切り裂かれた鬼と天狗、潰せなかった種
どうも、東方転妹録最新話投稿です!!
今回は初めはちゃんとシリアス…………なんですが、無事に大学に合格して肩の荷が降り大型シリアスに耐えきれずコメディ、ってか最早ギャグに走りたい欲望が出てしまったので…………最後、ギャグです。
とりあえず勇儀やぬえや勇儀や小傘がギャグやラブコメに走ってます!
それでは東方転妹録において過去最高の長さを誇る二話、続けて楽しんでいってください!!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー十分後、山の中腹。
ーーーーside 勇儀
「……さて、椛よ、何かフランらしきものは見つかったかい?」
「いえ、残念ですがここからは全く……」
「そうか……ここほど見渡しの良い場所なら少しは何か見つかると思ったんだけどねぇ……」
椛の思わしくない返事に、思わずぼやいてしまう。
……山から人里までの距離を半径とした円上の範囲、その範囲を探してみたがフランは見つからなかった。
探し始めて三週間ぐらいたった頃に私達山組は方法を変えて、見晴らしの良い所を探してはそこから見える範囲を椛に見渡してもらうという方法を取っているのだが…………。
「……まぁ、考えてみりゃあフランからしたら私達の行動は筒抜けなんだろうな」
「フランさんには前世の記憶があった、って話でしたね……。
前世の記憶の中に私達に関する知識もあったらしいですし、やはり私達への対策も簡単に出来るのでしょうか……」
私達も長年フランと付き合ってきたとはいえ、フランの行動を完全に把握出来てなどいない。
ただでさえフランは天然だったのだ、しかも強く悲しい衝撃を受けて暴走した場面なんかとは遭遇したことも無いから今のフランがどう行動するかなど全く分かりはしない。
それはさっき人里に聞き込みに向かった萃香も同じはずだ。
「しかしまぁ、こうやってぼやいててもしょうがないさ。
がむしゃらに探すのが悪い訳じゃないしねぇ」
「確かに何もしないよりはマシですね。
私も哨戒天狗としての任をこなしながら頑張って探します!」
「あっはっはっはっ!!!!
よぉし、その意気だ椛!!!!!!」
笑う門には福来る。
どこで誰が言ったかは忘れたが、この言葉ほど素晴らしい言葉は滅多にないだろう。
つまりは落ち込む暇があれば笑いながら明るく積極的に生きろと言っているからだ。
フランがいなくなってから暗くなりがちな私の友人達。
そんな友人達に是非ともこの言葉を聞かせてやりたいと、ここ最近、私はよく思っている。
……まぁつまりは落ち込む暇があるなら、さっさと私の可愛い可愛い愛しのフランを見つけ出すぞと言いたいだけなのだが。
「さて勇儀さん、それじゃあ私は一度哨戒の任に戻りますね。
またフランさんのことで何か手伝えることがあれば遠慮無く申し付けてください!
私で良ければ何時でも手伝いますから!!」
「あぁ、また何かあれば遠慮無く頼らせてもらうよ。
何だかよく分からん任務の最中に手伝ってくれてありがとな!」
「な、何だかよく分からんって…………哨戒って分かりやすいと思うんですが……?」
「あっはっはっはっはっ!!!!!!
私にはややこしいよ!!!!」
細かいことを言い始めた椛をおもいっきり笑い飛ばしながら椛の首に腕を回す。
そんな私に向かって、椛は頬をかきながら苦笑いをしていた。
……豪快に笑えば良いのにねぇ?
まぁ苦笑いでも笑ってるんだから別に良いか!
「さて、それじゃあ哨戒の任とやらを頑張ってきなよ!」
「はい、それではこれで…………あれっ?
あれは、文さん……?
一緒にいるのは……っ!!!?
フ、フランさん!!!!!!」
「な、なぁにぃぃぃぃぃ!!!!!!!?」
任に戻ろうとした椛がふと見つけたらしい射命丸の影。
それは別に気にかけることでも無かったが、その直後に椛が口走った名前に私は思わず叫びながら椛が見ている方向に勢いよく振り向いていた。
「お、おぉぉ……!!!!!!!?
