闇は破壊を導くために……
どうも、東方転妹録最新話です!!
今回はルーミア視点onlyで(一応)バトル回になってますよ!
それではいきなりですが楽しんでいってください!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー少し前。
ーーーーside ルーミア
「フラン、私の話を聞いてほしいのかー!」
「私はフランじゃなくてオーエンだよ!!
……よし、この辺りで良いかな?」
フランに引っ張られるままにこいしとあの封獣という奴から離された私。
まずは話をしようと手を引くフランに呼び掛け続け、気がつけばこいしと封獣の声が聞こえてこない所まで来ていた。
「フラン、お願いだから私の話を……!!」
「だから私はフランじゃなくてオーエンなの!!
話なんて聞くつもりもないし、その名前で私を呼ばないでよ!!!!」
立ち止まったかと思えば手を振り払いながら私に文句を言うフラン。
そしてフランは戸惑う私に向かっていきなり切りかかってきた。
ーーーガキィィィィィン!!!!
「っ!? フラン落ち着くのだー!!」
「この……! 黙れぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!」
レーヴァテインとダーインスレイヴが火花を散らし合う中、私が何度もフランと呼び掛けたことに激昂したのかフランが叫びながら押し切ろうと強く迫ってくる。
それを私が右手だけでダーインスレイヴを操って体の横に持っていき、炎を吹き出しながら猛り狂うレーヴァテインの太刀筋を横に流せば、フランはその勢いを利用して体を大きく回転させながら横凪ぎに払ってきた……。
……やっぱり前のフランと違って攻撃に容赦が無いのだー。
前のフランなら一撃離脱を主な戦法として慎重に戦ってたのに、今のフランは烈火のごとく攻めてくるのかー。
「フラン、フランってば!!!?
いいから私の話を聞くのだー!!!!」
「うるさいうるさいうるさい!!!!
私はオーエン、U.N.オーエンだもん!!!!!!」
オーエンなど認めてなるものかと言うかのごとく、私はただひたすらにフランと呼び続ける。
しかし私がフランと呼ぶ度にその攻撃は苛烈なものになっていき、逆に一撃一撃が重くも粗いものになっていった。
……前のフランじゃ考えられないほど挑発に乗りやすくなってるのかー。
これなら抑え込むのは簡単だけど、でも、裏を返せばそれほどフランが傷ついてるってことなのだー……。
でも、私に悲しんでる暇はないのかー。
今は早くフランを説得して落ち着かせないと…………!
「フラン、私はいつでもフランの味方なのだー!!!!
私はフランに着いていくと決めた時、フランが幸せになるためにやりたいことをしてもらいたい、そのためにフランの障害となるものを排除していくと誓ったのかー!!!!!!」
「っ!! だ、だったら、だったらどうして邪魔するの!!!!!?
私にしたいことをさせたいなら私をオーエンにさせてよ!!!!
私の障害になる貴女を、私に斬らせてよ!!!!!!」
ようやく、少しだけではあるけど前のフランの様子が現れ始めた。
しかし、このままではフランはまだ攻撃を止めないだろう。
フランを落ち着かせるために次に私がやるべきことは…………ひとまず私への敵意を鎮めることだ。
「……フラン、私はフランをオーエンにはさせたくないのだー。
もしフランがオーエンになることで幸せになると思っているなら、どうしてオーエンの時のフランは瞳の中に影が混じってるのだー?
どうして、悲しそうな目をしてるのだー……?」
「なっ……!? わ、私は悲しそうな目なんてしてないよ!!
今私はこうして『自由』への道を歩んでる!!!!
それに、私の傍にはぬえがいてくれる!!!!!!」
私の言葉に一瞬だけ動きを止めたけど、すぐに持ち直して攻撃を再開してくるフラン。
レーヴァテインを使った剣術、己の四肢を駆使した体術、そこらの妖怪では持ち得ない妖力をして展開される弾幕…………これらの全てが私の口を黙らせようと、果ては私を倒そうと凄まじい勢いで私に向けて放たれていた。
……そして、その内の一発が私の右足を掠めていく。
「つぅっ!? くっ、フランが大好きで闇そのものである私にフランの心の影を、心の闇を隠し通せるとは思ってはダメなのかー!
