幕間の終わり、新たな旅立ち
どうも、東方転妹録最新話です!
今回から第三章のような感じで、再び物語が進み始めますよ!
さて、今回は前回から半年後の紅魔館からスタートです。
何の略脈もなく、いきなり…………!
それでは楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー半年後の早朝、フランドール私室。
ーーーーside フラン
遂にこの日が来た。
そう思いながら私は、まだうっすらとしか朝日が射し込んでこない窓を開け放つ。
……門の所にいる美鈴は昨日襲撃してきたのであろう野良妖怪の屍達の中で1人、ぽつんと立ったまま腕を組んで眠っている。
今こそが絶好の機会だ……。
「……よしっ! それじゃあしゅっぱーーつ!!!!」
朝の眠りに包まれた静かな紅魔館、その壁に規則正しく並んだ窓の1つから、ひっそりと、それでいて素早く紅い影が飛び出していった…………。
―――――
ーーーーー1時間後。
ーーーーside ルーミア
「……るみゃ…………う……ん…………もう、朝……?」
窓から射し込んできた朝の眩しい光を浴びながら私はゆっくりと起き上がる。
いつもいつも鬱陶しいと感じる朝日だけど、今日は晴天なのだろうか、よりいっそう鬱陶しく感じた。
……今日の朝日は本気で消したいくらい鬱陶しいけど、これならフランもちょうど今くらいに起きるのかー。
そう考えると鬱陶しいだけじゃないから…………まぁ、今日の所は許してやるのだー。
「うん、まずはフランに会ってからギュって抱き締めておはようのキスをしてフランへの愛を語ってフランと一緒に朝食を食べて…………それから美鈴と交代するのかー」
美鈴は昨日の夜の門番を担当してくれたし、今日の午前中は私が頑張るのだー!
……まっ、それもこれもフランに会ってからなのかー。
そんな何気無いことを考えながら私は2ヶ月前にフランからもらったパジャマを脱ぎ、いつもの服に着替える。
フランが『あの時』の騒ぎのお詫びにと作ってくれた手作りパジャマ、今の私にとって、毎晩毎晩着て寝るかけがえのない最高の品だ。
……そして鏡で服装の乱れが無いかを確認していると、廊下の方から誰かが駆けてくる音が聞こえた。
ーーー……ダダダダダダダッ!!!! バターンッ!!
「ル、ルーミアァァァァァァァ!!!!!! 大変、大変なことが起きたぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「こいし!? 一体どうしたのだー!!!?」
「フ、フランが!! 書き置きが!! 窓がぁぁぁぁ!!!!!!」
「フラン!?……こいし、落ち着くのだー!! 一体何が起きたのか、ゆっくり話してなのかー!!」
叫びながら飛び込んできたこいしを宥めながら、私は一体何があったのか、フランに何が起こったのかをこいしに問いただす。
……そして、ようやくこいしが放った言葉は、私の落ち着きを簡単に奪い去っていった。
「フランが、フランが書き置きを残してまた脱走したぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!?」
―――――
ーーーーー数分後、フランドール私室。
ーーーダダダダダダダダダダダダダダッ!!!!!! バタァァァン!!!!!!!!
「お姉ちゃん、封獣!!!! ルーミアを連れてきたよ!!」
「フランがまた脱走したって本当なのかー!!!!!?」
「……えぇ、そうよ…………フランがまた、書き置きを置いていったわ…………」
「「お、御義姉様……!!!?」」
こいしの話を聞いてからまさに死に物狂いのようにフランの部屋に駆け込んでみると、窓の側には悔しそうな表情の美鈴が、そしてフランの机の前に立つさとりと封獣、その間に膝をついて崩れ落ちる御義姉様の姿があった。
私だけでなくこいしも驚いていることから、御義姉様はさっき来たのだろう。
……そして今は、再びフランが脱走したことに強いショックを受けている最中といった所か。
「御義姉様、大丈夫なのかー?」
「大丈夫……大丈夫、ね…………フランがいるなら、大丈夫だわ……」
うん、これはしばらくダメなのかー……。
今は御義姉様が気を取り直すのを待って、その間に原因を探してまとめるのだー。
「……フランが脱走した原因、というか理由ならこの書き置きに書いてありますよ、ルーミア。 その理由の1つがレミリアがここまで落ち込む理由なんですが……」
「理由の1つが……?」
御義姉様の肩に手を置いて宥めていたさとりが、私の思考を読んで先に動いてくれた。
そのことに感謝しながら手渡された書き置きを見てみると…………。
『Dear:紅魔館の皆。
えっと、まず最初に、急に出ていっちゃってごめんなさい。
理由はいくつかあるんだけどね……ちょっと1人旅をしてた時を思い出しちゃってまた行きたくなったというのが1つ、それから最近皆に頼りすぎだったから少し自分を鍛えてくるのが1つ、そして最後に…………御姉様に変な観察日記を書かれ続けてることが嫌になってきたのが1つ!!!!
