私こそが本家本元の最速記者です!
どうも、東方転妹録最新話です!
今回はタイトルから分かる通り、文がメインとなっております。
視点はレミリアですけどね!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー地底。
ーーーーside レミリア
「かっ…………はっ……?」
ーーグラッ……トサッ。
私の目の前で、一瞬だけ戸惑いと疑問を浮かべた悟りの体がぐらつき、私の服に掛けた手もゆっくりとほどけながら私の腕の中にさとりが崩れ落ちてくる。
その様子に敵襲を疑った私は先程までの戯れのような(実際は色々な意味で必死だったけれど)ことも頭の隅に追いやって、私は何時でも反撃に移れる様に、さとりを瞬時に抱え直しながら同時に辺りを見渡し…………。
「あら、貴女だったのね。 命知らずな輩が現れたのかと思ったわ」
「あややややっ? あー、助けたつもりだったのですが、もしかして余計な御世話だったでしょうか……?」
「いえ!! むしろ本気で助かったわ!……もし、あのままだったら…………!!」
……さとりの後ろから現れた、射命丸文を見つけることとなった。
どうしてここにいるのかは後で聞くとして、どうやら暴走するさとりに当て身をして私を助けてくれたらしい。
その際さとりに手をあげてしまったことで私が怒ってないか心配しているようだけれど…………十中八九、その心配の一番の理由は『私の怒りを買うことでフランに会えなくなるのでは?』といったところだろう。
射命丸はどことなく……というか堂々とフランを愛でている一人であるし、私の知る限りでは唯一フランと二人きりで御風呂に入ったことのある(しかも忌々しいことに私の紅魔館でよ!?)人物であるからだ。
「ふむ、では助けに入ったのは正解でしたか…………いっそ助けずに二人のあられもない姿を記事にしても「射命丸、聞こえてるわよ? グングニル一発いっておこうかしら?」本当にすみません!」
「全く、結局命知らずじゃない?」
「いやぁ、記者として日々活動しているせいで、少々職業病が…………あ、あはは……!」
「はぁ……貴女の場合、性格もあるでしょうに」
本当に、この詐称癖とも言えないこともない記者魂という名の妙な根性はどうにかならないのだろうか?
まぁ、このひねくれた根性があるからこそフランと二人っきりの御風呂なんて妬ましくて羨ましくてしょうがないというか本気で絞め殺したいというかいっそグングニルで能天ぶち抜いてやろうかというかフランは私のモノであり他の誰のモノでもない!!…………オホンッ、このひねくれた根性があるからこそフランと二人っきりの御風呂にまで入ることが出来たのだろう。
その辺りは見習ってみても良いのかもしれない……というかフランとの愛の巣を作り幸せ且つ充実した生活を過ごしていくためにも是非とも見習わなければならない!!!!…………コホンッ、多少ひねくれているけれど諦めない根性は見習ってみても良いのかもしれない。
「そういえば、どうして貴女はここにいるのかしら? さっき、あの大穴に行った時は貴女を見掛けなかったけれど…………あぁ、こいし達を忘れていたわね」
「実は勇儀さんと萃香さんがルーミアさんと一緒に大穴に入っていくのが見えましてね、『これは良いネタがあるに違いない!』と思って後をつけてみたのですが、見事にバレて勇儀さんに(強制的に)地上送りにされてしまいまして…………それで回復してから、またここに来てみたというわけです。 因みにレミリアさんの居場所は何回か聞こえてきた叫び声を頼りに探し出しました! それと、こいしさん達かどうかは分かりませんでしたが、落ちていく変な丸い物体を見つけたので一応持ってきましたよ?」
……まぁ仕方がない、どうせさとりに襲われる度にいつも悲鳴をあげているんだし、今更気にすることもないわね。
例え地底に響き渡るほど声が出ていたとしても、それでフランの心に…………届かないわね、あの天然さんには……。
とりあえず、今は助かったらしいこいし達を……って、あれ?
