフランは無意識の内に術に抗うでしょうから」
「……精神的な負担を与えるということですか…………」
御義姉様の言葉に、星が不快そうな表情を見せる。
私自身もあまり賛同できる気分にはならないけど、しかしフランに術を掛けたと考えられる相手が相手だ。
元一国の主神の術に解呪の術で抗うのも骨が折れるし、下手をすれば完全に解呪できないまま終わってしまうかもしれない。
そうとなれば、フランが自分の力で解呪出来るように必要なきっかけを作ってやるしかないのだ。
そしてその必要なきっかけとは…………。
「……まぁもし話に上がる主神が犯人なら、さとり達が勝てばそれで術が解けるかもしれないし、全ての負担をフランに背負わせることはしないわ。 さっ、もっとスピードを上げて早くフランを追いましょう!」
「了解なのだー! 小傘、星、私の腕に掴まるのかー!」
御義姉様の号令と同時に小傘と星が腕に掴まるのを確認し、空を飛ぶ速さをあげる。
とにかく今はフランを追い、可能ならば保護することが私達の班の目的なんだから、考えるより先に動かないとしょうがない。
フランの精神操作をどう解除するかは、フランを保護した後に考えれば良い話だ。
今はただ、フランの無事と御義姉様の言葉を信じて前に進むだけ…………それだけを考え、私は黒い闇の翼をはためかせ、空を駆け続けるのであった。
ーーーーー
以上、古明地&ぬえによる暗殺&フラン包囲網拡散中回でした!
……さて、この動きの中で新参の妹紅をどうすべきかな?(笑)
それに、少なくともルーミアを傍に置いてる時点でレミリアが何に力を入れてるかは分かるものの、もこたんは……。
それではまた次回にてお会いしましょう!