フ、フラァァァァァァァァン!!!!!!!!!!」
「ゆ、勇儀さ……ってキャァァァァァァァァァ!!!!!?」
振り向いた先の青い晴れた空。
その空の中に三つの人影を認めた瞬間、私は椛を抱えながら人影目掛けて飛び出していた…………。
ーーーーー山の上空。
ーーーーside オーエン
遠くから凄まじい勢いでこっちに向かってくる二人組…………というよりはとてつもない大声を上げながら突っ込んでくる鬼が白狼天狗を引きずっているというのが正しいけど。
……空中で引きずっているっていうのも変なのかな?まぁとりあえず、あの勢いは避けなきゃヤバイよね。
「ぬえ、槍を貸してもらって良い?」
「えっ、いいけど……。
あれは槍だけで止められるの?」
槍を貸してほしいと頼む私に、こころよく槍を貸してくれながらも心配してくれるぬえ。
流石にぬえに心配させたままにしておくのはいけないだろう。
……『あれ』はフランの相棒だからあまり使う気は無かったけど、『あれ』を喚び出してぬえを安心させよっと。
ーー『レーヴァテイン』
「大丈夫だよぬえ、これもあるから。
……あまり使いたくはないんだけどね」
「それなら使わなくて良いのでは?
勇儀さんと椛なら私が止めますよ?」
右手にレーヴァテイン、左手にぬえの槍を持ち、迫る二人に構える私を止めようとする射命丸文。
それを私は無視しつつ、来る一撃に備えるために迫る二人へ集中する。
……一ヶ月前、同じようなことがあったなぁ。
あの時はレーヴァテインとグングニルを持ってたんだよね。
御姉様の誇りの象徴とも言える、グングニルを…………。
「……っ!! 私は、フランじゃない!!」
「「えっ……?」」
「フラァァァァァァン!!!!!!」
「キャァァァァ!!!!!?」
考えてはいけないことを考えてしまった自分に、私は戒めるかのように叫んでしまった。
しかしその声は遂に目の前まで迫った星熊勇儀と犬走椛の声にかき消され、傍にいたぬえと射命丸文にしか聞こえてなかったようだけど。
……左手を引いて腰に当て、何時でも槍を突き出せるように構える。
同時に前に持ってきた右手をそのまま体の左側へ運び、レーヴァテインを槍に添えるように構えた。
「フ、フランさん、何を!?」
「『スターボウブレイク』!!!!」
「なっ、きゃあぁぁ!?」
「なっ!? しゃ、射命丸!!」
「おっ、これは私の出番じゃない?」
私は迷い無く突っ込んでくる勇儀…………ではなく私を止めようとした射命丸文に向けて、フランの技を使うことに少しの苛立ちを覚えつつ『スターボウブレイク』を放つ。
……間一髪『スターボウブレイク』を避けた射命丸にぬえが追撃をしてくれている。
後は、目の前に迫る勇儀と椛を……!!
だがしかし、私が射命丸文に向けて『スターボウブレイク』を放ったことに驚いたのか、犬走椛を引きずる星熊勇儀がその場に止まろうとし始めた。
星熊勇儀が油断している今しか一撃で仕留めるチャンスは無い。
そう思った私は武器を構えたまま私から星熊勇儀目掛けて飛び込む。
咄嗟に防御をしようとした勇儀が椛を抱えていない左手を前に出すが、それを私はレーヴァテインを横凪ぎに払って切りつけながら弾く。
左手に走る痛みにより飛び散る鮮血を見ながら苦悶の表情を浮かべる星熊勇儀。
そんな星熊勇儀を見ながら、突然で、その上一瞬のうちに事が進んだ状況を把握できずに、ただただ目の前の光景を見ている犬走椛は驚愕の表情を浮かべた。
……そして、星熊勇儀の右脇に抱えられながら驚いている犬走椛の胸に目掛けて、私は左手の槍を突き出す…………。
「これで、三人目!!!!」
ーーードシュ……グリィ、ガシュ!!!!!!
