そして本当に誰もいなくなるか?
どうも、東方転妹録最新話です!!
えー、今回、遂にオーエンの詩が終わります。
ただ、詩が終わると言うことは……。
それでは楽しんでいってください!!
ゆっくりしていってね♪
----said オーエン
「んん……んむぅぅ!!!!」
「ふぁ……くちゅ…………くちゃ……」
肩と腰に回された手を振り払うことが出来ないまま、私はあの人に口の中を蹂躙される。
必死になって口の中に侵入してくるあの人の舌を押し返そうとするけど、逆に絡め取られてしまってさらに蹂躙される結果となってしまった。
……このままでは良いようにされ続けるだけだ、一度この体勢をどうにかしなければ。
「くぁ……こ、これ以上やらせない!!」
「ん、な!? ま、待ちなさいフラン!」
体を蝙蝠に変化させて視界を遮りながらあの人の腕の中から抜け出す。
するとあの人が咄嗟にこっちに手を伸ばしてきたけど、視界を遮る蝙蝠のせいでその手は空を掴むこととなった。
そして蝙蝠は玉座の間の宙に集い、私は玉座の間の宙に浮かび上がる。
……これで仕切り直しだよ、残ってる妖力は少ないけどまだ手はある。
詩の中の九人目の通りに…………太陽はまだ出てるかな?
「これでも喰らえ、『スターボウブレイク』!!!!」
「もう、少しは落ち着きなさいな? 『スカーレットマイスター』!!!!」
あの人を逃がさないと言わんばかりに玉座の間全体を満たし始めるスターボウブレイク、しかし刺突型の弾幕であるスカーレットマイスターは真っ直ぐに私とあの人を繋ぐ道を作り出そうとスターボウブレイクを削る。
その上あの人は自らの手を妖力で包んで、次々と迫り来るスターボウブレイクを弾き飛ばしながら弾幕の先頭を進んできていた。
このままではスターボウブレイクを突破されて私の所まで辿り着かれてしまう…………しかし、これが私の狙いだった。
その狙いをあの人に悟られないように、私は焦る演技をする。
「くっ、来ないで! 早く墜ちてよ!!」
「酷いわね、そこまで言われると流石に傷つくわ……まぁ、フランをまた抱きしめるまでは墜ちないけれど」
余裕な表情でスターボウブレイクの中を突き進むあの人。
既にスカーレットマイスターは止んでいるけど、その勢いは弱くなるどころかさらに強くなっていた。
……そして遂に、あの人が私の前に辿り着く。
「さぁ、追いかけっこはもう終わりよ。 いい加減、観念して私に抱きしめられなさいな?
私の愛を、その身に存分に受けなさい!」
スターボウブレイクが止み、あの人が堂々とした姿で私の前に立ち塞がる。
そしてあの人は大きく両手を広げると、先程とは違い今度は優しく私を抱きしめた。
触れるだけのキスですらしてこない。
……暖かい…………でも、これで詩は進む……!
「あら? 今度はとてもおとなしいのね、一体どうしたのかしら?」
「……大好きで大好きで仕方なかった人。 優しくて、それでいて頼もしくて誇りだった人……」
「……フラン…………?」
どうやらあの人は私の様子のおかしさに気付いたようだ。
私の言葉に不意をつかれて驚きつつも、少しだけ訝しげに私の様子をうかがってくる。
……そして、その間に私は玉座の間の奥の壁に向かって右手を伸ばした。
「……私を、『フラン』をいつも導いてくれた人。 せめて、『フラン』だった者の腕の中で安らかに眠って!!!!!!」
「なっ!!!?」
ーーー……キュッ、ドカァァァァァァァン!!!!!!!!
あの人の驚きの声と共に私は右手を握り、一つの種を壊す。
すると玉座の間の奥の壁が爆発し、壁が崩れ落ちて外の風景が見えた。
……今は夕暮れ、そして紅魔館は朝昇る太陽に刃向かうが如く向かい合っている。
つまり、紅魔館は夕方になると沈む太陽に背を向けているのだ。
だからこそ、ギリギリ太陽が沈んでない今なら……。
ーーーサァァァァ……。
「なっ、キャァァァァァァァァ!!!!!!!?」
煙が晴れ、壁があった場所から日光が射し込む。
そして日光は玉座の間を広く広がり、あの人の背中を照らす。
……その瞬間、あの人が絶叫し、あの人の体が一気に燃え上がった。
ーーーガシッ!!
「ァァァァァァ!!!! フ、フラ、クァァァァァァァ!!!!!?」
「逃げないで!! 貴女はここで私と共に滅ぶの!!!! 貴女の炎で私も焼かれ、そして詩は進むんだよ!!!!」
日光から逃げようとするあの人にしがみつき、私自身もまたあの人から燃え上がる炎に焼かれ始める。
炎はあの人から私の服に燃え移り、再生が追い付かぬ程激しい勢いであの人と私を焼いていった。
「フ、フラン!!!? だ、ダメ……ァァ……!!!! 貴女……ツゥゥ……まだ…………!!!!」
「貴女に歌ってあげる、私の最期の子守唄を!!!!
Two Little Indian boys sitting in the sun;
(2人のインディアンの少年が日向に座った)
One got frizzled up and then there was one.
(ひとりが陽に焼かれ、一人になった。)
One little Indian boy left all alone;
(1人のインディアンの少年が後に残された、)
He went out and hanged himself and then there were none.
(彼が自分の首を吊り、そして誰もいなくなった。)
……さぁ、詩は最後まで進んだよ!!!!
後は全て消えるだけ、燃えきってしまうだけ!!!!!!」
あの人が、その身を燃やしながらも尚私の身を心配するあの人が、私を自分から引き剥がそうともがく。
しかし燃やされているせいで体に力が入らず、あの人は私を振り払えぬまま私の詩を聞くことになった。
「……フ、ラァ…………」
「アハッ…………一緒に……一緒に、逝こうよ……私の……私の、大好きな…………おねえ……さま……」
炎が私とあの人の体の外だけでなく、遂に中まで焼き始めた。
始めに喉がやられ、それでも互いに必死になって声を出す。
片や愛しい妹を止めるため、片や大好きな姉を宥めるため。
……そして、私とあの人は抱き合ったまま、燃えながら地面に落ちた。
「……ゥ…………ァァ……」
「…………ェ……ァ……」
こうなってしまってはお互いに呻きながら日光が体を燃やし尽くすのを待つしかない。
あの人から燃え上がる炎が静かに私達を包み続ける。
……最早目は見えないけど、最後に見た日光の入り方から考えるに後数分程で太陽は沈むはず。
でも、数分もあれば十分だよね。
『フラン』は消えて、非道なことをした『オーエン』の名がこれからは残っていく。
……もう、思い残すことなんて、ないよね…………。
呻き声すら聞こえなくなり、遂には体の感覚までもが無くなってきた。
感じるのはわずかに残った妖力と、少しの喜びと沢山の虚しさに満たされた心だけ。
後はただ死を待つのみだ。
このまま、ゆっくりと永遠に覚めぬ静かな眠りに着くだけ…………。
……そこで、私は体が再生を始めたのを感じた。
ーーーーー
以上、吸血鬼姉妹回でした!!
……うん、もうこれは作者が後でフランやレミリアに殺されても文句が言えないですね。
しかしこれで後三話程で第二部が終わります!
始めは第二部はこいフラ、ルミフラ中心回にするはずでしたが……色々混ざってしまいましたね。
まぁこれについては第二部が終わった時に改めてお話しましょう!
それではまた次回にてお会いしましょう!!