とにかく実行!!……しかし運無し……
どうも、東方転妹録最新話二話連続更新です!!
二次試験に向けた受験勉強の合間をぬって、ちまちま書いていたのでまとまりがないかもしれません。
……伏線回収、出来てるかなぁ?
さてさて、昨日の活動報告にも書いた通り、今回更新分の二話からオーエンsideのヒロインが登場致します!
しかもある意味過激です!
……暴走してるなぁ、僕。
それでは作者の暴走が産み出した二話、楽しんでいってください!!
ゆっくりしていってね♪
ーーーーー五分後、寺小屋。
ーーーーside 小傘
「……というわけなんだが、小傘はどう思う?」
「えっと、わちきの考え?
うーん…………」
驚かす相手を間違えてから少し時間が経った頃、ようやくわちきは二人の奥で寝ている紫さんがフランに襲われた話を聞き終わった。
……正直、なんで二人が悩んでるのか分からないんだけどなぁ…………?
「簡単なこと、だよね?
わちきのように皆を驚かせたかっただけだよ!!
攻撃したのは……やり過ぎちゃったんだと思うよ!」
フランが行方不明になった話も聞いていたし、私もフランを探していたよ。
ただ、探している最中もずっと思っていたんだけど…………これってフランがかくれんぼをして皆を驚かせてるだけだよね?
それで誰も見つけてくれそうに無いからちょっとだけ現れて驚かしたんだとわちきは思うよ!
攻撃したのは勢い余ってしまっただけだと思うもん!
「……驚かせたかっただけ、か!」
「確かに相手の不安を煽るなら最適な手段です!」
わちきの言葉に急に二人が盛り上がりだす。
……驚いたら不安になるんじゃなくてびっくりするだけだよ?
なんで不安になるんだろう?
「驚いたらびっくりするだけだよ?
なんで不安になるの?」
「えっ……まぁなんというかな、驚き過ぎて怪我をしたら不安になったりするだろう?
だからフランが攻撃したのも、私達の不安を煽るためだと思うんだよ」
「あっ、フランが言ってたことだね!
わちきはちゃんと覚えてるよ!!」
どれくらい前だったかは忘れたけど、わちきが初めてこの里に驚かしに来た時にフランから言われたのを覚えてる。
フランに、もし誰かを怪我させちゃったら怖い人に退治されちゃうよ、って言われて本当に人里が怖くなってたもん!
「……それにしても、何でフランは私達を牽制しようとしたんだ?」
「あっ、そっちは考えてませんでしたね」
わちきが昔のことを思い出していると、また考え始めちゃった二人。
……だからどうしてそんなに悩むのかな?
分からなかったらフランに聞けば早いのに。
「むむぅ、そんなに悩むならフランに聞きに行こうよ!
紅魔館に繋いだスキマっていうやつからフランが現れたならフランは紅魔館にいるはずだもん!!
わちき今から紅魔館に行ってくる!!」
「「えっ、あっちょっ……!!」」
わちきを呼び止めようとする二人の声を無視して、今までに何回か行ったことのある紅魔館へ飛び立つ。
紅魔館に行く途中にある湖で時々遊ぶチルノや大ちゃんを探してみたけど、二人とも居なかったからわちきはそのまま紅魔館に向かった。
そして紅魔館に着くと、なんだか変な雰囲気に紅魔館が包まれちゃってる。
「あれ、美鈴さんがいない?」
いつもなら門の所にいる美鈴さんが、何故か今日は門の所にいなかった。
……ははぁ、もしかして美鈴さん、わちきに驚かされるのを恐れて隠れてるんだね?
流石わちき!! 驚かすのが上手な証拠だよ!!
「ふっふっふ〜……!!!!
よし、この調子で皆を驚かせてやる!!」
わちきは意気揚々としながら門を潜り、紅魔館の玄関に近付いていく。
……そうだ! どうせなら玄関を開けると同時に中にいる皆を驚かせてやろっと!!
「よぉし! いっくぞ〜……!!」
玄関まで辿り着いたわちきは、一度立ち止まって気合いを入れる。
そして、心の準備が出来てから扉を開け放つと…………。
ーーーバァァァン!!!!……チャキッ。
「ばぁっ!!!!…………!!!?」
「なんだ、敵かと思ったら貴女だったのね」
「……小傘さんでしたか、これは失礼しました」
「御嬢様、さとりさん、謝る前に武器を下ろしませんか……?」
……驚かそうと勢いよく飛び込んだわちきの首に、二本の槍が突き付けられていた…………。
ーーーーー同刻、???