「ッ!? アァァァァァァ!!!!!!」
「ぬぁぁぁぁぁ!!!?」
先程とは込められた意味が違う悲鳴が二つ上がり、同時に青い空に一本の腕が舞い血の華が咲く。
……犬走椛の胸を貫いた槍は星熊勇儀には不幸なことで私にとっては幸運な結果をもたらした。
左腕を切りつけられ星熊勇儀が仰け反ったせいで右脇に抱えられていた犬走椛も仰け反っていたために、星熊勇儀の右腕と犬走椛の胸は突き出した槍の軌道上にあったからだ。
だからぬえの槍が一直線に貫いた瞬間、その事に気づいた私は即座に槍を捻り切っ先で星熊勇儀の右腕をねじ切って一気に槍を引き抜いた。
その行為は星熊勇儀の右腕を切り飛ばすだけでなく、犬走椛の胸の傷を抉りながら広げる。
……これで、すぐに四人目まで歌を進められる。
これで、これで良いんだから!!!!
「四人目ぇぇぇぇ!!!!!!」
ーーーズバァ!!!!!!!!
「グガァァァァァァ!!!!!!!!!?」
「ゆ、勇儀さん、椛ぃぃぃぃ!!!!!?」
レーヴァテインを左から右にかけて凪ぎ払い、槍を引き抜いた今の体勢。
それはレーヴァテインで星熊勇儀を再び凪ぎ払うにはちょうど良い体勢だった。
だからこそ私は勢いに任せてレーヴァテインを振り抜き…………星熊勇儀を上半身と下半身に切り裂いた。
「……よくも、よくもぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
「しまった!! オーエン!!!?」
私が山の林の中に落ちていく犬走椛と星熊勇儀を眺めていると、仲間がやられたことに激昂した射命丸文がぬえを振り切って突っ込んでくる。
レーヴァテインを還しながら横目で見やれば、手に持つ扇の羽の中に仕込み刃が見えた。
恐らく勢いに任せてあれで私を切り裂くつもりなのだろう。
……この距離なら私の能力が間に合うね。
今日、この後の事を考えるとこれ以上妖力を控えたいもん。
……せめて、一思いに…………。
「アァァァァァァァ!!!!!!」
「……っ!? 壊れろ!!!!!!」
ーーーキュッ……バァァァァァン!!!!!!!!
……悲鳴すらあげること無く落ちていく射命丸文の残骸。
それが林に落ちていくのを見届けた後、私は手のひらに残った私にしか見えない射命丸文の種の欠片の方に視線を移した。
「……私、どうして…………」
「やるじゃんオーエン!!!!
オーエンの能力って見たことなかったけどあんなにすごいのね!!!!」
射命丸文が一瞬にして肉塊に変わったことに興奮したのか、ぬえが大喜びしながら抱き着いてくる。
そんなぬえに抱き着かれたまま向き直り、私ははにかんでみせた。
「『ありとあらゆるものを破壊する程度の能力』だからね。
あれくらいは簡単だよ。
むしろ私はぬえの『正体を判らなくする程度の能力』の方がすごいと思うけどなぁ?」
「いやいやいや、私の能力なんて本領を発揮できるのは悪戯位よ?
それも地底にいるムラサと一緒に悪戯した時位しか成功しないし、一人でやると途中までは成功するんだけど最後は正体がバレて失敗しちゃうのよね」
「…………ムラサ?」
それは村紗水蜜のことなのだろうか?
何故か片言のような発音だったことに思わず疑問の声をあげてしまう。
……しかし、ぬえはそれを別の意味で捉えたようだった。
「あっ、ムラサは単なる友人だから浮気じゃないわよ!?
えっと、オーエンと出会う前に地底に封印されてきた一行がいてさ?
その一行に悪戯を仕掛けたことがあるのよ!
