吸血鬼は他の妖怪を魅了できるようです。
どうも東方転妹録最新話です!
えー、なんか時間ができたのと気持ち的に余裕があったので更新しました(笑)
今回は妹紅の主人公化を防ぐため、フランと藍ペアに視点が行きますよ!
……ってか、いつかフランのヒロイン化も阻止せねばならぬ気がしてきた(笑)
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数十分後。
ーーーーside 藍
「えっへん! 私の勝ちだよ藍さん!!」
「いやはや、これは流石に参ったな……」
戦いの熱気がまだ辺りを漂う中、嬉しそうに誇らしく胸を張り勝利を宣言するフラン。
その姿は先程まで狩人、或いは捕食者の目をしていた時からは想像もつかないほど愛らしく、今にも抱き締めてしまいたくなる衝動を抑えるのに必死な私がいた。
……今回の戦いは最後まで私が圧していたが、不意をつかれて全身を炎の妖術(フランやレミリアからすれば魔術というらしいが)で焼かれ、細く美しい腕で胸を貫かれたことにより私の敗北が決まった。
勿論、私とて最強の妖獣と謳われた九尾の狐だ、ただやられるだけではなくフランの下半身をしっかりと切り落としている。
しかしそこはやはり吸血鬼と言われる種族の強さなのだろう、下半身を切り落とされても躊躇なく私の懐に飛び込んできて見事に至近距離からの炎の妖術を放ってくれた。
吸血鬼という種の生命力の高さと不死性を失念し、下半身を切り落としたところで思わず勝ったと思ってしまったことが今回の敗因と言えるだろう。
「でも、やっぱり藍さんは強いよね! 吸血鬼の再生力が無ければ、下半身を切り落とされた時点で私の負けだったもん。 それに終始藍さんには圧されてたし!」
「それでも最後には私が負け、フランが勝ったのは事実だよ。 だからそこまで謙遜しなくても大丈夫さ……さて、こうで良いかな、苦しくないかい?」
「うん、大丈夫だよ! 服を用意してくれてありがとう藍さん!」
私が紫様のスキマの能力の一部を譲り受けて封じていた札から取り出した、いざという時のために作っていた法衣を着て嬉しそうにしてくれるフラン。
私がフランの下半身を切り落とした時、フランの服のスカートという部分がボロボロになってしまった為に用意した物だ。
フランに用意した法衣は、見た目は私が着ている法衣と大差はない。
違いと言えば、全体の大きさと、尻尾ではなく翼を出すための穴の位置だけが違う程度だ。
大きさもフランの体に丁度良くできていたようで、以前紅魔館に世話になった時にこっそりと採寸…………こほんっ、『偶然』フランの服の大きさを知ることができていて本当によかった。
……まぁ、大きさを知っているのはフランの服だけなのだが。
「見た目は私の物と変わりないが、その服には紫様も関与していない私特製の術式が仕込んである。 妖力を通せばフランの周りに妖力弾だろうが妖刀だろうが、果ては神力でも防げる結界を貼ってくれるぞ。 それに編み方も工夫してみたからな、ちっとやそっとじゃ破けないはずだ」
「えっ!? えっと、そんなに凄い物を貰っても大丈夫なの……?」
「大丈夫だよ、それはいつも元気に色んな所へ行くフランの為に作ったものだからね。 気にせずに受け取ってくれ。 それと、もし破けたりしたら私の所へ持ってくると良い。 フランの為だ、幾らでも直してあげるよ」
「本当っ!!!? ありがとう藍さん、だーい好き!!!! 今度何かお礼するね!」
ーーギュッ!
「ふふっ、楽しみにしておこう」
……皆、今のフランの言葉を聞いたか!?
大好きだと……しかも大好きと言ってくれながら私に抱き着いてきたぞ!!!!
無邪気に抱き着いてくる姿はまるで本当に我が子に思えるようで……あぁ、なんと可愛いことなのだろう!!!?
普段はフランの傍に紫様がいたりレミリア達がいたりと、私が酒に酔って吹っ切れた状態でなければ中々こういう機会には巡り会えないのだが…………あぁ、このなんとも癒される至福の時よ……!!!!
フランの前でなければ、今にも悶えそうな気分だ!
