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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第3章 ~デンデンデデデン地霊殿!~
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強い妖怪的日常のヒトコマ

どうも、東方転妹録最新話です!!




今回は『妖怪的観点』の日常のヒトコマとなっています!



……まぁフランと幽香が揃うなら、一度は、ね?




それでは楽しんでいってください!!

ゆっくりしていってね♪


ーーーーー翌日の朝、幽香宅。

ーーーーside フラン



視界が明るくなる、目蓋の上から光が射し込んできたらしい。



「…………んみゅ……ふぁぁ……!」


「あら、フランったらもう目が覚めたの?」


「みゅ……幽香、さん……?」



朝日の眩しさを堪えながら目を開けば、優しい笑顔の幽香さんが横になったままゆっくりと頭を撫でてくれた。

どうやら幽香さんは添い寝をしてくれていたらしい。



「幽香さん、おはよぉ……」


「えぇ、おはようフラン。 さっ、今から朝御飯を作るから、早く起きて目を覚ましておきなさい」


「にゅ……う、ん…………」



私の頭を撫でながら起き上がった幽香さんは、次は私を抱え起こしてくれる。

そして私を布団の上に座らせると、幽香さんは朝御飯を作りに台所に向かっていった。


……あっ……そっか、昨日は幽香さんと戦った後にそのままお泊まりさせてもらったんだっけ?

今になって思い返せば……昨日の私、なんて恥ずかしいことを…………!!



「……と、とりあえず今は早く起きないと!!」



幽香さんに洗顔用の水か川がどこにあるかを聞いて、それから朝御飯を食べなきゃ!!

……昨日のことは気にしないようにしないと…………!


恥ずかしさからか一気に目が覚めた私は布団から跳ねるように飛び出した。

そして幽香さんがいる台所に向かい、台所を覗こうとすると……。



「幽香さ、んっ!?」


ーーーバフッ!


「あらフラン、ちゃんと起きたのね?」



……ちょうど台所から出てこようとしていた幽香さんに、抱き着くように全身でおもいっきり突っ込んでしまった。



「あ、あぅ……ぶ、ぶつかってごめんなさい!」


「構わないわ、別にこれくらい大丈夫よ。 それと朝御飯はまだだから今のうちに顔を洗ってきなさい。 水なら家の裏に井戸があるわ」


「うん、分かった!」



抱き着いたような体勢のまま大きく返事をすると、優しく私の頭を一撫でしてくれる幽香さん。

その暖かい手のひらを少しだけ名残惜しく思いながらも、私はすぐに幽香さんの家を出て裏の井戸に向かった。



ーーーカラカラカラ、ザバァ!


「よし、これくらい汲めばいいよね!」



幽香さんの家の井戸は滑車に桶を吊るして水を汲み上げるタイプらしく、そばに手動のポンプは無かった。

その上やけに桶が大きくて、一度汲み上げるだけでも結構な重さがある。


……まぁ、私みたいな妖怪には軽いんだけどね。

私って力はかなりある方だし。



「……ただでさえ種族としても強い吸血鬼、その上御姉様の妹なんだから、逆に力がなかったらおかしいよね……っと!」


ーーービシャアッ!!



軽い独り言を呟きながら、私は桶を持ち上げておもいっきり水を被る。

………………被る?



「……あっ…………!」



……うわぁ、おもいっきり水浴びと間違えちゃったよ…………。

うん、やっぱり寝起きで考え事しながら何か作業をするもんじゃないよね。

って今はそんなことを考えてる場合じゃないや!!



「うぅ、服までびしょびしょだよ…………どうしよう……?」



服まで濡らしちゃったから、体に張り付いた服から下の肌が透けちゃってるや。

幽香さんの家に無謀にも攻撃してこようなんて妖怪はいないだろうから、幽香さん以外には見られる心配はないけど…………。



「うぅ……替えの服、持ってきてないや……」



流石に濡れたまま幽香さんの家に入ったりは出来ないよね。

家の中がびしょびしょになっちゃうし、なにより幽香さんに迷惑をかけちゃうもん。



「しょうがない、ここはレーヴァテインで一気に「よし、今だ者共! ここから一気に飛び出して風見幽香を仕留めるぞ!!」乾かす……って、え?」



突然花畑から沢山の人達……いや、装備を見る限り一人の陰陽師とその周りを固める兵士達が、合わせて十人くらい飛び出してきた。

どうやら花に紛れてじわりじわりと幽香さんの家まで近付いてきていたらしい。



「なっ!? お、おい! 別の妖怪がいるぞ!!」


「なんだと!?……って幼い奴か。 それなら弱いだろうし、ついでに狩ってしまえ」


「私が、弱い…………?」



今私の目の前にいる陰陽師、コイツは何を言っているのだろうか?