まぁその時に色々あって悪戯仲間としてつるむようになったってだけで……!!」
余程私に嫌われるのではないかと心配になり焦ったのだろう。
必死になって弁解しようとする姿は、まるで浮気を誤魔化そうとする恋人のような姿そのものだった。
無論、私はぬえが浮気をしているとは思っていないし、こうして傍にいてくれているのがなによりの親愛の証だと思っているけど。
「ふふっ、大丈夫だよぬえ!
私はそんなことでぬえを疑って拒絶したりしないから!
……さて、最後の仕上げ、っと」
「よ、よかったぁ……!!!!
……って、最後の仕上げって何をするわけ?」
横でぬえが安堵しながら疑問の声をあげるのを聞きつつ、私はもう一度手のひらに残った射命丸文の種の欠片を見つめた。
……私は、どうして種を完全に潰さなかったのかな…………?
これじゃあ完璧には壊せない、その証拠に落ちていった文おね…………射命丸文の残骸は頭部と胸部が原型を綺麗に留めていたもん。
それに、今からしようとしている仕上げも、見方を変えれば…………。
「……ーい……エン…………ょっと、オーエンってば!?」
「えっ!? あっ、ど、どうしたのぬえ?」
「どーしたもこーしたも無いわよ!
手のひらを見つめ出したかと思ったら何の反応もしなくなるから心配したじゃない!!」
「あっ、ご、ごめんねぬえ!
ちょっと、考え事してたの!」
訝しげにこちらを見つめるぬえに慌てたようにごまかしながら、私は手のひらに残っていた種の欠片を放り出して懐から一枚の御札を取り出す。
そしてその御札に妖力を込めつつ、宙に放った途端霧散した種の欠片と同じように宙に放り投げた。
すると御札に組み込まれていた術式が発動し、私の真下の辺りの林を結界が囲む。
……これであの三人の残骸が誰かに荒らされることはないよね。
八雲紫の結界はとっても丈夫だし…………。
「……オーエン、今のってどんな意味があるわけ?
中が丸見えだから封印ってわけでもないみたいだし…………」
「あれは救助が来ないようにするためのものだよ。
そうすればあの三人もすぐには再生出来ないし、遠くから三人を見つけて救助に来た人達も足止めされるからね。
本当は止めを刺したいけど、後のことを考えると今はこれ以上妖力を使いたくはないから……」
「へっ? もしかして今日中に全部終わらせるの!?」
「……うん、そうだよ」
私がそう言うと急に焦り始めるぬえ。
私が言いたいことをすぐに分かってくれるのはありがたいけど、どうして焦ってるのかな?
確かに相手の強さと妖力の面を考えると辛いけど、別におかしい話ではないよね?
「ちょっ、オーエン!
それはやめておいた方がいいってば!!
今日中に全部やるなら妖力がギリギリなんでしょ!?
それで危ない橋を渡るくらいなら日をおいて続きをした方が良いって!!」
「でも日をおいて体勢を建て直されたら余計辛くなるよ?
それに次はここに来るのを待つだけだから、待ってる間に少しは休憩出来るもん。
その間に妖力もある程度回復するから大丈夫だよ」
「うっ、そ、それはそうだけど…………」
余程私を心配してくれているのか、納得しながらも必死になって言葉を探すぬえ。
そんなぬえを安心させようと、私はぬえの頭を撫でながらぬえをしっかりと抱き締めた。
「大丈夫だよ、ぬえ。
私は簡単には死なないよ。
なんたって吸血鬼なんだから、髪の毛一本でも残っていたらそこから再生できるもん。
……だから、大丈夫、大丈夫だから…………」
「……はぁ〜、分かったわよ……。
そのかわり、オーエンがもう無理だって私が判断したら無理矢理連れ帰るからね!! 分かった!!!?」
「うん、心配してくれてありがとね!」
呆れたかのように溜め息を吐いたかと思うと一気にまくし立てながら私を強く抱き返してくるぬえ。
私より身長の高いぬえに抱き締められたせいで今度は私が包み込まれるように抱かれることになったけど、今の私にはいつもより遥かに気持ち良く感じられていた…………。
「……Eight little Indian boys travelling in Devon;
(8人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた)
One said he'd stay there and then there were seven.