……まぁそういうわけだから、ちょっと数十年くらい1人旅をしてくるね。
ジパングからは出ないから、たまに帰ってきたりするよ!
というわけで、行ってきまーす!!
From フランドール・スカーレット』
……フランに対してもなんで気分で行くのかとか数十年ってどれだけ旅をする気なのかとか色々とツッコミたいけど…………1つ、1つだけ御義姉様にツッコませてもらいたい、というかツッコむのかー!!
「……なぁぁぁぁぁぁにやってるのだ御義姉様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!?」
「仕方ないでしょう!!!? 大切な家族の成長を記録することのどこが悪いのよ!!!!!?」
「いやいや……いくらなんでも自分の観察日記とかつけられるのは嫌でしょ?」
「……付け加えれば、その記録を見てニヤけてたりしていたのも問題でしょうね」
「私のお茶目な悪戯が理由じゃなくてよかったぁ〜……!」
「それは封獣さんが頑張ったからなのではないでしょうか? もし悪戯が悪化してたら、妹様はこいしさんの悪戯も理由にしてたと思いますよ?」
私が全力で、全身全霊を掛けてツッコめばそれぞれが思い思いの言葉を発した。
御義姉様の言い訳を言及してくれた封獣とさとり、アホなこと(私も少ししたことがあったりする)を言いながら胸を撫で下ろすこいしにツッコむ美鈴。
……これはもう、収拾がつかないのだー。
だから今はとりあえず…………。
「御義姉様、闇で太陽を遮ってやるから表に出るのかー!!!! そのひん曲がった根性、本気で叩き直してやるのだー!!!!!!」
「はっ、上等よ!!!! 適当に付き合ってあげるから、やれるものならやってみなさい!!!!!!」
「……はぁ、しょうがないですね……私も審判として着いていきます。 二人とも歯止めが効かなそうですから」
「あっ、私もいくよ! お姉ちゃん1人だと大変そうだもん!!」
「私も行きますね、さとりさんとこいしさんだけでは近接戦で止めに入れそうにありませんし」
「それじゃあさっさと皆で中庭にいくのかー!!!!」
売る喧嘩に買う喧嘩、そんな感じに部屋を飛び出す私と御義姉様。
そんな私達に皆も呆れたように着いてきて、結局全員で庭に向かっていった…………。
―――――
ーーーーーフランドール私室。
ーーーーside ぬえ
……これは、見事に私のこと忘れ去られてるわよね?
「全く、今はそんなことしてる場合じゃないってのに……」
余程混乱しているのか、私だけが部屋に残ってるのに気付かずに皆出ていってしまった。
まぁあれほど大切にしているフランがいきなり、その上数十年くらい出ていくと書き置きをしていなくなったのだから、混乱してしまう気持ちも分からなくはないけど…………。
「はぁ…………全く、普段は何も問題を起こさないと思えば、フランったらいきなりこんなでかい問題を寄越してくれたなぁ……?」
この半年間で私に与えられた紅魔館での仕事は、紅魔館の住民達がちゃんと仕事をしているかを観察し、問題を起こしているならば未然に防いだりその場で問題行為を止めるというものだ。
例をあげるなら、妖精達のサボりからフランの姉やこいし、ルーミアの暴走、果ては姉達2人のバカップル行為を止めることなどが当てはまる。
……そして私の仕事がそれだからこそ、私は今からフランを止めにいかなければならない。
基本的にフランに仕事は無いけど、強いて言うなら私達の『傍』で笑っていてくれるのがフランの仕事だからだ。
「ふぅっ……それじゃあ愛しいフランのために一仕事しますか!」
そう、これは仕事! 決してフランがいなくて寂しいとかいうわけじゃないんだから!!
……でもやっぱり、ちょっとだけ寂しいなぁ…………。
ーーーーー
以上、フラン三度目の脱走回でした!!
……まぁレミリアのことはおいといて、フランがまたまたやらかしましたね。
まぁ何度かフラグは立ててますし、おかしくはない……はず!
さて、それではまた次回にてお会いしましょう!!