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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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始まった紅魔の会議、そして山の邂逅

ーーーーー数分後、紅魔館。

ーーーーside さとり



「……って慧音っていう人と藍っていう狐さんが言ってたよ!」


「……フランが、八雲紫を襲撃したのですか…………」




現在、私はレミリアと共に、玄関を通りすぎる際に侵入者と間違えて攻撃してしまいそうになってしまった小傘を連れ、玉座の間へと向かっている。

因みに、一緒にいた美鈴は警備メイド二人を付けて門番の任に戻した。


……私の次は八雲紫が襲われましたか。

正直、次に襲撃されるのは紅魔館の誰かだと思っていましたが…………。



「……そう、さとりの次は八雲紫がやられたのね。

手口は違えど、妖力を奪うのと奇襲をするのは同じか…………」


「……まぁ、八雲藍と上白沢慧音が迅速に対応したみたいですし、八雲紫も明日には起きるでしょう」


「紫って妖怪ならわちきが見た時にはもう怪我は治ってたよ!」



人里でのフランによる八雲紫襲撃事件。

私の時と同じようにフラン……いや、オーエンは迅速且つ的確に八雲紫を沈めたようです。

私が襲われた翌日に八雲紫が襲われたということは、恐らく明日も誰かが襲われるでしょう。

出来れば先手を取ってオーエン…………フランの襲撃に備えたいですが……一番の足となってくれるであろう八雲紫が行動不能になっている今は、遠くまでは連絡が届きませんね……。



「さとり、昨日の今日で無理をさせて申し訳ないのだけれど、玉座の間に着いたら少し付き合ってくれるかしら?

二人で話しておきたいことがあるのよ。

……あっ、小傘はそこの曲がり角を曲がって突き当たりの部屋にいなさい。

非番のメイド達がおやつか何かを作って休んでるはずだから、何か分けてもらうといいわ」


「ホントッ!? わーい!!

