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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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心の雨を遮る傘と、集まった想い

どうも、東方転妹録最新話です!!



伏線回収がこの回でガッツリできました!

後はフランの暴走に止めを……!!



それでは、シリアスと懐かしい空気が入り交じった回、楽しんでいってください!!

ゆっくりしていってね♪



ーーーーside オーエン



失われたはずの体の感覚がゆっくりと戻ってくる。

さらにその感覚からは、体を燃やし尽くそうとしているはずの熱さが感じられなかった。


……どうして? 太陽はまだ沈まないはず。

それに例え太陽が沈んだとしても、御姉様を燃やす炎はすぐには消えないはずなのに…………。


回復するには十分な程残っていた妖力が私の体を速やかに再生していく。

目はまだ見えないけど、耳は少しだけ聞こえ始めた。

聞こえるはずの炎が弾ける音は聞こえず、代わりに誰かの声のようなものが聞こえてきた。



「ど…………ちき……」



しばらくすると目が霞む程度に見えてきた、耳はもう完全に聞こえる。

皮膚を通して、体が冷たい何かで濡れているのも感じた。



「どどどどどうしよう!? 火は消したけど、わちきはどうすれば!?」



ぼやけた視界に慌てふためく誰かの姿が写ったけど、声と一人称から察するにあれは小傘なのだろう。


しかし成る程、これならある程度は納得がいく。

小傘がここにいる理由は分からないけど、大きな唐傘は私と御姉様を日光から守るのには十分だし、小傘は水系の妖術が使えるから炎を鎮火することが出来る。

だから今、私の体も御姉様の体も再生をしているのだ。


……でも、これは最悪だよ。 ようやく、ようやくこれで全てが終わると思ったのに……!!



「うぅ……あれ? フラン、わちきのこと見えてる!?」


「………………」



はっきりと見え始めた目で小傘の姿を視界に捉える。

すると小傘も私が見ていることに気付いて声をあげていたけど、私は返事を返すことなく、ただ小傘を見つめ続けていた。



「だ、大丈夫フラン? 怪我は、どっか痛いところとか苦しいところとか無い?」


「……ねぇ小傘、どうして私と御姉様を助けたの?」


「えっ……?」



心配してくる小傘に、私は静かに問いかける。

小傘が予想していた反応、それとは全く違う私の反応に小傘は呆気にとられていた。

……そして、私はゆっくりとこみ上げる怒りをさらけ出す。



「もう少しで全てが終わったのに、『オーエン』になることが出来たのに……」


「ど、どういうこと? わちき、悪いことしてないよね……?」


「ううん、したの。 小傘は酷いことをしたんだよ……」



話しながらゆっくりと立ち上がる私を見て、ただならぬ気配を感じた小傘は一歩、また一歩と後ずさる。

それと同時に傘が私と御姉様を隠さなくなったけど、既に太陽は沈んでしまっていた。



「フラン……な、何だか分からないけど、ごめんなさい……! だ、だから怒らないで?」


「やだ、私の邪魔をしたんだもん…………絶対に許さない!!!!」


「あっ、キャァァァァ!!!?」



叫ぶと同時に私は右手を妖力で包み、右手を引きながら小傘に向かって飛び出す。

小傘は悲鳴をあげながらその場に固まり、傘にしがみつきながら飛びかかる私を見つめていた。

……そして、私の右手は固まる小傘の胸に…………。



ーーーヒュッ、ガシィ!!!!


「……フラン、もう止めなさい? それ以上はもうダメよ」


「なっ…………!?」



……後少し、後少しで小傘を貫くはずだった右手を…………スキマから伸びた手がつかんでいた。



「や、八雲紫!? ど、どうして……まだ眠っていたはずじゃ…………!!!?」


「あら、フランに八雲紫だなんて他人行儀で呼ばれたくないわ。 それと、私は一人ではないわよ?」


「ど、どういう……っ!?」



訳も分からず、右手を八雲紫に掴まれたままスキマの方を向く。

するとそこには…………。



「やっ、フラン! もう気は済んだかい? あっ、フランが紫に盛ってた毒は私が能力で紫から散らしといたよ!!」


「まさかかの有名な鵺の尾の蛇の毒だとは思わなかったよ。 まぁ強力とはいえ歴史上有名な毒だったから私も手伝えたがな」


「始めは平安京で暴れまわった鵺の毒をどう手に入れたかと思いましたが、その鵺と協力していたとは思いませんでしたよ」



スキマから出てきて、瓢箪を手に持ち陽気に笑いかけてくる伊吹萃香。

その後ろから上白沢慧音と八雲藍が一緒に出てきた。

そしてさらにスキマから誰かが出てくる。



「フランさぁぁぁぁぁん!!!! 怒鳴りながら切りかかったりして本当に、本当にすみませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」


