テンパった吸血鬼には気を付けよう!
どうも、東方転妹録最新話です!
今回は唐突だけど、遂にあの人が登場しますよ!
そしていきなり…………(笑)
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー紅魔館、玄関先。
ーーーーside フラン
「それで……こんな時間に一人でどこに行こうとしていたのか、ぜーんぶ教えてくれるかな? フ・ラ・ン?」
「あぅ、うぅ…………!?」
肩を掴まれたままぎこちなく振り向いた私に、とっても良い笑顔で威圧感たっぷりの言葉と一切笑ってない視線を向けてくるこいし。
上手く処理しないと、このままでは監禁&お説教ルートは免れないに違いない…………というか、監禁されてからお説教という名目で何をされるか分かったもんじゃない。
「えっと、その、ね? 地霊殿が出来たから、地霊殿でさとりとこいしと一緒に地底の管理を手伝ってくれる人を探しにいこうかなーって「それは嘘だね!」ひゃうっ!?」
「まず、それをするなら普段のフランは皆に相談してくれるよね? それに少なくとも今みたいな『紅魔館が異常な状況』の時にフランが一人で行動してるだけでも十分怪しいよ! お姉ちゃんに閻魔のことは任せて上がってきてみれば皆起きてないし、起こそうとしても起きないし。 そんな中、フランが皆を心配することなく一人で行動してるってことは…………フラン、皆が起きないのはフランの仕業だよね?」
「うっ……!!!?」
……いけない、こいしに全て読まれてしまってる。
多分私が犯人ってことまで予想がついてるなら、この状況だしきっと私が旅に出ようとしてることまで分かっているんだろう。
それに私の肩を掴む手がなんだか凄く厭らしい動きをしてきてるし…………うん、これは逃げなきゃヤバい!
「さーてフラン、早速だけど紅魔館にある私の部屋に行って良いこと……こほんっ、お話し「こいし、ごめんね!」ようか、って何!!!?」
ーー『フォーオブアカインド』
私の肩を掴むこいしの手を振り払いながら、私は自分の分身を呼び出す。
突如分身を呼び出した私の行動に驚いたのか、手を振り払われて崩したままの体勢でこいしは固まっていた。
そんなこいしに追い討ちをかけるように、私は分身達を一気に動かす。
「「「せーのっ、それー!!!!!!!」」」
ーーーコチョコチョコチョコチョ!!!!!!!
「ちょっ、待っ……きゃははははははははははっ!!!!!? まっ、まって!! くすぐっ……あはははははははははっ!!!!!!!」
「それじゃあ行ってくるから、御姉様達に追ってこないでって伝えといてねー!」
「あははっ! 待っ、待ってフラ……あはははははははははっ!!!?」
私の分身達にもみくちゃにされながらこしょぐられ、耐えきれずに大声で笑うこいしを後目に迷いの竹林に向けて飛び立つ私。
目指すは用心棒に相応しい『あの人』であり、『あの人』に用心棒になってもらうこと。
こいしに旅立つ所を見られてしまったことで追っ手が来るのは早くなってしまうだろうから、これからは時間との勝負だ。
そう考え、私は魔力を翼に、妖力を全身に展開してより速く飛ぶための体勢を整える。
そして気付いたときには、私の後ろに紅魔館が見えないくらい遠くまで来ていたのだった。
ーーーーー数刻後、迷いの竹林。
ーーーーside ??
なんだろう、今日は竹達が騒がしく感じる。
いつもはイタズラ好きで面倒な妖精達か憎たらしいアイツの部下であるウサギ達しかいない、静かな竹林だというのに…………今は、まるで何かが起こったかのように竹林の空気が落ち着かないのだ。
……いや、落ち着いていないのは私の方かもしれない。
何だか妙な予感がする……それも憎たらしいアイツが放った刺客が来るとかじゃなく、もっと別の、新しい面倒事が現れる気がしてならない。
「……まぁ、考えてみたところで動かなきゃどうしようもないわけだが…………」
そう言って霧が包む竹林の中で静かに一歩を踏み出す。
それはいつも通りの一歩のはずで…………しかし私が一歩を踏み出した時、唐突に辺りを包んでいた霧が晴れた。
ーーブワァァァァァァァァッ!!!!!!
