表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

さよならのハンカチ

作者: さなりこ

はるとくんは、はじめての小学校がちょっぴり不安でした。

でも、となりの席のゆうたくんが「いっしょにあそぼう!」とさそってくれて、すぐに仲よしになりました。


いっしょにドッジボールをしたり、べんきょうをおしえあったり、雨の日は図書室で本をよんだりしました。

「はるとはすぐにわらうから、おもしろい!」

「ゆうたのなわとび、すごいな!」

ふたりはいっしょにすごすのが、だいすきでした。


だけど、ある日、ゆうたくんが言いました。

「ぼく、ひっこすんだ」


はるとくんの心が、ぎゅっとなりました。

「いやだよ! ずっといっしょがいいのに!」


ゆうたくんはにっこりわらって、ポケットからあおいハンカチをとりだしました。

「これ、はるとにあげる。ぼくのおきにいり」

「えっ、いいの?」

「うん。ないたときも、うれしいときも、これでふけるでしょ?」


はるとくんは、きゅっとハンカチをにぎりました。

「ぼくも、ゆうたにあげる!」


ランドセルの中から、おなじあおいハンカチをとりだして、ゆうたくんにわたしました。

「これで、ぼくらはずっとともだちだよ!」


ふたりはぎゅっとハンカチをにぎって、さよならをいいました。

そして、おたがいのハンカチをポケットに入れて、新しい一歩をふみだしました。



***



それから、はるとくんは毎日ゆうたくんのことを思い出しました。

おにごっこをしているときも、べんきょうをしているときも、ポケットのハンカチをぎゅっとにぎると、ゆうたくんのえがおがうかんできます。


ある日、はるとくんはドッジボールの試合でころんで、ひざをすりむいてしまいました。

「いたい……」


なみだがこぼれそうになったとき、ポケットのハンカチをそっととりだしました。

「ゆうたのハンカチ……」


そのとき、はるとくんはゆうたくんの言葉を思い出しました。

「ないたときも、うれしいときも、これでふけるでしょ?」


はるとくんはハンカチでなみだをふいて、ぐっとこぶしをにぎりました。

「ぼく、がんばるよ!」


それからも、うまくできないことがあったり、さびしくなったりしたときは、ハンカチをにぎりました。

そうすると、ゆうたくんが「だいじょうぶ!」っていってくれている気がしました。


***


そして一年後。


ある日、おかあさんが手紙をもってきました。

「はると、ゆうたくんからお手紙がとどいたわよ」


「えっ!」


はるとくんはドキドキしながら手紙をひらきました。


——

「はるとへ

ひさしぶり! こっちの学校にもなれて、たくさんともだちができたよ。

でも、はるととのことは、ずっとおぼえてる。

このまえ、おひるごはんのときに、はるとがくれたハンカチをつかったよ。

やっぱり、はるとのことを思い出した!

だから、また手紙をかくね!」

——


はるとくんは、ポケットのハンカチをそっとにぎりました。

「また、ゆうたにあえる日がくるといいな……」


そう思うと、なんだか心がポカポカしてきました。

「ぼくも、おへんじかこう!」


はるとくんは机にすわって、たのしく手紙を書きはじめました。


ハンカチは、ふたりをつなぐ“ひみつのきずな”みたいだね。

これからも、ずっとともだち!


—— おわり






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