響く絶叫、待ちぼうけの鬼と死神
どうも、東方転妹録最新話です!
今回は天狗と例の犯人、そして勇儀と萃香と小町がほどよくメインですよ(笑)
……決して、小町のこと忘れてた訳じゃないですからね?((((;゜Д゜)))
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー数十分後、地上側の大穴付近。
ーーーーside フラン
「よいしょ、っと!」
ーーメキッ、ボゴッ、ズボォッ!!!!
「うわー……ありゃ妖精も真っ青になるんじゃない?」
「普段は可愛い可愛い愛しい愛しいってばっかり考えてるけど、こうしてみるとやっぱり吸血鬼って凄いよね……」
「あやややや……しかしあのような強いフランさんの姿もまた記事のネタに出来そうです!」
「貴女はあの人の能力の呪縛から解放されたかと思えば、本当に懲りない野次馬精神を発揮しますね? 大体その野次馬精神が無ければ貴女はあの人の能力に捕らわれることなくーーー」
「射命丸、まーた閻魔に捕まっちゃってるのかー」
「確かに能力に束縛されているよりも、閻魔に説教されている方が多くなってきている気がするわね…………それでも、説教されながらフランの姿を写真機を使って撮っている姿には最早感心するわ」
「……あんたら、その子に見とれてないで早く木を切り出しなさいよ!? 迷惑掛けたから責任とって手伝ってるけどこれって元々あんたらの仕事でしょ!?」
『『『えぇー……』』』
「『えぇー』じゃない! 今のところ私とその子しかまともに作業してないでしょーが!!!!」
こんばんは! 只今必死になって木を引き抜いて奮闘しているフランドール・スカーレットだよ!
大穴で、ひょんな形で皆を騒がせて(主に私に)被害を出した犯人を(ほぼ文字通り)炙り出すことが出来てから、犯人も含めて皆で地上にやってきたの!
そこで……まぁ色々と残念な状態の椛と出会って、ぬえが椛に掛けた幻術を解いて被害にあってた一人の白狼天狗を助けてから、家が近くにある文お姉さんと椛から合わせて六人分の哨戒天狗の服を借りたのが十分くらい前。
そこから着替え終わった皆で文お姉さんが勇儀達から頼まれた木を切り出す作業を始めたんだけど、椛だけは…………。
『あややっ! 椛、大天狗様から呼び出されてますよ?』
『うぅ、やっぱりさっきの事についてですよね…………文さん、文さんも一緒に来てくれませんか? そしてどうか証人として事情の説明を……!』
『それは無理です、だって(記事のネタにするために)フランさんが最優先ですから!』
『んなっ!? あ、文さんの薄情者ぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!』
……こんなことがあってから、迎えに来た他の白狼天狗の人達に着いて大天狗さんの所に行っちゃったの。
まぁ、ぬえの幻術の見たからとはいえ同僚の白狼天狗さんを襲っちゃったのは椛だからしょうがないよね。
「せーの、っと……ふぅっ! あっ、『パルシィ』さん、この木の形整えてもらっていいかな!?」
「はいはい、任せときなさい……それにしても、あいつらはどうにかならないの? さっきからフランばかり見てて作業が全っ然進まないんだけど……」
そう言って大穴での騒動の犯人ーー水橋パルシィが御姉様達の方を横目でジトッと睨む。
……今回、パルシィさんが騒動を起こした理由は実に単純なものだった。
大穴が出来てからふと地上に出て行く宛もなくうろうろしていると、偶然にも私がメイド達に抱っこされて運ばれている最中の紅魔館に着いたらしい。
窓からその様子を見て妬ましくなり、唐突に現れ紅魔館の中に消えた椛とその後に続くようにして紅魔館に入ろうとして外担当の警備メイド達と戦いになった氷の妖精(多分チルノだよね)を見て楽しそうで妬ましくなり、さらに外での戦いが引き分けて落ち着いてから私を抱えて飛び出してきた椛を見て妬ましくなり、さらにさらにその後椛と私を追うように飛び出してきた御姉様達を見てグループで動いてることに妬ましくなり、御姉様達の後を追ってきてみれば映姫さんや文お姉さん、ルーミアを見てさらに妬ましくなり、非常に妬ましくなりつつじっと様子を伺っていたらレーヴァテインに巻き込まれて捕まったとのこと。
因みに妬ましくなった時は全て能力を使ったのだとか。
……その話を聞いておもわずパルシィさんに飛び付き、抱き締めたまま全力で不満を表したのは言うまでもない(抱き着いたのは万が一また能力を使われた時に背骨を折る勢いで抱き締める為だよ!)。
「むぅ……確かにあれは駄目だよね…………そうだっ!!!!」
「んっ? どうしたのよ……って、げっ!? またそれ!?」
隣でパルシィが驚きの声をあげた原因ーーレーヴァテインを右手に喚び出しつつ、左手を御姉様達の方に掲げて、ある『種』を手の中に集める。
そしてその私の様子を見ていた御姉様達がおもわず構えた瞬間、私は躊躇なく左手を握り締めた。
ーーズバァァァァァァァァァァン!!!!
