リズヴェッリャーレへの手紙
残酷な貴族社会で生きる兄と妹の幸せ探し。
「お兄様、幸福とはどこにあるのでしょうか?」
世界は涙の谷でできていると知ったのはまだ小さな子供の頃でした。
戦争、災害、不作、略奪、疫病。
領地は荒れ果て、人々は貧困で苦しんでいました。
馬車の中からその様子を目の当たりにして、わたくしはお兄様に問いかけずにはいられませんでした。
「虹の向こうに幸せの国があるとよく言われますが、本当にそんなものはあるのでしょうか」
「リズヴェッリャーレ」
二つ年上のレッジェーロお兄様はいつも沈着冷静で答えに淀みはありませんでした。
「幸福とはただの言葉に過ぎず、愚者の見る幻想と言い替えても間違いではない。極論を言うならば幸福などこの世のどこにも存在しないし、生の本質は嘆きであり悲しみであり、人はそれに翻弄される哀れな生き物でしかない」
「幸福が無いのならば、人々は何を支えに生きていけばよいのですか」
「何も考えず、ただ与えられた環境で生きる、それだけだ。幸福とは何か? などという問いの答えは誰も持ち合わせておらず、ありもしない幸福を求めるから人は不幸になるのだ」
空は厚い雲で覆われ、街は荒れ、人々の表情は皆曇っていました。
馬車は荒れた街の中を領主館に向かって走り抜けました。
世界が荒廃した時に必ず出てくるのが「救世主」の話です。
「救世主の噂はご存知ですか?」
「ああ。世界が滅びに瀕した時に現れて、奇跡を起こすという話だが、どこまで真実かはわからない」
「救世主が現れなければ、この世界は本当に滅びてしまうのでは?」
「滅ぶべくして滅ぶのだから我々にはどうすることもできない。変化を望まぬ貴族たち、奢侈にふける貴族たちは自ら滅びを選択してしまったのだ。少数の特権的な貴族が支配階級となる政治体制の維持を最優先としてしまった結果が今の世界なのだよ。とどのつまり滅びを望む者に滅ぶなと言うのは難しいということだ」
* * *
貴族たちが平民たちから収奪するのは日常茶飯事でした。
弱き者は淘汰され、貴族たちは当然の如く自分たちの地位を享受しました。
その結果、世界はどんどん荒れ果てて行ったのです。
それでも、貴族たちは容赦なく平民たちから奪い、華やかな生活を続けていました。
「貴族とは世界が終わりを迎える日まで貴族でなければならない。それが選ばれた我らの宿命である」
「我らは誇り高き貴族、死に際も美しく散らなければならないのだ」
などと誇らしげに語られる貴族達の言葉は、ただの言い訳にしか聞こえませんでした。
幼い頃はいつもお兄様と一緒に領地を駆け回っていました。
二つ年上のお兄様の後をどこまでも付いて回りました。
しかし10歳を迎える頃には、淑女としての教育が始まりました。
殿方を引き立て、殿方の為に着飾り、殿方のために子供を生む、それが貴族の娘の義務でした。
12歳の誕生日には婚約者も決まりました。
可も不可もない穏やかな男性で、その方と穏やかな家庭を築くのだろうと漠然と考えていました。
幼い少女は、現実という残虐で無慈悲な獣の正体をまだ理解できていませんでした。
* * *
15歳になっても「月の使者」の訪れのない娘を、お父様はお医者様の診察を受けさせました。その結果、この先も「月の使者」が訪れることは無いと診断されました。
それを聞いて激怒したお父様に拳で殴られました。
首がもげるのではないかと思えるほど激しい衝撃でした。目の前がチカチカして、涙で何も見えなくなりました。
「リズヴェッリャーレ、おまえの顔は二度と見たくない!」
と憎悪に満ちた声で言われました。
ああ、人はこんなにも他人を憎むことが出来るのだと初めて知りました。例えそれが実の娘であっても。
