紅い姫と黒い専属騎士
どうも、東方転妹録最新話です!
えー、寝坊で遅れて本当にすみません!
今回はルーミアサービス回になっていますが、寝ぼけ眼で書いたのでもしかしたらいつもよりこざっぱりと甘めになってるかもしれません!
と、とにかく楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー地底。
ーーーーside フラン
「……もう、いないよね?」
「うん、もう大丈夫なのだー。 射命丸も、私にかかってきていた能力も消えたのかー」
こんばんは! 只今ルーミアに手を引いてもらいながら、なんとか怖くなっちゃった文お姉さんから逃げ切ったフランドール・スカーレットだよ!
文お姉さんを振り切るのと同時に、ルーミアに作用しようとしていた『どれかの負の感情を盛り上げようとする』能力も無くなっちゃったみたい。
まぁ能力がかかってもルーミアには全く効果が無かったんだし、むしろある程度かかってくれてる方が逆探知みたいな感じでルーミアも能力の持ち主を探したりできたのかも。
「ふぅ、怖かったぁ…………あっ、ねぇねぇルーミア、ルーミアに作用しようとしてた能力の持ち主がどこら辺にいるかとか分かるかな?」
「んー、流石にもう能力が感じられなくなってるから、持ち主を探すのは無理なのかー。 役に立てなくてごめんなのだー…………」
「あっ、気にしなくて良いんだよ!? もし分かるなら、御姉様やこいしにも色々したっぽいし、ちょっと『お話』をしようと思っただけだから!」
「えっ? 御義姉様やこいしも、射命丸みたいにおかしくなったりしたのかー?」
「うん……こいしには嫌だと言っても襲われちゃったし、御姉様はひたすらに私に誰かが触れるのを嫌がってたの。 いつもなら嫌って言えばやめてくれるし、誰かと触れ合うのだって許してくれるのに…………」
ルーミアの疑問に、さっきまでの御姉様とこいしの様子を思い返す。
……何故だか寝ている私を連れ出していた椛を、執拗なまでに攻撃して御姉様とこいし、そしてぬえ。
まぁここまでは時折あったりする光景だから別に珍しくも無いんだけど、その後が問題だと思う。
完全に欲情して、私が嫌だと何度も言っても襲うのをやめてくれなかったこいし。
そして私に触れようとする者を、全力で排除しようとしていた御姉様。
いつもならこいしは嫌だと言えばやめてくれていたし、御姉様だって文句は言っても私が誰かと触れ合うのを止めたりなんて絶対しない。
ましてや私が触れ合ってる相手を必要以上に攻撃することなんて有り得ない。
だから、きっとあの二人もルーミアに作用しようとしていたものと同じ能力がかかってしまっていたのだと思う。
「ふむ……まぁとりあえず、御義姉様はともかくこいしは後でボッコボコに矯正してやるとして、多分それは私に作用しようとしていた能力と同じ能力にやられてると考えて間違いないのかー。 それに紅魔館と山の皆で動いてから被害が起きているみたいだから、地底にいる妖怪、或いは荒神が犯人だと見ていいのだー」
「でも、私が御姉様やこいし、それにぬえや椛と一緒に地上にいた時から段々様子がおかしくなってたよ?
確かに地上と地底を繋ぐ穴は大きいけど、そう簡単に上まで上がってくるかな?」
「うん、上がってくると思うのだー。 どの感情かは分からなかったけど、負の感情を盛り上げようとする能力を持っているということは能力の持ち主は人間に忌み嫌われて地底に封印されたはずなのかー。 こう言ってはあれだけど、弱い種族ほど自分達にとって不快な者を排除しようとする。 だから能力の持ち主は封印されるまで人間から嫌な想いをさせられてきたはずだし、その復讐に地上に上がろうとするのもいるはずなのだー」
「成る程…………確かにそれなら、地上に上がろうとしててもおかしくないよね……」
でも、それならどうして私達にまで…………いや、もしかしたら能力の持ち主にとっては『集団で何かをしている』ことが気に触ったのかな?