「ちょちょちょっ!? 何、何が起きたの!?」
『『『っ…………?』』』
レーヴァテインだけを注視していたパルシィは突然の破裂音に驚き、何かを破壊されると思って反射的に目を閉じていた御姉様達はゆっくりと目を開けて、自分達に何も起きていないことを確認してから疑問の表情を浮かべている…………ただ一人を除いて。
「……い…………」
「んっ? 今誰か何か言った?」
「…………い……い……」
「射命丸? どうかしたのかし……全員耳を塞ぎなさい!!!! 早くっ!!!!!!!!」
『『『っ!?』』』
ぬえの疑問に、声の主の検討をつけつつ皆の方へ振り返る御姉様。
そして振り向いた御姉様が声をあげるよりも早く、私はパルシィに抱き着いてパルシィの頭に耳を塞ぐように腕を回しながら首筋に自分の片方の耳を押し付けた。
そうした瞬間ーーーー
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
私の写真機がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!!!!!?」
ーーーー手の中にカメラのネガだけを残した文お姉さんが、絶望と嘆きと混乱を込めた絶叫を辺りに響かせたのだった……。
ーーーーー同刻、地霊殿建設予定地。
ーーーーside 勇儀
これからさとりを当主に地底を管理することになる建物ーー地霊殿の建設予定地の地ならしを終え、後は材料が運ばれてくるのを待つだけとなった訳だが……。
「……はぁっ、ルーミア達、何時まで掛かってんだい? 一度に運べる量を考えればそろそろ二往復は出来ててもおかしくないだろうに」
「にゃははっ、こっちは復活した土蜘蛛の協力のおかげで思ったより早く終わったからねぇ…………まぁ、何故かここに死神がいる時点で何かあったとは予想がつくけどね?」
横に座る萃香の言葉が途切れると共に、二人で後ろに振り返る。
そこには未だ気絶したままのさとりと、その看病を頼んだ土蜘蛛のヤマメ、そして岩の切り出しを頼んだはずの死神が地面に腰を下ろしていた。
「なぁ、岩の切り出しはどうしたんだい? まぁそこのヤマメだけにさとりの看病を任せるのは(ヤマメが)危険な気がするから助かるけどさ?」
「いやぁ、あの二人の後を着いていっていたら丁度映姫様の気配を感じてねぇ。 二人を呼び止めようとしたけど、聞こえてないのか大穴に飛び込んでいっちゃったし、いやーな予感がしたから申し訳無いけど私だけ退散してきたって訳さ」
「あー……確かにあの閻魔は私や勇儀でも怖すぎるぐらいだし、しょうがないかぁ」
確かに、あれだけは、説教だけはもう聞きたくない。
太陽と月が百回昇って百回沈んでいるのではないかと勘違いするほど長い説教など、他に誰が出来るだろうか?
それを考えれば、この死神が逃げ帰ってきたのも納得がいくし仕方がないとも思う…………鬼としても、力ではなく言葉攻めをしてくる閻魔だけは相手にしたくないのが今の本音である。
「そうなると、ルーミア達も捕まっちまったのかねぇ……」
「そうだろうねぇ……せめて、数時間で終われば良いけど…………」
「映姫様だから、無理な話さね……」
「「「はぁ…………」」」
どうやらもう暫く、このまま待つしか無さそうだ。
ーーーーー
以上、文発狂&まったり地底待機組回でした!
まぁ、働かずに写真ばっかり撮ってたら罰受けますよね!
レミィ達への説教効果は、次回かな?
そして地底待機組…………哀愁漂う〆になってしまいました(笑)
それではまた次回にてお会いしましょう!