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東方転妹録〜悪魔なんて言わせない!!〜  作者: 愛式未来
第2章 ~雨降って、地固まるか?~
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童謡を歌う、潜む影

どうも、東方転妹録最新話です!



今回はオーエンの計画の一端、そしてこいしとルーミアの和解話となっています!!



それと後書きで連絡があるので、ぜひ一度御覧下さい。




それでは楽しんでいってください!

ゆっくりしていってね♪

ーーーーー同刻、???

ーーーside U.N.オーエン



「……あーぁ、さとりは殺しきれなかったかぁ。

でもまぁ、筋書き通りには行ったかな」



真っ暗な闇の中、蝋燭に一本だけ火を付けながら堅い石の上に座り込む私。

そして残念そうにぼやきながら、私は手元にある一枚の紙を手に取る。

そこには私の字で『10人のインディアン』が綴られていた。



「Ten little Indian boys went out to dine;

(10人のインディアンの少年が食事に出かけた)

One choked his little self and then there were nine.

(ひとりが咽を詰まらせて、9人になった)

……その咽に詰まっていたのは、血の塊でした…………なんてね!」



私が覚えている前世の知識の中の一つが、この童謡だ。

ただ、『フラン』に何か関連性があった気がするけど、それは思い出せなかった。

……食事と言えば、さとりの血、美味しかったなぁ!

本当は回復するだけの妖力を奪うだけのつもりだったけど、思わず血も飲んじゃったよ!



「……さて、残るは後八人。

次は、誰にしようかな?」



仕留めきれなかったけど、古明地さとりは終わった。

後はレミリア・スカーレット、古明地こいし、ルーミア、八雲紫、射命丸文、犬走椛、星熊勇儀、寅丸星の八人。

……この世界で特に『フランドール・スカーレット』が大切に思っていた八人、そのメンバーが彼女達だ。

八雲藍や伊吹萃香もギリギリのラインだったけど、九人という人数には収まらなかった。



「……『フランドール・スカーレット』の心を壊すには、彼女が大切に思っていた者達を傷つけるのが一番!

そして、『フランドール・スカーレット』が完全に壊れた時、私は彼女を…………殺す!!」



永遠の自由を求める『U.N.オーエン』にとって、『フランドール・スカーレット』は邪魔な堅い枷でしかない。

それならばどうするか…………堅い枷ならば、徐々にボロボロにして最後に完全に砕くのが普通だろう。

だから私は彼女を壊すのだ。

そしてボロボロになった彼女に止めを刺した時、私は本当に自由になれる……!



「ふふっ、さて、次の歌詞は何かな?

……これは、どう再現しよう?」



『10人のインディアン』の二つ目の部分は……。


Nine little Indian boys sat up very late;

(9人のインディアンの少年がおそくまで起きていた)

One overslept himself and then there were eight.

(一人が寝過ごして、8人になった)



「……よし、それじゃあ次は彼女だね!

アハッ、アハハハハッ、アハハハハハハハッ!!!!!!!!」



……暗く寂しい空間に響き渡る私の笑い声。

その声は次の相手が決まったことへの喜びと、どこか悲しむような響きが混じりあっていた…………。









ーーーーー紅魔館、こいしの部屋。

ーーーーside こいし



外が夜の闇に包まれている中、ろうそくに火を灯していない私の部屋もまた闇に包まれていた。

……お姉ちゃんが持ってきてくれた夕食をそっと見つめる。

大分冷めてしまった夕食は、部屋の暗さも相まって酷く寂しい雰囲気を晒していた。

まるで、一人で暗闇にいるみたいに…………。



「……あれは、私じゃない……フラン、だよね。

私が、追い込んでしまった…………」



今、フランは何処にいるのだろうか?

……いや、もしかしたらフランは『フラン』と名乗っていないかもしれない。

あの時、私はこれでもかという程フランを『フラン』とは認めなかった……。

フランはいざという時の思い切りが良い…………だから、名を捨てる事にも躊躇はしないだろう。


……そうして私が一人、フランの事を考えていると、廊下の方から誰かが走っているような音が聞こえてきて、私の部屋の前で止まった。



ーーー……ガタッ、ガタッ!


「こいし、扉を開けるのを手伝って!!

さとりを抱えてて上手く開けられない!!!!」


「えっ、ルーミア!!!?

待ってて、今開けるよ!!」



ここ一ヶ月一言も話していなかったルーミアが、突然慌てた様子で私の部屋に来たことに驚きながら、私も慌てて扉を開けに行く。

そして扉を開けると、血塗れのお姉ちゃんを抱き抱えたルーミアが部屋に飛び込んできた……。



「お姉ちゃん!? 一体、何が……!!!?」


「ごめんこいし、ベッドを借りるよ!!!!」



私が血塗れのお姉ちゃんを見てさらに驚いている間に、ルーミアはお姉ちゃんをベッドに下ろした。

そして、ルーミア自身もベッドの脇に座り込む。

それを見た私は、一度扉を閉めてからルーミアの元に歩み寄った……。



「ルーミア、一体何があったの?

怪我は無いみたいだけど、どうしてお姉ちゃんは血塗れに……?」


「……誰かは分からないけど、さとりが何者かに襲撃されたみたい。

私が帰ってきた時には、既にさとりは書斎で血溜まりに沈んでたよ。

とりあえず治療して、メイド達に見られないように急いで運んできたんだ……。

……そういえばこいし、この言葉が何なのか分かる?

そこの、赤い文字…………」



お姉ちゃんが襲撃された、その事に私は言葉を失うほど驚きながらルーミアが差し出してきた一枚の紙を受けとる。

そしてその紙に目を通してみると、確かに赤い文字で書かれた言葉があった……。



「……『U.N.オーエン』?

