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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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会談「正体不明な想いと無意識の悟り」

どうも、東方転妹録最新話です!!




……えー、何故かバトルではなくこいしとぬえの、というかほとんどぬえのワンマントークになってしまいました。


バトルを期待してくれていた方、本当に申し訳ありません!




ま、まぁ何はともあれ楽しんでいってください!!

ゆっくりしていってね♪



ーーーーーside こいし



今フランと私達の間に立ち、目の前にいる彼女は、封獣は何と言った……?

オーエン……つまりフランの側にいるのは未来永劫…………彼女?



「……ねぇ、今貴女が言ったのって、つまり貴女がフランの側に一生いるってこと?」


「あれ、そう言ったのが聞こえなかったわけ?

まっ、人の話を受け入れられない奴だからしょうがないか。

ねっ、そうでしょ?

……フランの決意と期待を『裏切った』古明地こいしさん?」


「っ……!!!!!!」



どうやら封獣はフランからあの話を聞いているらしい。

あまりにもあからさまな挑発だったけど、しかしそれは私の心を深くえぐっていった。

……出来ることなら、私はあの時の自分を止めて叱りつけてやりたい。

でも、それはもう出来ないから、今こうやって罵られてもしょうがないのだろう…………。



「貴様、貴様がこいしにそんなことを言うな!!!!!!!!」



そうして私が落ち込んでいると、隣にいたルーミアが叫びながら封獣に切りかかっていった。

しかし…………。



ーーーガキィィィィィィン!!!!


「なっ、フ、フラン!?

どうして止めるのだー!!!?」


「それはね、貴女の相手は私って決まってるからだよ。

……おいでよ、壊してあげるから!」


「っ!? あっ!!!?」



ルーミアのダーインスレイヴを受け止めたのは、封獣の後ろから飛び出してきたフランのレーヴァテインだった。

そしてルーミアはフランに腕を掴まれ、私と封獣から離れた場所に連れていかれてしまった。



「……で、私はオーエンから貴女の相手、ってか足止めを頼まれてるわけだけど…………その様子だと足止めする必要もなさそうね。

あっ、もしかして貴女がオーエン探してたのって今さら謝るためとか?

だから私にフランを裏切ったことを指摘されると落ち込んじゃうんでしょ」


「っ……そ、それは…………!!」



あまりにも図星すぎる封獣の指摘に何も言い返せない私。

しかしそうしている間も封獣は私の心をえぐることを止めはしなかった……。



「本当に貴女って馬鹿よね!

フランが貴女に秘密を打ち明けた時、貴女フランにこう言ったんだって?

『消えろ、私の前から早く消えてよ』って」


「………………」



……確かにあの時、私は私に拒絶されて固まっているフランにそんなことを言ってしまった覚えがある。

さらにその後『私のフランを返して』と、本当に愚かで、フランに対して止めとなる一言を言ってしまった覚えも…………。


……しかし、この次に封獣の口から紡がれた言葉は、私の意表をつくものだった。



「まぁ貴女はその後に『私のフランを返して』とか言ったのがフランがオーエンになった原因だと思ってるんだろうけどさ…………本当の原因は、私がさっき言った部分なのよ?」


「えっ…………?」



それはどういうことなのだろうか?

あの時一番フランを傷つけたのは、目の前にいるフランを全否定したあの言葉だったはず…………でもそれではなく『消えてよ』と言ったことが、フランが凶行に走った原因……?



「……ねぇ、今さ、フランがオーエンになってフランにとって特に親しかった奴等を襲撃してる訳だけど、その最終目標は誰だと思う?」


「最終目標…………?」



最終目標……フランは今、親しかった人達を襲ってるから、やはり最後には一番親しかった人を襲うのだろうか?

……だとしたら恐らく、最終目標は御義姉様だと思うけど…………。



「えっと、御義姉様……?」


「はい残念! 全然違うじゃん。

じゃあちょっと情報を上げるからもう一度考えてみてよ。

私と出会ってから、オーエンはよくこう言ってるの。『フランドール・スカーレットを殺せば、私は自由になれる!!』ってね」


「…………!!!?」



……まさか、まさか封獣の言うフランの最終目標とは…………。



「……さ、最終目標って、フ、フラン自身の、こと…………?」



この予想が外れてほしい、的違いであってほしい!!