おやつが食べられるよ!!!!」



突然のレミリアからの誘いに頷きつつ、喜んで走り去っていく小傘の姿を見送る。

……あんな無邪気な姿を見ることが、こんなに胸を苦しめることになるとは思いもしませんでしたね。

フランが私を襲ったことを知らないレミリアも、心の片隅で悲痛な思いを抱いているようですし…………。



「……それじゃあ、早く行きましょうかさとり。

貴女と話さなければならないことが沢山あるわ」


「……えぇ、行きましょうレミリア。

私も貴女に伝えたいことがありますから……」



私の返事を受けたレミリアは止めていた歩みを再び進め始めた。

その三歩後ろを、私は付き従うようにゆっくりと、それでいてしっかりとした足取りで着いていく。

……こんな時でさえもレミリアに相応しくありたいと思ってしまうのは、想いの強さに喜ぶべきか、それとも薄情で身勝手だと自分を戒めるべきか…………。



「……さとり、私には今の貴女の気持ちは読めないけれど、何かあるなら言いなさい。

貴女の顔、苦しそうに歪んでるわよ?」


「……純情な乙女の顔を横目で見るのは失礼ですよ、レミリア。

…………でも、ありがとうございます……」



……本当にレミリアには敵いませんね。

しかし、これで改めてレミリアが私のことを見てくれていることを確かめられました。

後は安心してフランの件を考えるだけです…………。













ーーーーー玉座の間。

ーーーーside レミリア



ーーギィィィィ……バタンッ。


私が軽く押すと扉が軋み、鈍い音をたてながらゆっくりと開く。

それを潜り抜けると、さとりが続いて潜り抜け、再びゆっくりと扉を閉めた。


ーー……カッカッカッ……トスッ。


さとりが扉から玉座の方へ向き直ったのを音で確認して私は玉座へ歩きだし、玉座に辿り着くと軽く身を投げ出すように座り込んだ。

すると着いてきていたさとりも、私の膝の上に座りながら静かに体を預けてくる。



「あら、言葉ではなくて行動で伝えてくるのね。

それとも肉体言語とでも言うのかしら?」


「……どちらでも構いません。

それに、昨日の貴女も今の私のようにしていたじゃありませんか……」



初雪のように透き通るような白い頬を、少しだけ紅く染めながら恥ずかしそうに言い返してくるさとり。

表情からは正しく恥じらう淑女といった印象しか受けないけれど、しかしその瞳は一抹の悲しみと抑えきれなさそうな不安が感じ取れた。

……だが、今の私にはさとりを気遣う余裕がない。

少しでも早く、フランに関する情報が欲しいのだ。



「さて、じゃあ早速で悪いのだけれど……昨日貴女が襲われた時の事を教えてもらえるかしら…………?」


「……えぇ、一から話しますね。

それと、今の状況に対する私の考えも…………」



……この時の私は、いち早く事実を知りたいと思うのと同時に、最悪の可能性だけは聞きたくないと思っていた。

フランが八雲紫だけでなく、さとりを……襲ったという可能性を…………。














ーーーーー同刻、妖怪の山。

ーーーーside 文



「……山の外れに、大きな穴、ですか?」


「えぇ、底が見えないほど大きな穴が出来ていました。

しかも大量の厄まで一緒に……」



椛が鬼に呼び出されていないため久々に山を巡回していると、何やら悩んでいるような様子の鍵山雛に出会った。

元々彼女は山の住人で、その上妖怪である私達からも厄を払ってくれるありがたい存在だから警戒する必要は無いのだが、念のため話しかけてみると先程の会話に繋がったというわけだ。



「そんな大きな変化があれば、数日以内には報告が上がるはずですが…………」


「もしかしたら先程出来たのかもしれません。

それでも、大きな音も揺れもなく出来るのはおかしいと思いますけど……」



そこまで話すと、鍵山雛は一言お別れをしてから川の方へ去っていった。

多分、集めすぎた厄を流すのだろう。

……それにしてもいきなり空いた大きな穴というのは気になりますね。

どうせ上への報告の前に確認しなくちゃいけませんし、今から見に行ってしまいましょうか。



「さて、確かこっちの方角でしたね……」



鍵山雛と話すために地に降りていた私は空へ舞い上がり、穴があったらしい方角を確認する。

そしてそのまま、私は一気に飛び去ったのだった……。


…………この後、誰と出会うかなど気にすることもなく。


















ーーーーー数分後、山の外れの大穴。



「なっ……こんな穴が、いつの間に!?」



鍵山雛から教えてもらった方角へひたすらに飛び続けていると、遠くに一部だけ木が無くなっている森を見つけた。

それが気になって飛ぶ速度を上げて近付いてみると、その無くなっている部分が綺麗に円状に無くなっていて、その上想像以上に大きいことが分かったのだ。

思わず声をあらげてしまったのは、きっとしょうがないだろう。



「とりあえず大天狗様に報告をしておかないと……!」



鍵山雛の言う通り突如現れた大穴、しかもその穴が出来た瞬間を誰も見ていない。

そんな不可思議な現象に驚きつつ、大天狗に報告するために振り向きながら来た道を戻ろうとした…………その瞬間。



「あーぁ、見つかっちゃったみたいだね」


「口封じすればいいんでしょ?

それなら私がやってやるわ!!」


「えっ、なっ……!!!?」



不意に後ろの穴の方から聞こえてきた懐かしい声と少女の物のような声。

しかしその声に反応した瞬間には、多数の妖力弾が迫ってきていた。



「くっ!? い、いきなり何を……!!!?

ってフランさん!!!!!?

それに、貴女は……!?」


「ちょっと、その名でオーエンに呼び掛けないでよ!?

絶対にぶっ潰してやる!!

『平安のダーククラウド』!!!!」



フランさんをオーエンと呼ぶ少女が技を繰り出してくる。

不気味な暗雲がばら蒔かれたかと思えば、急にその暗雲が晴れて弾幕が飛び出してきた。

しかしそこまで早くない弾幕を、私は余裕を持ちながら避けていく。



「その程度の速さでは私には当たりませんよ!

……それで、フランさんは今まで何処に?