「そういえば射命丸、貴女、拾い物をしたんじゃなかったかしら?」
「あぁ、変な丸い物体ですか? それなら何か糸のような物が繋がってたので、捕まえた糸を腰から吊るしていたのですが……あっ、これですね、手繰り上げてみます」
「貴方、あの一瞬に回収どころか腰に掛ける余裕もあったのね……」
「速さが取り柄ですから! いくらさとりさんが真似しても、本家本元には敵いませんよ!」
「飛ぶ速さ以外も速かったのは初耳だわ…………それにしても、なんていうか、無様ね…………はぁ……」
私が疑問の声をあげると、腰の後ろの方をあさって一つの糸を体の前に持ってくる射命丸。
さとりを抱えつつ、その糸をよくよく見てみれば、糸は暗い暗い地底の底の方まで続いているのが見える。
そしてそこからさらに、吸血鬼の目を活かして凝らして見てみると、糸の下の先の方に丸い塊が見えた。
最早こいし達の腕すら見えないけど、落ちていく時に変に慌ててもがいて、残りの糸がおもいっきり絡み付いてしまったのだろう。
射命丸が引き上げる姿を見つつ、ほんの少し、呆れを籠めた溜め息を私は吐き出したのだった…………。
ーーーーー数分後、紅魔館。
ーーーーside 椛
さて、どうしてこうなってしまったのか……許されることなら、今私の腕の中でグッスリと眠っているフランさんに全力で問いたいものである。
「「「そこの誘拐犯、妹様を返しなさぁぁぁぁぁい!!!!!!!!」」」
「だから私は誘拐犯ではなくて……!! あぁもう、文さんと美鈴さんのバカァァァァァァァァァァァ!!!!!!!?」
「すぅ…………ん、みゅぅ…………」
「おっと、声を出しすぎた……ってそれどころじゃない!」
この危険地帯と化した紅魔館を抜け出すべく、私は安らかに眠るフランさんを起こさないように、且つ迅速に出口を目指す。
途中警備の妖精達が妖力弾を飛ばしてきたりもしたけど、それを軽やかに避けつつ、私は次々と妖精達を降りきっていった。
……私がどうしてこんな状況に陥ってしまったのか、それはもう神様の悪戯ぐらい酷く悲しい偶然の重なりの結果であり、恐らく確信犯であろう文さんのせいであり、門にいてくれなかった美鈴さんのせいであり、何より私の運の悪さが原因なのだろう…………。
しかしここでハッキリと言えるのは、安らか且つ可愛らしい寝顔で眠るフランさんには一切罪はないということである。
ーーーーー数十分前、紅魔館入り口。
「全く、文さんは私をなんだと思って……わざわざ大天狗様に許可をもらってまで私に手伝わせなくてもいいでしょうに……はぁ…………」
誰と話しているか分かりませんが、皆さんこんにちは、只今文さんのせいで哨戒任務から外され紅魔館に調査に来ている犬走椛です。
大天狗様に文さんが怒濤の勢いで進言していたことがーーー
『紅魔館の魔剣士ルーミアさんと鬼の四天王である星熊勇儀と伊吹萃香が一緒にいたんですよ!? しかも何故か三人がこそこそしてると思ったら、三人が見ている先に蜘蛛の巣のようなものに座り込んでいる先に同じく紅魔館の古明地さとりさん達がいましたし、何やら蜘蛛の妖怪と思われる者に説教していたんです!! 最近地底に古明地さとりを中心に新たな勢力、地霊殿という場所を作るという話がありましたし……これは今までも様々な(ネタになる)出来事を引き起こしてきた紅魔館がまた何かやらか……もとい何か引き起こす前触れに違いありません!!!! 即刻調査に行くために随伴員として犬走椛を連れていかせてください!! 彼女なら紅魔館の中心人物であるフランさんと親しいですし、適任ですから!!!!』
ーーー以上が、文さんの進言した内容でした……。
……えぇ、分かっています。
文さんの言うことは正しいです、紅魔館が動いて何も起きなかったことはありませんから…………フランさんが山に初めて訪れた時は(こちらの責任がほとんどでしたが)哨戒天狗が大損害を受けましたし、月面戦争にも参加してほぼ無傷で帰還しましたし、その後古明地姉妹はフランさん達に着いていって山を出ていきましたし…………もう、キリがありませんね。
「さて、考え事はここまでにして……美鈴さん、いませんね?」
何だかんだ言っても、やはり文さんの言う通り紅魔館が動いていることは魔違いありませんね。
今は段々と夕暮れが近付いている時間帯ですから、普段なら狂暴な妖怪が動きやすい夜に向けて美鈴さんが警戒を強めているはずなんですが、今は代理の警備妖精すらいません。
……これは、もしかして…………。
「フランさんの私室を、調査できる絶好の機会ですね……!!」
前に酒場で、私の不注意でフランさんを怒らせて散々な目にあいましたし、この機会に失礼ながら私室を調べさせてもらえればフランさんの好みや趣味を詳しく知ることが出来てこれからフランさんとの関係が更に良くなるはずです!
……元々は不本意ながら文さんにもらったこの機会、有効に使わせて頂きますよ!
ーーーーー
以上、レミリアの危機一髪劇場でした!
もうね、地霊殿に何時になったら辿り着くんだという位長いですが、まだまだ続きます!
ネタが出てきてるので、本当に続きます、地霊殿創設編!
そして次回はもちろん椛メインですよ!
それではまた次回にてお会いしましょう!