それに、この文字って…………っ!!!?」



赤い文字で綴られた『U.N.オーエン』という言葉。

……しかし、私が驚いたのは『U.N.オーエン』という言葉ではなく、その言葉を綴っている文字の筆跡だった。



「……ル、ルーミア!!!!

この文字、フランが書いたやつだよ!!

筆跡が全く同じだもん!!!!」


「えっ!!!? それ本当なのこいし!!!!!?」



書かれている文字がフランの筆跡だと言うと目を見開いて驚くルーミア。

それを見た私は少しの喜びと、気が遠くなるような虚無感を感じていた……。


……ほんのちょっとした特技だけど、私はフランが書いた文字ならどんなにフランが文字を崩していても見分けることができる。

時折、御義姉様の代わりに仕事をしていたフランの書類整理を手伝った時に習得した技だ。

……もう、意味をなすことはないと思っていたけど。



「……さとりが心配だけど、今はフランをどうにかしないと!!

こいし、書斎に行こう!!!!

まだフランがいるかもしれない!!!!!!」



一瞬だけ考えて、すぐに私に手を差し出してきたルーミア。

……きっと、今のルーミアはフランのことで頭が一杯で、私への怒りすら忘れているのだろう。

だから、私はルーミアの手を取ることはしなかった……。



「……私は、ここにいる。

フランに合わせる顔も無いし……それに、私にルーミアの手を取る資格なんて無いもん…………。

……フランとルーミアの気持ちを裏切った、私なんかに…………」


「こいし、まだそんなことを……?」


「そんなことじゃないよ!!!!

私はフランとルーミアを裏切ったんだよ!?

ルーミアだって、あの時からずっと私のこと怒ってるんでしょ!!!?」



手を取らない所か叫びだす私を怪訝そうに見るルーミアの視線を感じながら、私は俯いて自虐の言葉を吐き出す。

……そうだ、今の私にルーミアの手を取る資格は無い。

ルーミアのようにフランを信じきれず、裏切ってしまった私がフランを気にかけることは決して許されないのだ。

それにルーミアの信頼を裏切ってしまったことだって、きっとまだ怒っているはず……!


……しかし、ルーミアはそんな私の顔を両手で掴み、無理矢理私の顔を上げさせた。



「…………こいし、私を見て。

私がまだこいしに怒ってるように見える?

闇に包まれているこいしの本心は、私には手に取るように分かるよ。

この一ヶ月で自分の何が悪かったのかをきちんと反省して、それをどうすればいいか分からずに悔やみ続けているこいしの心が…………。

……そんな今のこいしに、私が怒る必要がどこにある?

私達は家族だ、この紅魔館で共に過ごしてきた本当の家族なんだ。

家族だから喧嘩だってすることもあるよ。

私とこいしが、こいしとフランが傷付けあったみたいにね。

そしてそんな時、喧嘩をした私達は何をすれば良いと思う?

することは簡単、お互いに謝ってちゃんと仲直りをする、ただそれだけのことだから……でも、その行動には深い意味がある。

…………それは、お互いの絆をより強く取り戻すという意味だよ」



そこまで言い切ると、そのまま正面から私を抱き締めるルーミア。

その行動に驚いた私は思わずルーミアを突き放そうとしたけど、それを耐えたルーミアは、より強く私を抱き締めてくる。

……そして、ルーミアは私の耳元で……静かに、力強く語り始めた…………。



「……ごめんね、こいし…………!!

こいしに酷いことをして、沢山こいしを傷付けて…………反省しても、また裏切るんじゃないかって、こいしを疑ってしまって…………!!!!

私はもう、怯えてこいしを傷付けることはしない……!!!!

苦しむこいしを一人になんか、絶対にしないから!!!!!!

……だから、こいしに許してくれとは言わないけど…………私と、これからずっと一緒にいて欲しいのだー!!!!!!」


「っ!!!!!!!?…………う、ぁぁ……!!

……ル、ルーミア…………ルーミアァァァァァァ!!!!!!!!

ひぐっ、うぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!!!!」



ルーミアがくれた、私を一人にはしないという言葉。

ずっと一緒にいて欲しいという言葉が、凍てついた私の心を一気に溶かした……!

瞬間、ぐちゃぐちゃになった私の気持ちが体の奥から込み上げ、涙と共に盛大に噴火する!



「うぁぁぁぁぁぁ!!!!

ひぐっ……ごめんなさい、ごめんなさいルーミア!!!!!!

……ぐすっ……私、もう気持ちを裏切ったりしない!!!!

二度と、ルーミアやフランを傷付けたりしないからぁぁぁぁ!!!!!!!!」


「うん、ありがとう……ありがとうこいし…………!!!!

私も二度とこいしを傷付けたりしないのかー……!!!!

二度と、こいしの心の傍を離れたりしないのだー……!!!!」



大きな泣き声をあげながらルーミアに強くしがみつく私。

そこでルーミアの優しい温もりを感じながら、私は御義姉様が帰ってくるまでルーミアに抱き着き続けながら、苦しかった気持ちを涙と共に吐き出したのだった…………。






ーーーーー

以上、二人目フラグ&フランを除いた形の絆形成回でした!




さて、それでは連絡ですが、筆者こと愛式未来は今月19、20日にセンター試験を受けます。


そのためこれから1月から3月中頃までは不定期更新となるので、大変申し訳ありませんが御了承下さい。


尚更新する際は、一度に2〜4話程を一気に更新するつもりです。




それではまた次回にてお会いしましょう!

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