「ちょっ、うるさすぎです文さん!! フランさんの傷に響いたらどうするんですか!?」


「よぉフラン! 気が済んだなら一緒に飲もうじゃないか! 萃香も乗り気だしねぇ!!!!」



叫ぶように謝りながら飛び出してくる射命丸文と、それを咎めながら私の体を心配する犬走椛。

さらに星熊勇儀が伊吹萃香と同じようなことを言いながらスキマから出てきた。


「妹様! ようやくお帰りになられたのですね!!」


「め、美鈴さん落ち着いてください! まだそんな雰囲気じゃないですよ!!」


「いやいや鈴仙、そこは敢えてお帰りって言っておくものよ? そうしたらフランも安心できるじゃない」



感極まった様子の紅美鈴が私に抱き着こうとして鈴仙に止められていた。

しかし後ろから気だるそうに着いてきた蓬莱山輝夜が鈴仙に何かを諭している。

そして、こんなにも沢山来ているのに、その後ろからはまだまだ誰かがスキマから出てきている。



「……お帰りなさいフラン、もう落ち着きましたか? まだ落ち着きそうに無ければ私が添い寝をしてあげますよ!」


「さとり、顔に下心が出まくってるのかー。 それとフランと添い寝をするのは私なのだー!!!!」


「あいたたた、皆さん元気ですね。 私はまだ背中が痛みますよ…………あっ、フランは全く気にする必要はありませんからね!?」



顔どころか手の動きからも下心が感じられる古明地さとりと、同じく下心が感じられるルーミアが出てくる。

そしてそんな二人を見て苦笑しながら寅丸星が背中をさすりながらスキマから出てきた。

……最後に、私は信じられない二人がスキマから出てくるのを目の当たりにする…………。



「フラン、フランフランフランフラァァーーーン!!!!!!!! あぁ、この匂いこの柔らかさこの温もり!!!! 私の理想郷がここにあるよフラン!!!!」


「ちょっと!? 何私を差し置いてオーエンに抱きついてんのよ!! さっさと退きなさい!!!!」



……私のレーヴァテインの炎に飲まれて消えたはずの古明地こいしとぬえがスキマから出てきて私の周りで取っ組み合う。

片や私から引き剥がされまいと、片や私から引き剥がそうと必死になって争っていた。



「ど、どうして…………二人は、私が……!?」


「あぁ、それは私が助けたからよ。 フランの炎に飲まれそうな二人を能力使って弾き出したわけ。 で、弾き出した二人をそこにいる八雲紫とかいう奴が……」


「私がスキマで助け出したということよ。 まぁ二人も怪我はしたし、そこの姫様は跡形もなく消し飛んでしまったわね」


「リザレクションが出来なかったら終わってたわ……」



私が二人が生きていることに驚いていると、蓬莱山輝夜と八雲紫が二人を助けたと説明してくれた。

……確かに、それなら納得がいく。

二人がこうして私の目の前で生きているのもおかしくはない。


そう思っていると、未だに私を巡って争っていた二人に向けて、一本の槍が飛び込んできた。



「「キャッ!!!!!?」」


「……私を前にして、大切で愛しいフランを奪い合おうとするなんて度胸があるわね? それとさとり、起きるのを手伝ってくれるのは助かるけれど、さりげなく胸とお尻を触るのは止めてくれないかしら?」


「……あら、なら触るのではなくて揉みしだきますね!」


「ちょっ、そういうことじゃないわよ!!!?」



最早驚きすぎて声が出てこない。

誰も、誰も死んでいないのだ。

詩を紡ぐために襲撃してきた全員が、完全に仕留めたと思った者まで生きているのだ。

しかも誰も私を責めたりはしてこない……ただひたすらに、以前のように明るく接してくれていた。



「フラン……もう怒ったりしてない? わちきのこと、怒ってない?」


「小、傘…………」



グングニルで引き剥がされた二人の代わりに小傘が私に近付いてきた。

私の様子を伺うように、ちょっとだけ私の右手の指を掴みながら謝ってくる。

そんな小傘に対し、私は返す言葉が見つからなかった……。



「フラン、そんなに固まらなくても誰も怒ってないのかー。 フランが苦しんでいたのは皆知ってる、だから皆怒ることなんてしないのだー」


「まぁ私が言うのもなんだけど、オーエンももう限界でしょ? そろそろいつもの生活に戻っていいんじゃない? コイツらからしたらオーエンはフランだけどさ、私からしたらオーエンはオーエンなんだから『オーエン』になるって目的はある意味達成してるわけだし」


「後はもう仲直りするだけですよ。 鬼の方々も酒を持って宴会をする気満々ですしね」



小傘を見て再度固まる私に、ルーミアが、ぬえが、椛が話しかけてくれた。

その内容は、もう前のように戻っていいというもの。

皆を傷付けたことなんて気にしなくていい、誰も怒ってなんかいないというものだ。

……でも、私はまだ受け入れられない。



「……私は、オーエンにならないと、皆に…………」


「フラン、何度でも言うけど、あの時はごめんなさい! フランの秘密の大きさに驚いて、勝手に勘違いして…………。 でも、もう私は『全部を知ってる』フランを受け入れられるから!! だからほら、これを見てよ!!!!」


「えっ……?」



まだ受け入れられない私に、こいしが必死にあの時のこと謝ってきた。

そしてこいしは、謝りながら自分の第三の目を私に見える位置に持ってくる。

すると、第三の目は…………。



「っ……!!!!!?」

































……私を見ながら、しっかりと開かれていた。





ーーーーー

以上、ハイパー伏線回収回でした!!



……やっと、やっとあの懐かしい空気が見え隠れし始めた!

後はフランの心の壁を打ち砕くだけです!!


完全コメディ復活したら、最初は何をしようかな……?



それではまた次回にてお会いしましょう!

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