「な、なんだ!?」
「あっ、誰かそこにいるの?」
「っ…………!!」
霧が晴れて数瞬、遅れるように突然辺りを凪いでいく風に思わず声を漏らせば、風が来た方から幼い女の声が響いてきた…………そう、幼い女の声だ。
こんな妖怪や妖精だらけの竹林に只の幼い女がいるわけがない。
ましてやこんな早朝、まだまだ月に魅了された暴れん坊の妖怪達が夜の名残を感じながら起きている時間だ。
それにさっきの音と衝撃が遅れるほどの風…………となると今聞こえてきた幼い女の声の持ち主は、それなりの実力を持っていると思っていいだろう。
だからこそ、思わず声を漏らしてしまったことを私は一瞬後悔していた。
「えっと、こっちかな……?」
「…………ちっ!」
ーーガサッ!
「あれ? 今度はそっち?」
ガサガサと音をたてながら近付いてくる声の主。
そんな声から出来るだけ遠ざかるように移動しようとしたが、足元から響いてしまった音を声の主はしっかりと聞いているようだった。
いっそ飛び立つべきかとも悩んだが、只でさえ音と衝撃が遅れるほどの風を起こせる実力を持っている相手だ、空中戦で勝ち目があるとは思えない。
それに私は飛ぶときにどうしても炎の翼を展開してしまうから、それこそ単なる目立つ的にしかならないだろう。
だからこそ私は即座に覚悟を決め、ゆっくりと霊力を展開してガサガサと音がする方に構える。
そして遂に声の主が竹林を掻き分け…………。
「そこ、か……な…………」
「おっと、可愛らしい妖怪さんが私なんかに何か用があるのか? それなら今は取り込み中だから後に「……い……」して……って、い?」
「……いたぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
「な、何なんだ……ってちょっ!? 急に抱きつくなぁ!!!?」
「いた! いたよ!! やっと見つけたよ!!!!」
「は、はぁ!!!?」
一体何なんだろうか、この妖怪は。
見た目は普通……でもないか、綺麗なヒレのついた赤……というよりは紅を基調としたきらびやかな、この近辺では見られない服装をしている。
それに髪の毛の色もこの国の人間では持ち得ない綺麗な金色で、尚且つ深く魅力的な紅い瞳をしている。
総合的な印象として…………まるで独特な人形を見ているような気分だ。
そんな妖怪がまるで私を探していたかのような発言をしながら心底嬉しそうに抱き着いてくる。
その様子に敵意の欠片すら感じることはできないが…………しかし、これはまずい、非常にまずい。
ーーービキキッ!
「分かった! 何が目的なのか知らないけどとにかく分かったから離せ、離してくれ!!!?」
「やだー! やっと見つけたんだもん!! 死に物狂いだったんだよ!?」
ーーービキキキキッ!!
「今は私の方が死に物狂いだ!!!! 頼む離して! 背骨折れる!! 本当に死んでしまうから!!!!!!」
「不老不死が死ぬわけないもん!!!!!! 絶対に、ぜ~ったいに離さないからね!!!!!!」
ーーービキキッ、メキッ!!!!!!!
「ど、どうしてお前がそれを知ってるんだ!!!!!? ってか離せよ!! イダダッ!?」
「私は何でも知ってるもん!! もこたんのことだって知ってるもーーーーん!!!!!!!」
「もこたんって何なんだああぁぁぁあぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!?」
ーーーメキッ、ゴキッ、バキィィィィ!!!!!!!!!!!!!!!!
私達の声を除けば静かな竹林に響く、私の背骨が折れる音。
同時に私は激痛による断末魔をあげて、ゆっくりと竹林に戻ってきた霧に包まれるかのように意識を失っていく。
そんな中、ある一言が脳裏によぎったところで、私は完全に意識を失ったのだった。
……やっぱり、私の予感は間違ってなかったな。
ーーーーー
以上、フラン無事旅立ち(脱出)&妹紅初登場(そして初死亡!)回でした!
……さぁて、妹紅ファンの皆さん、本当にすみませんm(__)m
もうね、皆に正体知られてるフランの暴走を止められませんでした(笑)
本当に、次回からどうするかな?←(いつもその場の思い付きでストーリー進めてる馬鹿作者)
それではまた次回にてお会いしましょう!