恐らくは妖力を感じとる実力すらないから見た目で判断しているんだろうし、実力がないからこそ周りを兵士で固めているのだろう。

……しかし幾ら相手の実力が無かろうと、私を馬鹿にしてきたのは許せない。

私を、つまりスカーレットを馬鹿にするということ、それは紅魔館を馬鹿にすることと同義だからだ…………。



「よしやってしま「私は、私は弱くない!!!!」っ、なっ!?」


ーーードスッ!!!!


「ッ、ギャアァァァァァ!!!!!!!!」



陰陽師が兵士達に号令を掛けようとした瞬間、私は一気に飛び出して一番近くにいた兵士の胸を左手の手刀で貫く。

それを見て兵士達の中央にいた陰陽師は驚いていたけど、兵士達の中でも熟練しているらしい二人の兵士が即座に槍で私を貫こうとしてきた。



「ふんっ!!!!」


「アハッ! そんな甘い突きじゃあ私には当たらない、よっ!!!?」


ーーースッ、グチャアッ!!!!


「っ…………!!!!」



槍で貫こうとしてきた二人の内、先に私までたどり着いた一人が突き出した槍を私は頭を右にずらすだけで避ける。

その動作で左手から最初に貫いた兵士の体がずれ落ち、私はその空いた左手で突き出された槍を正面から粉砕しながら攻撃してきた兵士を殴り飛ばす。

上半身を殴る、たったそれだけで声無き悲鳴をあげた兵士の上半身は下半身と泣き別れをしながら吹き飛んでいった。



「おのれ! よくもっ!!!!」


ーーーブォン!!


「だから……甘いって言ってるで、しょ!?」


ーーーズパン!!!!



吹き飛ぶ味方の上半身を避けながら槍で凪ぎ払ってきた2人目。

私はそれを上に飛び上がりながら避けると、飛び上がった勢いを利用して回転しながら右手で手刀を突き出す。

そしてその手刀は兵士の頭から股にかけて真っ二つに切り裂き、兵士は何も言わずに絶命していった。



「た、隊長と副隊長がやられた!?」


「くっ、陣形を建て直せ!! 陰陽師様を守るんだ!!!!」


「ば、化け物……!!!?」



どうやら先程攻撃してきた2人はどちらも隊長格だったらしい。

残った兵士達が陣形を組み直して攻撃の要である陰陽師を守っているけど、肝心の陰陽師は私を化け物呼ばわりしながら震えていた。



「お、お前達! なんとしてでもあの化け物から私を守れぇ!!!!」


「むぅ……酷いなぁ、私は化け物じゃないよ?」


「そうね、フランは化け物じゃなくて強くて可愛い女の子よ?」


ーーーシュルッ!!


「「「「「っ!!!?」」」」」



さっきの兵士と同じ指示を出しながら私を化け物呼ばわりする陰陽師に文句を言った途端、私の後ろから不敵な響きを含んだ綺麗な声が響く。

そしてその声と共に陰陽師と兵士達の足元から触手のような植物が生え、陰陽師と兵士達を次々と絡めとっていった。



「あっ、幽香さん!」


「全く、フランみたいな可愛い子を1人で外に出すんじゃなかったわ。 びしょぬれになってるどころかすぐに愚か者達から襲われてしまったし…………さっ、朝御飯も出来ているし、早く家に戻りましょう」


「えっ? あいつらは…………って、あれ?」



名前を呼ぶ私を抱き上げながら、自分に呆れるように愚痴を言うと幽香さんはそのまま家に入ろうと歩き出す。

しかし残った敵はどうするのかと陰陽師と兵士達がいた場所を振り返って見てみると…………そこには既に陰陽師も兵士も死体も、そして触手みたいな植物も、誰もいなかった。



「幽香さん、あいつらはどこにいったの?」


「ふふっ、ちょっとお花達の栄養になってもらっただけよ? 悲鳴をあげる暇もなくね……」


「…………そっか」



つまりは、やはりそういうことなのだ。

敵に絡み付いていた触手みたいな植物は土から生えていた。

しかし今はその植物もいなくなっている。

……結論、今頃敵だった者達は皆土の中なのだ。



「さて、それじゃあ朝御飯にする前に少し着替えましょうか。 フランには私のシャツを貸してあげるわ」


「うん! ありがとう幽香さん!!」



誰が見ても平和に見えそうな私と幽香さんのやりとり。

もしそれが平和に見えないなら……きっとそれは、私に着いた血が原因だろう。






ーーーーー

以上、敵には容赦しない2人の日常回でした!!




フランは誇りを傷つける者を、幽香は『基本的に』自分に対立する者を敵とみなしてるみたいですね。


……うん、陰陽師、何もせずに出落ちしてしまった。



まぁ流石にフランと幽香相手には無理がありましたね(笑)




それではまた次回にてお会いしましょう!!

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