「貴族の義務を果たせぬ娘など廃棄物同然だ! おまえを愛する者はこの世のどこにもいないと心得よ!」
15年間育てた娘が実は無能だと分かれば、怒るのも仕方がないのかもしれません。
その日のうちに領主館を追い出され、東の塔に幽閉されました。
侍女もメイドもいなくなり、朝と夕の粗末な食事のみがかろうじて届けられました。
婚約も破談になりました。
* * *
埃っぽい部屋。
ボロボロの毛布にボロボロの衣服。
パサパサの髪にカサカサの肌。
水は冷たく、お肌はどんどん荒れていきました。
全ての希望がついえてしまった囚われの身には、干からびる未来だけが待っていました。
「リズ」
東の塔を訪ねてきたのはレッジェーロお兄様でした。
「お兄様、どうしてここに」
「来い」
腕を掴まれて、長い階段を下ってゆきました。扉を開けると、そこは薄暗い地下室でした。
「ここは俺の秘密の研究室だ」
いろいろな機材がごちゃごちゃと並べられ、薬品の臭いが漂っていました。
簡易寝台に腰を下ろし、室内を眺めていると、お兄様に言われました。
「貴族ではなくなった者は人間として認められない、そこらにある花瓶と同じ、いや花瓶は役に立つがおまえは何の役に立たない廃棄物だからそれ以下だな」
「うっ……」
容赦なく残酷な現実を突きつけられました。
「役立たずの廃棄物をどう扱おうと文句は言う者はいないだろう」
ニヤリと笑ったお兄様の手が伸びてきて顎をクイッと持ち上げられました。
「おまえは今日から『肉便器』、すなわち俺の『性欲処理装置』になるのだ。かねがね『性欲処理装置』が欲しいと思っていたところにちょうどよいものが手に入ったよ」
「え……?」
その意味が理解できないほど幼くはありませんでした。
一部の奴隷や賤民が性的な奴隷のように扱われているという噂を耳にしたことがありました。まさかそれが我が身に降りかかってくるなどとは夢にも思いませんでした。しかも相手は血を分けたお兄様なのです。
「親父殿にも資源は有効活用すべきだと申し上げたのだが、年寄りは頭が硬くてな、男が本来硬くすべきは頭ではなく股間であろう」
「お兄様」
「溺愛していた娘を抱きたくない親など存在しないというのに、妹を抱いていいかと問うと変質者呼ばわりとは、下らない固定観念に囚われた俗物というものは本当に度し難くて困る」
抱くというのは性的な意味で抱くという意味なのです。
「本気でおっしゃっているのですか?」
「リズ、おまえも俗物の仲間か? まあ、廃棄物が何を言っても取り合うつもりはない。服を脱げ。おまえは人ではないのだから恥じらいは捨てよ」
「でもお兄様……」
躊躇いなどおかまいなしに、服に手が掛けられました。
「あ……」
薄汚れたドレスが剥ぎ取られ、粗末な下着も脱がされました。
あっという間に一糸まとわぬ姿になってしまいました。
股間を見たお兄様は一際大きな叫び声を上げました。
「毛が生えているではないか!」
まるで重罪人を見るような厳しい視線でお兄様に非難されました。
「いついかなる場合でも陰毛の処理を怠るべからず! 子供の頃のおまえのツルツル具合がいかに神がかっていたか、教える必要がありそうだな」
子供の頃と違い成長した今は羞恥というものがあります。
「うう……」
両手で股間と胸を隠していると、お兄様は机の引き出しを開け、ガサゴソとあるものを探し出してこちらへ放りました。
「その『お手入れセット』を使って処理をするんだ。今夜中には終わらせるように」
陰毛の処理を自分でしたことがないので戸惑うばかりでした。
「どうすれば……」
浴室に連れていかれ、お兄様が持ってきた鏡の前に座らされました。
「ほら、ここで処理をするんだ。やり方は取扱説明書を読めば分かるはずだ。俺は研究で忙しいから向こうに行っているからな」