……しかし、私のこの想いは、次の瞬間封獣の口から吐き出された言葉に打ち砕かれてしまった。



「……大っ正解〜!!!!

そうそう、オーエンの最終目標は『フランドール・スカーレット』!

……つまり、オーエン自身なわけ」


「そ、そんな!!!?」



なんということなのだろう!!!!

フランの最終目標はフラン自身、さらにフランが今まで襲撃してきた方法を考えれば…………フランは、自殺する気なのだ!



「ど、どうして!? フランはオーエンって名乗って新しい自分になろうとしてるんじゃないの!!!?

そのために邪魔な私達を消そうとしているんじゃないの!!!?」



紅魔館に襲撃があった夜、お姉ちゃんが『U.N.オーエン』というメッセージがフランの新しい名前だと言っていた時から、私はフランが新しい自分になるために私達を襲撃し始めたのじゃないかという可能性を主に考え、それが最悪の可能性だろうと思っていた。

……しかし、今封獣が言った通りならそれすら生ぬるい。

何故、何故フランは自分を…………?



「……貴女さぁ、それ、本気で言ってんの?

そうだとしたら本気で馬鹿よね。

さっき言ったでしょ?

オーエンが貴女に言われて最も傷ついた言葉は『消えてよ』だって。

まぁこれは私の予想でしかないけど…………オーエンは、貴女の言葉の通りにしようとしてるのよ」


「言葉の、通りに……!?」



封獣の言葉に私の手が震えだしたのを感じる。

それだけじゃない、口から声を発しようとしても何故か喉が渇いてしまっていて声が出てこない。

……なにより、私にはもう何も考えられなかった。


しかし私がそうしている間も封獣の言葉は続く。



「どうしてって思うかもしれないから私の予想の理由、全部話しとくよ?

オーエンはさ、今でもフランに戻ることが時々あるの、ついさっきもフランに戻ってたし。

で、そこから考えられるのは……オーエンにはフランであった頃に戻りたいという気持ちがどこかにある、つまりまだ貴女達のことが好きでたまらないってことだと思うわけ。

ってことはオーエンは今でも貴女達の傍に居たいわけよ。

じゃあここで質問、貴女達に……貴女に拒絶されたフランが、貴女の傍にいるためには何をすれば良いと考えると思う?」


「そ、れは…………!」



私に拒絶されてしまったフランが、私の傍にいるためにすること……?

……駄目、思考が、思考がまとまらないよ…………!



「……はぁっ、まぁそんなに震えてるような状態で考えられるわけないか。

それじゃあもう答え合わせをするわよ?

……答えは簡単、生まれ変わって前の自分を徹底的に排除すること。

生まれ変わる、それはつまり全ての関係をやり直すってことだからね。

まっ、オーエン自身、今じゃあ何がしたいか分からなくなって、とりあえず自分の作った詩の通りに行動してるだけなんだろうけどさ…………」



……前の自分を、徹底的に排除する…………。

そうすれば、また零からやり直せるってこと?

……でも、それじゃあ私の、私達の傍にはいられなくなる。

だからフラン自身、何がしたいか分からなくなっているってことなんだよね。

だったら…………。



「……だったら、どうして貴女はフランを止めないの?

このままだとフランは、自分自身を……!」



そうだ、何故封獣はフランを止めないのだろうか?

先ほどフランの傍に未来永劫いるのは私だと言ってのけたぐらいだから、封獣もフランに対して並々ならぬ好意を抱いているはず。

だったら、フランが自分自身を傷付けようとしているのを何故止めないのだろうか?



「どうしてオーエンを止めないか、ってこれが一番簡単な話じゃん。

私が今こうしてオーエンを止めない理由、それはオーエンにすっきりしてもらうため。

色々溜め込んだままじゃオーエンの心に負担をかけたままになるでしょ?