封印される原因が何であれ、ルーミアが話してくれたパターンなら封印されるまでは迫害されて孤独な想いをしてきたかもしれないし、そういう者からしたら例え妖怪でも集団で何かをしているのが妬ましく思えるのかもしれない。
むしろ妬ましいどころか目障りで憎いといったレベルなのかも。
だったら、小傘の時みたいに『お話』するよりも真正面から話をした方がいいのかな……?
「……とにかく、能力の持ち主を探した方がいいと思うの。 一度地上に出てたとしても、ルーミアにまで能力を掛けてたんだから最低でも大穴にはいるはずだし、今から戻れば間に合うよ!」
「でも、射命丸に御義姉様、こいしもまだいるはずなのかー。 ぬえと椛はどうなってるのか知らないけど、今の御義姉様達が怖くないのかー?」
「うっ!? で、でも犯人を探さないと、もしいつまでも御姉様達があのままだったら嫌だし…………そ、それにいくら怖くても捕まらなければどうということはないもん!」
「むぅ……相手に御義姉様と射命丸がいる時点で、幾らフランでも不利すぎるのだー…………それでも、フランは行きたいのかー? さとりや勇儀の所に避難することもできるんだよ?」
そうやって私を心配するように、空中に止まったまま私の腕を掴む手を離してから、両手を頬に添えてくるルーミア。
そんなルーミアの両手に自分の両手を重ねてから、ゆっくりと下に降ろして、ほんの少しだけ微笑んでみせる。
「……うん、行きたい! だって御姉様達をいつもの優しい御姉様達に戻したいし、そうしないといつまであのままか分からないから、だから、行きたい!……それに、ルーミアもいてくれるんでしょ?」
「はぁ……当然、フランが行くのに私が着いていかない訳ないのかー! 私はフランのお嫁さんで一番の相棒なのだー!」
「ふふふっ! ありがとう、ルーミア!!」
呆れたように溜め息を吐きながら苦笑して、右手で握りこぶしを作るルーミア。
そんな優しいルーミアにお礼を言うと、何かを思い付いたかのようにルーミアが上着の黒のシャツを脱いだ。
そして…………。
ーー……ファサッ。
「はい、その服の上からでいいからこれを着ておくのだー。 フランの今のままの服装で行ったら最初から全力で御義姉様達に襲われちゃうのかー」
「あっ、ありがとう! ……えへへっ、なんだかルーミアに包まれてるみたい!」
「っ……全く、フランはそういう所が無防備なのかー。 もうちょっと自分のことについて警戒心を持つべきなのだー!」
「えっ? そ、そうかな……?」
顔を紅くしながらどこか焦ったように注意してくるルーミア。
そんなルーミアに思わず戸惑っちゃったけど、私が戸惑っている間にルーミアは一息ついて、ちゃんと自分を落ち着かせていた。
そうしてから、ルーミアはダーインスレイブを右手に持ち、静かに私に向けて左手を差し出してくる。
「さっ、行くなら早く行ってチャチャッと終わらせてくるのかー。 フランは、私が守り抜いてみせるのだー!」
「うん! よろしくね、私の騎士さん!」
「っ!? ……よぉぉぉぉぉぉぉぉし、やってやるのだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
今だけだけど、まるで私の専属の騎士の様になったルーミアに少しお茶目な挨拶をしてみる。
ただそれだけのことだったけど、ルーミアにはやる気の源になったらしい。
そんな元気に叫ぶルーミアの左手をとりつつ、私は思わず笑ってしまった。
でも、今のルーミアにはそんなことは気にならないらしく、元気に笑顔のまま、ルーミアは私の手を引いて御姉様達のいる大穴へと向かい始めたのだった……。
ーーーーー
以上、ルーミアサービス回でした!
……うん、ルーミアが紳士過ぎてありがたい……!
実際執筆するときって、ルフランコンビが一番まともに百合っぽく書ける気がするんですよね。
レミィはあれだし、さとりはフランに対して押しが弱いし、こいしは狂っちゃうし、ぬえは被害者(物理)になっちゃうし…………まぁ、どれも書いてて楽しいですけどね!
さて、それではまた次回にてお会いしましょう!