フランの心の闇くらい、能力無しでも私には簡単に分かるのだー!!
……私はフランが幸せになるために何かをすることは止めはしない。
でもフランが悲しくなることを、私はフランにさせたくはないのかー!!!!」
「そ、そんな……そんな知ったようなことを言わないでよ!!!!
今だって私のしようとしてることが何か分からないんでしょ!?」
フランの声が震える。
同時にフランの手が目に見えるほど震えだし、弾幕以外、レーヴァテインと四肢の猛攻が止んだ。
さらに目の縁には涙のようなものが見え、明らかに動揺が頂点に達したのが窺える。
……正直、こんなフランの姿を見ていると私まで動揺してしまうのかー……。
でも、自分から苦しい方に進むフランを止めるためには……。
「確かにフランが何をしようとしてるのか、今の私には分からないのかー。
……でもね、分からなくても感じることは出来るのだー!」
「感じる? 感じるって、何を……」
そうだ、感じることは出来るのだ。
かつてフランが自分の秘密から逃げていることを感じ取ったように、内容が分からなくてもフランのことを感じられる。
それはフランに対し私の能力が効かなかったとしても、変わることの無い事実。
だからこそ…………。
「一ヶ月前のあの時も、そして今も!……誰よりも一番フランが苦しんでるってことくらい、私には分かるのだー!!!!!!」
「……!!!? もう、もう私のことは放っといてよ!!!!!!」
私の想いの丈をフランへぶつけた瞬間、フランは激昂ではなく自暴自棄になって右腕を前に突き出した。
それを見た瞬間フランが『あれ』をするのだと思って、『あれ』を阻止するべく私は全力でフラン目掛けて飛び出す。
しかし、私がフランの元へたどり着く前に開かれていた右手が閉じ…………。
「壊れろぉぉ!!!!」
ーーーキィィィィィン!!!!!!
……『あれ』をされたはずの私は、壊れなかった。
「………………えっ?」
何故、何故私は壊れてないのかー?
確かにフランは私に向けて能力を使ったはず。
いつも通りなら私は木っ端微塵に砕け散って、新しく闇が集まるのを待つ羽目になるのに……まさか、不発?
……しかし、ようやくここで私は自分の身に起きた異変に気付いた。
「……体が重い? いや、妖力が尽き、っ!!!?」
どうやら私は今ある妖力を破壊されたらしい。
すぐに無くなった妖力が自然回復を始めたのを感じたけど、それでも空を飛び続ける分には足らずに私は地に向けて落ち始める。
……しかし、今のフランがそんな私を見逃すわけがなかった。
「ルーミア、貴女だけは……確実に仕留める!!!!」
ーーーガキィ、ザシュゥ!!!!
気付けばフランが目の前にいて、何をする間もなくダーインスレイヴを真上に弾かれ右手で首を掴まれながら左手に持つレーヴァテインを胸に突き立てられる。
「がふっ!? フ、フラ……!!」
「まだまだぁぁ!!!!!!」
ーーーパシッ、ドスッ!!!!
「うぁぁぁあ!!!?」
さらに上から落ちてきたダーインスレイヴの柄を、フランは上手く左手で掴んでレーヴァテインと同じように私の胸に突き立てる。
それにたまらず身をよじるけど、フランは私が振り払うことを許しはしなかった。
そして…………。
「ルーミア、これ以上抵抗なんて出来なくしてあげる!!!!」
ーーーガブゥ!!!!!!!!
「アァァァァァァァァァ!!!!!!!?」
首筋に感じる鋭い痛み、体から何かが抜けていく感覚……。
……回復するための妖力すら失った今の私に、血を再生することなど出来はしない。
……段々と意識が薄れていく中、私はこいしが私を呼ぶ声と、フランが何かを歌う声を聞いた。
そして最後にフランが狂ったように笑い始めたのを子守唄にするように、私の意識は深く悲しい闇に落ちていったのだった…………。
ーーーーー
以上、ルーミア撃沈回でした!
うん、バトル回なはずなのにトーク回な感じが否めませんね。
そして筆者が風邪を引いてしまったせいで話にまとまりが感じられなくなってますorz
ま、まぁ次回までには体調を……!!
それではまた次回にてお会いしましょう!!