「えへへっ! あっ、そうだ! もし良かったら藍さんも一緒に旅に行かない!? もこたんも頼りにはなるんだけど、あの様子だと……」
「もこたん? あぁ、先程の白い髪の炎使いか…………成る程、勝ったとはいえ犬走に左腕一本持っていかれてしまったのか……」
抱きあったまま視線を動かし、犬走と、フランからもこたんと呼ばれる人物の方を眺める。
そこにいたのは、私と同じように全身を焼かれて気絶したのか、首を捕まれてぶら下がる犬走と、 左の肩から下を綺麗さっぱり切り落とされたもこたんの姿があった。
そのまま観察するように眺め続けていると、もこたんの左肩が軽くうねりだし光り始める。
そして光が収まると、そこには左腕が再生したもこたんの姿があった。
「あれは…………」
「輝夜さんと同じ、不老不死の能力だよ……つまり、もこたんは蓬莱人ってことだね」
「成る程、永遠亭の姫と同じなのか……しかし、こう言ってはなんだが、椛に左腕をもっていかれてしまう程度では不老不死と言えど盾にしかならないだろうな」
「……そうだよね、これから新たに来る追っ手を考えると、厳しいけれどそうなるよね」
私と椛を除いて追っ手として確実に控えているのは、紫様、射命丸、そして紅魔館一同…………しかし紫様がいるのだから、知り合い全てに声をかけるのは間違いあるまい。
なんたって私と紫様を訪ねてきた時の射命丸達曰く、『今回のフランさんの暴走に対して紅魔館は本気で包囲網を敷く』と言っていたのだから、それに相応の規模で追ってくるはずだ。
……紫様と射命丸が『可能なら私達が紅魔館に向かっている間にフランを連れ戻しなさい(してください)!!』なんて言って私と椛をスキマに蹴落としてくれなければ詳しい規模を知れたのだがな…………。
「……思えば、説明があったとはいえ何故私と椛は蹴飛ばされなければならなかったんだ?」
「へっ? 蹴飛ばされた?」
「んっ、あぁ聞こえてしまったか。 いやなに、私と椛がこちらに来る時に紫様と射命丸からそれぞれスキマの中へ蹴飛ばされて来たのを思い出してな? フランが心配だったから今の今まで気にしてなかったが、気付いてみれば少し……な?」
そこまで私が言うと、何かを悟ったように静かに満面の笑みを浮かべ出すフラン。
それを横目で見ながら、私は棒読みで言葉を進めた。
「あー、ちょっと頭に来たからどうにかして紫様を懲らしめてやりたいなー。 でも紫様を怒れる誰かがいないと私だけでは紫様が我が儘を言うしなー。 そうだなー、紫様を怒れる誰かと一緒ならちょっとくらい家出をしても紫様の我が儘に付き合わされることもないだろうなー」
「はいはいはーい!! それなら私が丁度良いよ! 紫さんにも悪いことはちゃんと悪いって言えるもん! それに今は少しでも仲間が欲しいし、利害は一致するよ!!!!」
「ん、そうか? よし、紫様の大切な友人であるフランにそこまで頼まれたなら仕方ないな! 泣く泣く、本当に泣く泣くだがこれも紫様のため!!!! 少々の間家出をするとしよう!!」
「わーいっ!!!! ありがとう藍さん!!!!!!」
「ふふふっ、そうと決まれば早速フランの目的地に行こうじゃないか? そうだ、時間があるならもこたんとやらの特訓もしてあげよう。 私とて、まだまだそう衰えてはいないからな!」
「やったぁ!!!! おーいもこたん!!!!!!!! 藍さんが仲間になってくれたよー!!!!!!!!」
あまりにもわざとらしい私の提案にも関わらず、嬉しそうに乗ってくれてもこたんに呼び掛けるフラン。
そんなフランを抱き抱えながら、私はちょっとした予感を感じていた……。
……もしかしたら、最終的には皆でフランの旅に着いてくることになるんじゃないか、と。
ーーーーー
以上、フランに藍さんが陥落回でした!
えー、なんだろう、藍がとんでもなく我が子にアマアマなバカ親に見えてきてしまった……orz
ってかフランは何人母親代わりを作る気なんだ……?
とりあえず、Vsモコモコ同盟編はこれで終わったし……うわー、まだまだ追っ手が多すぎる(笑)
それではまた次回にてお会いしましょう!