(一人がそこに残って7人になった)
Seven little Indian boys chopping up sticks;
(7人のインディアンの少年が薪を割っていた)
One chopped himself in half and then there were six.
(一人が自分を真っ二つに割って、6人になった)
Six little Indian boys playing with a hive;
(6人のインディアンの少年が蜂の巣にいたずらしていた)
A bumblebee stung one and then there were five.
(蜂がひとりを刺して、5人になった)…………」
……ようやく半分まで来たよ。
詩の文面通りにはいかなかった場面もあったけど、大方これで良いね。
残すは、古明地こいし、ルーミア、寅丸星…………そして、レミリア・スカーレット……。
もうすぐ、後少しで私の詩は完成する……!!!!
「……それってフランが書いてた詩?」
「うん、少し失敗した所もあったけど……後少しで完成するの。
……後、少しで……」
……その時は、近い…………。
ーーーーー同刻、紅魔館。
ーーーーside ルーミア
紅魔館の警備強化のため、こいしと一緒に紅魔館を巡回していると美鈴とすれ違った。
その時に小傘が訪ねてきていると聞いて探してみると、小傘はメイドの休憩室でおやつを一緒に食べていたんだけど…………。
「わ、わちき、もう食べれない……!!」
「「ノリの良い妖精メイドが引くくらい食べたらそうなるのだー(よ)!!!!」」
メイド達が壁に張り付くくらい引いている中、部屋の真ん中の机の上に山のように積み上げられたおやつのケーキの銀紙。
一体何ホール分食べたのだろうか?
ワンホールを何個に切り分けたかは分からないけど、それでも机にある銀紙は軽く五十枚は越えているから……八等分として考えても六ホールは食べたことになる。
計算しているこっちがむなやけが起きそうだ…………。
「そ、それにしても小傘が紅魔館まで来るのは珍しいね?
今日はどうしたの?」
「もしかして遊びに来たのかー?
それだったら申し訳ないけど、今は一緒に遊べないのだー…………」
とりあえずケーキのことは忘れて小傘に紅魔館まで来た理由を訪ねてみる。
……こいしの声がまだ軽く上ずっていたのは、まぁしょうがないのかー。
「……うぅ……わ、わちきは皆を驚かしに来たの…………。
それで、レミリアと、さとりに見つかって……。
一緒に……お話してたら、二人が玉座の間とか言う所に行っちゃったから…………わちきは、こっちに来たの……」
「「玉座の間……?」」
小傘の話の中に出てきた『玉座の間』という言葉に思わず顔を見合わせる私とこいし。
何故ならば御義姉様とさとりが二人で玉座の間を使う時、それは基本的に二人が紅魔館の当主とその秘書として話し合う時だからだ。
最近は当主というよりも一人の姉として、一人の家族として動いたりすることの多かった御姉様とさとり。
しかも昨日フランに関係がありそうな襲撃事件があったばかりなのに、その二人が再び紅魔館の重役として動くとなると…………。
「……こいし、私達も玉座の間に行くべきなのかー」
「そうだね…………。
あっ、その前に……ねぇ小傘?
御義姉様とお姉ちゃんと一緒に何を話してたの?」
私がこいしに声をかけると、ふと思い付いたようにこいしが小傘に質問をする。
すると小傘は、私達にとって最も大切な話を切り出した。
「お、お話…………?
わちきが、話したのは、さっき人里で……紫って人が、フランに、襲われたことを話したよ……?」
「「それを一番最初に言うのだー(言ってよ)!!!!!!!!」」
とてつもなくアホなことをしでかした小傘に文句を言いつつ、私とこいしは休憩室を飛び出して玉座の間に向かう。
……正直、こんな時にまでマイペースなのは困るのかー…………。
ーーーーー