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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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剣を持つ手と抱き締める手

どうも、東方転妹録最新話です!!



今回はフラン、ってかオーエンとレミリアの対峙回になっています…………が、正直レミリアの独壇場になっています。




それでは楽しんでいってください!!

ゆっくりしていってね♪


ーーーーー四十分後、紅魔館。

ーーーーside オーエン



「ここで最後……レミリア・スカーレットで…………」


太陽が西の地平線に近付いて空が深い緋色に染まり、所々に黒が増えてきた頃、私は紅魔館に辿り着いていた。

門の上空に浮かんだまま紅魔館全体を見渡してみるけど、門には門番がおらず紅魔館からも中でメイド達が働いているような雰囲気は感じられない。


……もしかしてレミリア・スカーレットは拠点を紅魔館からどこか別の場所に移したのかな?

いや、あれだけ誇りに拘っていたあの人が、紅魔館を捨てて拠点をどこかに移すことはないよね。

となると、この静けさは…………私を、誘ってる……?



「門も玄関も開いているし、多分それで合ってるよね……。

……だったらあの人がいるのは…………玉座の間…………」



あの人がこれだけ誘うなら、それは客人であれ敵であれ己が持つ全ての誇りを持ってして向かい合うという意思表示で間違いない。

……どうして、どうして星もあの人も、皆、私なんかに…………。

私はもう、フランなんかじゃないのに……!



「今の妖力だと弾幕には頼れない…………。

……レーヴァテイン、使わないわけにはいかないよね」



一度気持ちを落ち着けながら、今の自分の状態を確認する。

……星には妖力を使ってないとはいえ、度重なる戦闘と、日が沈む前に全てを終わらせるために移動中加速しようと使い続けたことにより、今ある妖力はレミリア・スカーレットと戦うにはキツすぎる程度しかない。

包囲型のクランベリートラップやカゴメカゴメを全力で放つなら三、四回が限界だろう。

放射型の恋の迷路だったりスターボウブレイクなら……多分、二回だ。

だから弾幕に頼れない私はあの人に接近戦で挑むしかない。



「どうせ詩の最後は私なんだから、刺し違えてでもあの人を……!」



刺し違えてでもレミリア・スカーレットを仕留める、そう心に決めながら私は玄関から紅魔館内に入る。

中に入ってもメイドは本当に出てこない、多分どこかの部屋に避難でもさせられてるのだろう。

メイド全員が避難できて玉座の間から離れている部屋と言えば、魔法具等がしまわれた倉庫があるからそこに避難しているはずだ。

……そんなことを考えながら飛び続けていると、気が付けば玉座の間の前に辿り着いていた。



「扉、ちょっとだけ開いてる……」



片側だけが少しだけ開かれている扉を、私はゆっくりと押し明けながら中に入る。

すると普段なら蝋燭の火やステンドグラスから漏れる光があるはずなのに、今の玉座の間は暗闇に包まれている。


……多分、ステンドグラスは魔法で遮光しているんだよね。

そして蝋燭は…………。



「……こういう時って、こんな演出が本当に好きだよね。

でも、私はありきたり過ぎると思うなぁ」


「あら、フランはこれが気に入らなかったかしら?

じゃあ次は別のにしないといけないわね…………まぁ、フランには次なんてないけれど」



吸血鬼の目のおかげで見渡せた暗闇の先、その先にいたあの人に声をかける。

すると扉の方から順々に蝋燭に火が灯りだし、同時にあの人が返事をしてくれた。


……やっぱり、あの人があぁやって玉座に腰掛けてる姿ってカッコいいよね。

しかもグングニルをもう持ってるし。

だから、だからあの人はフランにとって…………。



「私には次はない、ね。

それは私が貴女を壊すから?」


「まさか、私はフランに壊されもしなければフランを壊しもしないわ!

……フラン、貴女はこれから未来永劫私の傍にいるのよ。

私の寵愛を受けながら、ずっと心を満たされてね?」


「……私はもう生まれ変わるの。

『フランドール・スカーレット』から、『U.N.オーエン』に……。

私は、戻れないんだから!!」



玉座から立ち上がりながら夢物語を語るあの人に、一蹴するように私は叫ぶ。

しかしあの人は全く動じず、静かに笑ってみせた。

そしてあの人は、心底おかしそうに語り出す……。



「ふふっ、フランったらおかしなことを言うのね?

フランの言う『U.N.オーエン』、それはつまり『unknown』のことでしょう?

『unknown』、誰にも知られていないモノ、それになると貴女は言う……。

でも、フランは『U.N.オーエン』にはなれないわ!