ーーーーside オーエン
「……とりあえず、これで二人目。
八雲紫は冬眠が好きだもんね!
今は春の半ばだけど、夏まで寝過ごしちゃえ!」
おかしそうに笑いながら指の間で詩の書かれた紙を弄ぶ。
そして一頻り笑った後、紙に書かれた詩の三つ目の部分に目をやった。
「Eight little Indian boys travelling in Devon;
(8人のインディアンの少年がデヴォンを旅していた)
One said he'd stay there and then there were seven.
(一人がそこに残って7人になった)
……管制塔は濁って、ゲートは眠った。
次は…………レーダーだね!!」
次の目標は決まった。
相手が相手だからそんなに準備もいらないだろう。
……そうだ、どうせならここに連れてきて軟禁してしまおう!
あの触り心地は、無くすにはもったいない。
……そこまで私が考え込んでいた時、不意に私に声がかけられた。
「ねぇねぇ、私の出番はまだなわけ?」
「ん、出番が欲しいの?
……出番、かぁ……どうせなら次、行ってみる?」
「ホントッ!? よし、ようやくオーエンと出歩けるわ!!」
私の言葉に両手を上げ、体を使って喜ぶ声の主。
そして声の主は、喜びを表したまま私に飛び付いてきた。
「誰が相手か知らないけど、私とオーエンでたっぷり驚かしてやろうじゃない!!!!」
「私は驚かす所かおもいっきり攻撃してるけどね?」
「それは別にいいじゃない、オーエンを受け入れなかった奴等でしょ?
……あっ、受け入れなかった時の名前はフランだっけ?」
声の主が出した『フラン』という名前に思わず顔をしかめてしまう私。
そんな表情をしながら、私は今の発言に気をかけていた。
……こいしに受け入れてはもらえなかったという話はしたけど、皆とは言って無いはず。
初めに会った時に何故か気に入られてから、私に関して多少の思い込みがあるのが少し気になるなぁ……?
……因みに、声の主には私の前世のことは話してある。
そっちには大して関心は無かったみたいだけど。
「……あっ、もしかして気分悪くしちゃった?
えっと、ごめんなさい……」
「別に気にしなくて良いよ?
それは事実なんだし、『フラン』という名が今でも私を指すことには変わり無いから。
……そういえば何で私に好意を向けてくれるの?
普通に見たら、私は狂った妖怪にしか見えないと思うんだけど…………?」
一気に沈んでしまった声の主を軽く励ましながら、おもいきって質問をしてみる私。
すると声の主は目を見開いて固まり、どうして当然のことを聞くんだとでも言うように、食い付くように口を開いた……。
「何でそんな当たり前のことを聞くのよ?
私の化けた姿や本来の姿を知っているからすぐに受け入れられたって言っても、オーエンが私に恐怖することなく受け入れてくれたからに決まってるでしょ」
「同じように受け入れた古明地こいしは、私……いや、『フラン』を受け入れられなかったのに?」
「こいしって奴はオーエンに受け入れてもらえる以上のことを望んだから、自分がオーエンのことを受け入れられなかっただけじゃん。
私はどんな形であれ受け入れてもらえればそれで良いもん」
そこまで言うと声の主は両手で私の頬を包む。
そして、ゆっくりと啄むようにキスをしてきた……。
……紅魔館を去ってから初めてこの暗い場所に来た時、私は大猿の頭と蛇の尻尾を持ち、狸のような丸い胴体から虎のがっしりとした足が生えた妖怪を見つけた。
その姿は正しくおぞましいと形容するに相応しい姿だったけど、すぐに前世の知識にある一つの情報を思い出した私は恐れることなく近づいていったのだった。
……何故なら、その姿をした妖怪の名は…………。
「……ありがとう、ぬえ。
その時が来るまで、私はぬえを受け入れるよ」
「絶対にその時は来させないから……。
……この地底で、私はオーエンと生き続ける…………!」
……封獣、ぬえだったから。
ーーーーー