だからある程度まではオーエンに発散してもらうわけ。

そして程よく発散できたかなって頃にオーエンを止める、そうすればオーエンのその後に悪影響が出ないのよ」


「フランに、すっきりしてもらうため……」



成る程、それならフランを止めないのも分からなくはない。

しかし、フランが『フラン』と同じ状況でありたいと思っているなら、私達を襲撃する度にフランも傷ついているはずだ。

それは放っといて良いのだろうか?



「じゃあフランが私達を襲撃する度に傷ついているのは?

貴女の予想ならフランはまだ私達を好きなはず。

そんな相手を攻撃してたら……」


「それはオーエンにとって必要な痛みに決まってるじゃん。

貴女達を襲撃する度にオーエンはこれで良いのかと自問する、そしてオーエンの中に戸惑いが生まれる、戸惑いが生まれれば私もオーエンを止めやすくなる……。

どう? 必要な痛みでしょ?

……それに、襲撃という行為は貴女達にとっても必要な行為だしね」


「えっ……?」



襲撃は、私達にも必要なこと……?

ど、どうして? 襲撃なんてお互いが傷付き合うだけ、それこそ今封獣が言ったこと以外良い所が無い行為なんじゃ……?



「……ねぇ、まさかまだ自覚してなかったとか言わないわよね?

襲撃って行為はある意味オーエンの苦しみをさらけ出すために必要な行為。

それにオーエンが苦しんでる原因は拒絶した貴女、ひいてはオーエンの悩みを放っといていた貴女達全員なのよ?

だから貴女達がオーエンの苦しみを理解するためにも、貴女達には絶対に必要な行為に決まってるじゃん!!」


「っ!!!!!?」



そうだ、私はあの時フランの気持ちを受け止められなかった。

だからこそこうして別の形、襲撃という形でフランの気持ちを受け止めないといけないのだろう……。

……いや、受け止めるのだ。

そうでなければ二度と、私はフランと共に笑い会える日は来ないのだから……。



「……ふーん、いきなり目の色が変わったけど、それは覚悟が出来たって思って良いわけ?」


「……うん、私はもう二度と同じ過ちは繰り返さないよ。

だから、大切なことに気付かせてくれてありが「その言葉を私に言わないで!!」と……って、え?」



初めは単に敵だと思っていたけど、大切なことに気付かせてくれた封獣。

そんな封獣にお礼を言おうとしたら、何故か封獣から止められてしまった……。



「良い? 私は貴女を苦しめようとこの話をしていただけ、そして貴女はその話の中に『自分で』希望を見つけただけ。

だからそんな言葉は、私には必要ないよ。

……私は、我が儘なだけなんだから…………」


「封獣…………」



最後に何て言ったか分からなかったけど、目に見えて封獣は落ち込んでいった。

そんな封獣の姿に、何かしてあげないといけないと思って封獣に向けて手を伸ばしかけた…………その時だった。



「……アァァァァァァ!!!!!?」


「っ!? ル、ルーミア!!!?」


「……やっと終わったんだ。

ちょっと時間かかりすぎじゃない、オーエン…………?」



辺り一面に響き渡った断末魔にも似たルーミアの悲鳴、その悲鳴がした方に振り返ってみれば…………。



「……ウ……アァ…………」


「フフッ……フフフッ…………!

Five little Indian boys going in for law;

(5人のインディアンの少年が訴訟を起こした)

One got in Chancery and then there were four.

(一人が裁判所にいって、4人になった。)

……これで、これで六人目!!!!

アハハハハハハハハハッ!!!!!!!!」



……ルーミアの胸にレーヴァテインとダーインスレイヴを突き刺し、ゆっくりとルーミアの首筋から顔を離しながら笑うフランがいた…………。





ーーーーー

以上、ぬえのワンマントーク回でした!!




……うん、なんだか最後のオーエンとルーミアにガッツリ持っていかれた気がしてならないです。


さて、次回こそバトルに……!




それではまた次回にてお会いしましょう!!

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