それにその服装は……?」



赤と青の突起を生やした少女の弾幕を避けながら私はフランさんに呼び掛ける。

……以前頭につけていた帽子と赤いリボンの代わりに、今は白いリボンだけがついている。

さらに下へ視線を動かすと、そこにあるのは以前のような可愛らしいドレスという物では無く、袖無しの白く薄い服と、足を覆い隠す白く長い袴のような物を履いていた。

……しかし袴というには裾が浮いておらず、細い足に沿うような形だが。



「だからオーエンの前でその名を呼ぶなって言ってんでしょ!!!!」


「私は大丈夫だから落ち着いて、ぬえ。

……さて、突然現れた大穴、そこから現れた私達。

それだけで貴女なら分かるよね?

それとこの服装は私の前世にあった服なの。

上はタンクトップで下はジーンズ。

全部白にしたのは今の私の在り方を表してるからだよ」


「……成る程、レミリアさん達が言っていたことは本当でしたか。

それにしても、まさか地下にいるとは…………。

通りで見つからない訳ですね」



今の説明でフランさんが今まで何処にいて、新たな服が何なのかは分かった。

無論、まだ気になることはあるが…………。


……とりあえず、今はフランさんを勇儀さん達の所に連れていきましょう。

フランさんをオーエンと呼ばないと煩い少女もいますしね。



「ねぇ、射命丸文さん。

犬走椛の居場所を知らない?」


「あ、あややや……?

ど、どうして他人行儀になっているんですか?

まぁ、とりあえず居場所なら知っていますよ」



何故、何故フランさんは私に他人行儀にしているのでしょうか?

こちらから話を振る予定でしたが、思わず動揺してしまいました…………。



「本当!? だったら、私達に教えてもらえると嬉しいなぁ……?」


……これは、教えてはいけない気がする。

以前のような無邪気で純粋な声と表情をしているが、しかし瞳が妖しく輝いているように見えるのだ。

教えてしまえば、何か取り返しのつかないようなことをしそうな、そんな輝きが……。

とりあえず、椛と会って何をするのかは確かめるべきだ。



「教えるのは構わないんですけど、フランさんは椛と会って何をするんですか?

あっ、別に詮索するつもりは無いんですが、ちょっと悔しいような、寂しいような気がしたので……」


「アハハッ!! そっか、久しぶりに会えたのに私が犬走椛のことを優先したから拗ねてるんだね!!

大丈夫、貴女の番もすぐに来るよ!

それと、犬走椛と会って何をするかは…………秘密!!」



どうやら上手くかわされてしまったようだ。

ただ、私の番という気になる言葉を聞き出せたのは幸いだろう。

……さて、そろそろ案内した方が良さそうですね。

これ以上は間がもたない気がしますし、フランさんの隣にいる少女も我慢の限界のようですから……。



「それで、話が終わったならさっさと案内しなさいよ。

私とオーエンはやることが沢山あるんだから!!」


「ぬーえ、焦らない焦らない。

……それじゃあ射命丸文さん、道案内、よろしくね?」


「また他人行儀ですか……。

さて、それではしっかりと私に着いてきてくださいね。

特にそこのぬえと言う方はこの辺りは分からないでしょうし……」



再びフランさんから他人行儀に名を呼ばれたことに、今度は本当に悲しさと寂しさを感じながら、私は勇儀さん達と共にいるであろう椛の所へ向かい始める。


……きっと、この時に私はフランさんを止めるべきだったのだろう…………。






ーーーーー

以上、オーエン本格的始動回でした!




遂にオーエンが奇襲ではなく、堂々と正面から襲撃するようです!

……といってもまぁ、文に対して誤魔化し誤魔化ししながらですけどね。

一応感づかれてるからセーフ、かな?



そして作者の暴走によりオーエンsideのヒロイン、封獣ぬえが登場しました!!


……うん、後悔はしていません。

やり過ぎたとは思ってますけど……。


とにかく、これでEX三人娘が揃いました!

(色々バラッバラですが)




それではまた次回にてお会いしましょう!

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