フランは皆に愛され、そして知られているもの。

……だから、貴女は戻れるのよ、フラン。

大丈夫、今回のことなんかで誰もフランを嫌わないわ」


「……詩は必ず進むよ。

詩の最後は、私が私に壊されるの。

だから私が壊れれば…………誰も私を知らなくなる!!!!」



最早自分でも訳のわからないことを言っている。

でも止まることは出来ない、もう進むしかない。

私は、迷いを断ち切る様に大きくレーヴァテインを振った。



「……私の愛情表現が足りなかったせいで、フランはそんなことを言っているのかしら?

先に注意しておくけれど、二度と自分を傷付けるようなことを言ってはダメよ。

愛しいフランがそんなことを言っているのを聞くと本当に悲しくなるわ…………。

……さて、それじゃあこっちへいらっしゃい、フラン?

フランが二度と寂しい思いをしないように、全身全霊で愛してあげる!!!!」


「手にグングニルを持ってるくせに、何を!!!!」



あの人が大きく両手を広げると同時に叫びながら私はレーヴァテインを振りかぶりつつ前に飛び出す。

そしてあの人の前まで辿り着くと、おもいっきり降り下ろした。



ーーーガキィィィィィィ!!!!!!


「ほら、もっとこっちに寄りなさいな!」


「なっ、は、離してよ!?」



両手で降り下ろしたレーヴァテインを、あの人は右手だけで持ったグングニルで受け止める。

それを振り払ってくるのかと思えば、あの人はグングニルごとレーヴァテインを上に押し上げたかと思うと空いている左手で私を抱き寄せようとしてきた。



「離して、離してってば!!」


「離すわけないじゃない!

言ったでしょう、全身全霊で愛してあげるって!!」



レーヴァテインから右手を離して私の腰に回されたあの人の左手を引き剥がそうとするけど、深く腰に回された左手を剥がすのは中々上手くいかない。

そうこうしていると、遂にあの人の息が感じ取れるくらい近く抱き寄せられてしまった。



「くっ、『カタディオプトリック』!!!!」


ーーーババババババババッ!!!!


「ぐっ、がぁ!?……ま、まだ……くはぁ!!!?」



私から噴き出すように展開される弾幕。

それは私に抱き着くあの人を貫きながら玉座の間全体に広がり、壁や天井に当たってはそれぞれ跳ね返ってくる。

そしてその跳ね返ってきた弾は、あの人の背中にぶつかっては弾けていた。

……しかし、あの人はそれでも私を離そうとはしない。



「こ、これでもまだ離さないの!?」


「フ、フフッ! これぐらいでフランを離したりしないわ!!

一ヶ月、一ヶ月も貴女を抱き締められなかったのよ!?」


「そんなこと、私の知ったことじゃないよ!!」



跳ね返ってくるカタディオプトリックの弾をその背に受けながらも、あの人は抵抗する私を押さえ込んで抱き締める。

そして弾幕が止んだ時、弾幕で受けた傷の再生を終えるとあの人は睨み付けるようにレーヴァテインを見上げた。



「いつもはフランを守ってくれる素晴らしい剣だけれど、今は鬱陶しいわね。

レーヴァテイン、貴方はこの部屋の隅でグングニルと戯れてなさい!」


「えっ、なっ!!!?」


あの人がグングニルを掴む右手を滑らせてグングニルごとレーヴァテインを掴む。

そしてその右手を大きく揺らしてレーヴァテインから私の左手を振り払うと、そのまま私の後ろの方にグングニルとレーヴァテインを放り投げた。



「し、しまっ……!?」


ーーーガシッ!!


「っ!!!?」


「フフフッ! さぁ、これで私とフランの邪魔をする物は無くなったわ!!

後はゆっくりと……愛し合いましょう、フラン?」



私が驚いてしまっている間に右手で私の肩を包み込むように、それでいて力強く抱き締めるあの人。

そしてあの人はゆっくりと顔を近付けてきて…………。



「んぅぅ!!!? くちゅ……ふぁ!?」


「ちゅう……ぺちゃ、くちゅ…………!」



……抵抗する私に、深く、貪るような口づけをしてきた。





ーーーーー

以上、レミリアの愛の抱擁回でした!!




……うん、一応ルーミアの方がレミリアより強いはずなんですが、オーエンに対してはレミリアの方が強いですね。


まぁオーエンの両手を封じなかったルーミアに対し、レミリアは両手を封じてますから、その辺りが違ったかな?


さて、次回はどうなることやら……。



ではまた次回にてお会いしましょう!!

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