お兄様が去った後、鏡に映った自身の生殖器を見ながら悪戦苦闘の末、『お手入れセット』を使い陰毛をツルツルに剃り落としました。
なんとか処理を終えると、お兄様から声がかかりました。
「シャワーを浴びて汚れを落としてこい。俺は潔癖症だから汚れた身体を抱く趣味は無いのだよ。左に捻るとお湯が出るので調節は自分でするように」
身体を洗い、お兄様が用意してくれた下着とドレスを身に纏い研究室に戻ると、テーブルの上にサンドウィッチが並んでいました。
グゥーとお腹が鳴りました。
「さあ食べろ。俺は腹が減ってないからおまえが全部食ぺてよい。残さずにしっかりと食べれば肉付きもよくなるだろう。ガリガリでは抱く気にもならんからな。オッパイとおしりがプルンとしているのが必須条件だぞ」
食事が終わると、歯ブラシと歯磨き粉を渡されました。
「食後の歯磨きはけっして忘れてはならん。食べカスの付いた歯でキスなど言語道断だし、なによりもキスに拘りを持つのはとても大事だぞ」
夜が更けひんやりとした空気が漂ってくる頃、お兄様は注意喚起を促しました。
「いいか。お腹を出したまま眠るんじゃないぞ。冷えは大敵、万病のもと、体調を崩す原因になりやすい。もしお前が病気になっても誰も助けに来ないということを心に刻み込んでしっかりと体調管理をするんだ」
廃棄物となった者を診てくれるお医者さんはこの世のどこにもいないのです。
「はい……」
ひさしぶりにお腹いっぱい食べたせいか猛烈な睡魔が襲ってきました。
コクリ、コクリ。
「なにをうとうとしているのだ。眠るんじゃない! おいっ! 俺がおまえを運ばねばならんではないか。仕方がない、今日だけだぞ。明日は自分の足で歩いて塔に帰れよ。それにしてもなんて軽いんだ……もっと食べさせなければならないな」
翌朝目が覚めると、東の塔のベッドの上でした。ボロボロだった毛布は新しいものに取り換えられていました。
* * *
お兄様は注文の多い人でした。
妹を自分の好みに塗り替えようとしているようにも見受けられました。
物でしかない、いいえ、廃棄物でしかないものを、どのように扱ってもかまわないと考えていらっしゃるのでしょう。
自分の好みの服を着せてうんうんと満足げに眺めたり、食事や健康管理は特に口厳しくおっしゃっていました。
一緒にいる時間が多くなるにつれ、お兄様はなんでもできる器用な人だというのが分かりました。
子供の頃から手先はものすごく器用だということは知っていましたが、服を繕ったり、髪を切ってくれたり、あげくに自作のスイーツまで作りました。
「あーーっ! また失敗してしまった! 俺は失敗作を食う趣味はないからおまえが全部食べるがよい」
「これのどこが、失敗作なのですか?」
とても美味しそうなスイーツです。何が失敗なのか判断できかねました。
「拘りの無いおまえには分からんのも仕方があるまい。完璧主義者を標榜する者にしか理解できない匠の世界がこの世には存在するのだ」
失敗作と言われるスイーツは、頬が落ちそうなほど甘く身も心もとろけそうでした。
「これで失敗なら、成功したスイーツはいったいどんな味になるのでしょうか」
「成功作は俺自ら食すからおまえは食べられないぞ、残念だったな」
「はあ……」
いつか食べてみたい気もしますけれど、廃棄物にとっては失敗作でも十分に美味でした。
お兄様の完璧主義は日々の研究でも同様でした。
「食後にこれを飲むように。体調に変化が表れたらすぐに知らせるんだ、いいな」
「はい」
渡されたお薬を飲み、時間経過とともに訪れる変化に注意を払いました。
「今日はこれ、明日はこれ、まだまだ続くぞ」
