遊ぶお姉さんと遊ばれる少女
どうも、東方転妹録最新話です!!
今回はフランとあの人だけの話となっています!
……まぁ大体誰が相手かは皆さんも分かりますよね(笑)
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー翌日、太陽の畑の外れ。
ーーーーside フラン
ーーーズガァァァァァァァァン!!!!!!
巨大な光線が地面を抉りながら低空飛行をする私の側を掠めていく。
そして舞い上がった土煙が晴れると、そこから風見幽香が飛び出してきた。
「ほら、避けてばかりで私に勝てるつもり!!!?」
挑発的な言葉と共に私に向かって裏拳が打ち込まれようとする。
それを急上昇して避けると、私を逃した裏拳は地面に叩き付けられクレーターを生み出した。
「だから、私は戦うつもりは無いんだってばぁぁぁ!!!!!?」
もちろん、この声は既にバーサーカーと化した風見幽香に届くことはなく、再び放たれた巨大な光線の発射音に飲み込まれていった…………。
―――――
ーーーーー1時間前、太陽の畑。
「えっと、確かこの辺りにあったはずだよね?」
皆さん、おはようございます!!
紅魔館を抜け出てから1日かけて風見幽香の家に訪ねに来たフランドール・スカーレットだよ!
今は太陽の畑にあるはずの風見幽香の家を探してるんだけど…………辺り一面に向日葵があるだけで全然見つからないの……。
「むぅ、前にこいしと来た時は簡単に見つかったのになぁ……」
まぁ、あの時もたまたま見つけただけだったから、前の時が単に運が良かっただけなんだけどね。
やっぱり、どこを見ても地平線まで向日葵しか見えないのが普通なのかなぁ?
「はぁ……お花さんと話ができたら風見幽香の家の場所を聞けるのに…………」
「そうね、花達も貴女の困り様を見て手助けしたがってるわ」
「本当? うぅ、お花さんと喋れないのが悲しい…………って、えっ?」
「あら、どうかしたのかしら?」
……えっと、声がした方に振り返ってみたら、どうして笑顔の風見幽香がいるのかな?
まぁそれはともかく、とりあえず今は真っ先にあれを言わないと……!
「えっと……ま、前は迷惑をかけちゃって本当にごめんなさい!!!!」
「…………はい?」
私がいきなり謝ったことに呆気にとられたのか、目を丸くして風見幽香は固まってしまった。
……うん、やっぱりいきなり謝っても何のことなのか通じないよね。
ちゃんと説明してからもう一度謝らないと!
「その、五十年くらい前に友達がここの花を摘んじゃって、その時に謝らずに友達を連れて逃げることを優先しちゃったから…………だから、ごめんなさい!!!!」
「五十年くらい前…………あぁ、あの時私の花を人質にとって逃げ出した子が貴女なのね?」
「う、うん…………」
うぅ、さっきからずっと風見幽香は笑顔なんだけど……なんだか殺気みたいなのがヒシヒシと伝わってくるよぉ…………!
出来れば何もなく無事に済むといいんだけど……。
「そう、貴女があの時の…………ねぇ、貴女の名前は何と言うのかしら?」
「えっと、吸血鬼のフランドール・スカーレットだよ!」
「そう、『吸血鬼のフランドール・スカーレット』と言うのが名前なのね?」
「えっ!? そ、そうじゃなくて『フランドール・スカーレット』が名前だよ!! 」
「…………ふふふっ!」
「あぅぅ……!! わ、私で遊ばないでよぉ!」
私の反応を見て楽しんでいるのか、殺気を絶やすことはせずに私を弄っては笑う風見幽香。
そのことに抗議の声をあげると、風見幽香はより大きな声で笑い始めてしまった。
「あははははっ!! 本当、反応が可愛らしいのね?」
「うぅ、だから私で遊ばないでってばぁ!」
「あら、それは嫌よ? ここ何年か誰もここに来なかったから退屈してたもの、しばらく私に付き合ってもらうわ。 それに貴女は私に謝りに来たんだから…………分かるわよね?」
「うっ…………」
これはつまりあれだね、しばらくは解放してもらえないってことだよね。
……でも、相手は風見幽香だし、さっきから殺気みたいなのを感じてるってことは…………。
「えっと、じゃあ私はどうすればいいのかな?」
「簡単よ、貴女は私に付き合えば良いの…………そういうわけで、早速私の遊びに付き合ってもらうわよ?」
「う、うん…………って、えっ!!!?」
「あら、今度はどうかしたのかしら?」
遊びとはやはり『あれ』のことなのだろうと思っていると、いきなり風見幽香から首の下と両膝の裏に手を差し込まれて抱き上げられてしまった。
……つまり、今の私は風見幽香にお姫様だっこをされている状態なのだ。
「あぅ……は、恥ずかしいから降ろして!!」
「貴女には決定権も拒否権も無いわ。 それに貴女みたいに小さい娘は、この方が一々手を引いたり道案内するより手間が省けて楽だもの」
「そ、そんなぁ…………!!!?」
私のお願いを冷たくあしらうと、久々の優越感からか心底楽しそうな笑みを浮かべる風見幽香。
そして結局、風見幽香は私を降ろすこと無く太陽の畑上空に舞い上がっていった…………。
―――――
ーーーーー数分後、太陽の畑の外れ。
「ほら、着いたわよ」
「えっと、ここは……?」
風見幽香にお姫様だっこのまま連れてこられたのは、太陽の畑周辺にある場所にしては珍しい植物が少なく岩だらけな場所だった。
……植物が少ないってことは、やっぱり『あれ』をするってことだよね。
うぅ、やっぱり風見幽香相手に平和に終わるわけがないかぁ…………。
「……さぁ、もう何をするのかは分かっているでしょう?」
「えっと、二人で一緒にお昼寝とかかな……?」
「…………貴女、今度来る時はちゃんとした誤魔化し方を学んできなさい」
「あぅぅ……!?」
なんとか『あれ』を回避するどころかおもいっきり呆れた目で見られちゃったよ!!!!
ちゃんと魔法とか礼法の勉強はしてるんだけどなぁ……。
「さぁ、もう誤魔化しは無しよ? 早く構えなさい」
「はぁ、気乗りしないなぁ…………来て、『レーヴァテイン』!」
色々と落ち込みながらもとりあえず私は『レーヴァテイン』を喚び出す。
それを見た風見幽香も手に持っていた日傘を閉じ、ゆっくりと体の力を抜きながら私の正面に移動した。
「そういえば私の方は名乗っていなかったわね…………私の名前は風見幽香よ、貴女の好きなように呼びなさい」
「えっと、じゃあ幽香さんって呼ぶね! 私のこともフランって呼んでくれたら嬉しいな!」
「そう、フランね…………それじゃあフラン、そろそろ始めるわよ?」
どうやら幽香さんはもう待ちきれないみたいだね。
殺気も段々強くなってるし、眼光も鋭くなってきたもん。
……でも、やっぱり気乗りはしないなぁ…………。
「幽香さん、やっぱりお昼寝って選択肢は無いのかな?」
「あるわけがないで……しょ!!!!」
ーーーズドォォォォォォ!!!!!!
私の質問への返事と共に傘の先から巨大な光線が打ち出される。
そしてそれを合図に、私と幽香さんの(ほぼ一方的な)戦いが幕を開けたのだった…………。
ーーーーー
以上、遊ぶ幽香と遊ばれるフラン回でした!
……うん、幽香さんが軽く不思議キャラになりかけてしまった。
とりあえず、フランには合掌しておきますね。
それではまた次回にてお会いしましょう!