毎日のように渡される謎のお薬。なんのお薬かは、ただの実験台に明かされることはありませんでした。
「ああ、研究が捗るなあ。やはり人体実験は研究者にとっては必要不可欠だよ。おまえを廃棄物にしてくれた親父殿にはいくら感謝をしてもしきれないくらいだ」
研究に没頭しているお兄様はものすごい集中力でした。ときどき妹がいることなど忘れて研究に耽っていました。
人体実験を繰り返すその様子は、傍から見ればきっと悪魔に身を売り渡したマッドサイエンティストに見えたことでしょう。
お兄様と一緒にいるとつい忘れてしまいます。この世界は腐った貴族制度を採用した残酷で無慈悲な世界だということを。
貴族とは足の引っ張り合いが常だと分かっていたつもりでも、本当の意味では全然理解できていなかったのかも知れません。そのことをこの後思い知ることになりました。
いきなり軍靴の音を大きく響かせて研究室にやってきた王国親衛隊が罪状を読み上げました。
「悪魔の使徒レッジェーロ、貴様を拘束する」
「なんだと?」
お兄様は王国親衛隊を睨みつけました。
「何か証拠でもあるのか?」
「悪魔との契約書が押収済みだ」
王国親衛隊はルーン文字が書かれた羊皮紙を突きつけました。
「謀ったな、貴様ら!」
悪魔との契約書が本物かどうかは見極められませんでした。あっという間にお兄様は王国親衛隊によって強制連行されました。
それはおそらく日々薬品を開発し続けるお兄様を陥れるための捏造だったのではないでしょうか。
廃棄物にはなにも知らされることなく、再び幽閉生活に戻りました。
* * *
その後、メイドたちの噂話をドア越しに耳にして愕然としました。
連行されたお兄様は裁判後即処刑され、死体は処刑場で今も晒しものになっていると……。
「そんな……どうして……」
自らの権益を守るために他者を陥れる、それが貴族なのだと痛感しました。
「お兄様、どうか安らかにお眠りください」
長い時間、亡くなったお兄様を偲び祈りを捧げました。
それから間もなくのことでした。体に変化が訪れたのです。
お腹が日に日に大きく膨らんでいきました。
ドカドカと大きな足音を立てて、お父様とお医者様が東の塔を訪れました。
お兄様の遺言で「もしリズヴェッリャーレの体に変化が表れたら診てやってほしい」と言われたのだそうです。
「この役立たずが! 廃棄物の分際で迷惑ばかりかけおって」
お父様は怒り心頭のご様子でした。
「申し訳ありません」
息子が処刑された上、娘までもが厄介ごとを運んできたのですから、お怒りはごもっともなのかもしれません。
お腹を診察したお医者様は、驚愕の叫び声を上げました。
「こ、これは! 妊娠している!」
「なっ! こいつは無能のはずだ。妊娠などありえん」
「いえ、事実です。しかも、ただの子供ではない、眩いばかりのオーラを放つこの赤ん坊はまさに光の化身……救世主のみが持つ天上の輝き!」
「ばっ、ばかな!!」
そして、世界が一変しました。
* * *
東の塔から領主館へ戻ると、王族、上級貴族、教会関係者等が次々に訪れました。
皆口々に祝福の言葉を述べられました。
「これで我が王国は安泰だ。よくやった、メッサッジェーロ伯爵。褒めて遣わすぞ」
王族に褒められてお父様は鼻高々でした。
「光栄の至りでございます。神の寵愛を受けし娘は、我が家の至宝にございます」
「リズヴェッリャーレ様、お子様の教育は是非教会にお任せください」
教会関係者の言葉に王族が異議を唱えました。
「何を言うか。救世主の教育は王家が担うと歴史が語っておる」
まだ生まれていない子供の争奪戦が目の前で繰り広げられていました。
お父様はおろおろし、わたくしは冷めた目でその様子を眺めていました。
ある日、お兄様の専属だったメイドから一通の手紙を受け取りました。お兄様の身に何かあった際に届けるようにと言い渡されていたようです。
「お兄様……」
封を切り、その手紙に目を通しました。
リズヴェッリャーレへ
リズ、愛しい妹。おまえがこれを読んでいる頃、俺は既に地獄へ落ちているだろう。
俺がこの世を去っても俺の意志は生き続ける。
お腹の中にいる赤ん坊は救世主だ。
救世主を殺せる者は存在しない。
リズ、救世主の母として生きろ。
もう誰もおまえに手を出せない。もう誰もおまえを傷つけることはできない。
おまえをこの腕に抱いたあの日々は何にも代えがたい至福の時間だった。
全てを賭けるに値する尊い存在だった。
忘れるなかれ、冷えは万病のもとだ。それと陰毛の処理も怠ってはならん。
地獄の底より幸福を祈っている。
レッジェーロより愛をこめて
お兄様は手紙の中でもお兄様のままでした。
「お兄様……お兄様!」
手紙を抱きしめてその場にくずおれ、小さな子供のように泣き叫びました。
* * *
ああ、お兄様はいったい何を考えていらしたのでしょう。お腹の中に救世主を顕現させたお兄様。もうこの世にはいらっしゃらないお兄様。
ベッドの中でのお兄様を思い出します。
口調は厳しくとも、その手はやさしく快楽の岸辺へ誘ってくださいました。
「貴族とはなんとバカの集まりなのだろう。こんなにかわいい妹を廃棄処分になどとやつらの審美眼ほど当てにならんものはない。妹を存分にこの腕に抱けるという意味では俺は幸運だったのかもしれんな」
ツルツルの股間に顔を埋めながらお兄様はつぶやきました。
「おお、リズヴェッリャーレ、おまえは最高の『性欲処理装置』だ」
お兄様は何度もわたくしの中で果て、わたくしもお兄様の腕の中で頂きを迎えました。
今思えば、あれは夢のような時間だったのかもしれません。
「おまえを愛する者はこの世のどこにもいない」と宣告され、絶望の未来しかなかった廃棄物に訪れた唯一の愛の瞬間だったのかもしれません。
愛を下さったお兄様は、愛のない世界で生きろと、残酷な言葉を手紙に書き残してあの世に旅立たれてしまいました。
お兄様のいなくなった世界は今もこうして存続していますが、わたくしの目には全てが空虚で灰色に染まって見えます。
* * *
赤ん坊は「ヴィットーレ」と名付けられました。
お兄様の面影を色濃く残したヴィットーレ。光り輝くオーラをまとい、奇跡を起こしました。
齢10にして、侵略者を駆逐し、天災を未然に防ぎ、荒れた土地を再生し、賊を打ち倒し、病魔を祓いました。
「僕は生まれた時から使命を帯びている。魂に刻み込まれているんだ。どんなことをしてでもリズヴェッリャーレを護れと」
「まあ、ヴィットーレ」
王都の公園を歩きながらヴィットーレと話しました。
「リズヴェッリャーレがもしも害されるようなことがあれば世界を滅ぼすようプログラムされているんだ」
おそらくそれはお兄様が書き込んだプログラム。
「救世主は世界を救うだけじゃなく、滅ぼすことだって出来ちゃうんだよ」
無邪気に笑いながらそう告げるヴィットーレ。
「最愛の母上、ずっと僕だけを見ていてくださいね」
跪いたヴィットーレは、手の甲にくちづけを落としました。
「あなたが望む限り、僕は人の役に立ってみせましょう」
光り輝くオーラの奥底に、禍々しい漆黒の獣の存在を見て取りました。
「ああ……なんてことを、お兄様……」
漆黒の獣が目覚めた時、間違いなく世界は滅んでしまいます。
それは誰にも明かせない、わたくしだけの秘密になリました。
* * *
「救世主もきっとツルツルがお好きに違いありません」
Canva で生成したイラストです。
幸せに気付いたときには、既に手のひらからこぼれ落ちた後でした。