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帽子で隠れた三日月

作者: ようた

 わたしは、月を見るのが大好きだった。毎日外に見に行くのが習慣になっていた。夜になると綺麗に光る月は地球上最も美しいと感じた。また、その月の色と同じ自分の目をとても誇りに思っていた。お父さんは、わたしと同じ目をもっていたけどお母さんはわたしと同じ目の色ではなかった。少し寂しかったけど家族は、みんなわたしを可愛がってくれた。

 ある日、わたしが自分の目の色を嫌いになる出来事があった。それは、小学校に入学してから起こった。わたしは、保育園に行っていなかったためはじめて同年代の子と遊ぶことができるのだと楽しみにしていた。だけど、なぜかみんなから避けられた。わたしが話しかけるとみんな無視をした。机に落書きをされていた。

「お前の目は気持ち悪い」

「呪われた目の色」

わたしはあれほど好きだった自分の目の色がその日から嫌いになった。みんなと目を合わせるのが怖くなった。みんなに嫌われるのが怖かった。わたしはただみんなと楽しく遊びたかっただけなのに…

 わたしのお母さんがある日麦わら帽子を買ってきてくれた。

わたしの住むところは、日差しが強いのでみんな麦わら帽子をかぶっている。わたしは、麦わら帽子のおかげで自分の目が見えにくくなってることに気がついた。これなら、みんなと一緒だし無視されないと思った。

 次の日学校に行くと前よりは、無視されなくなった。

月日が流れていくとみんな、はじめのことがなかったかのように普通に接してくれた。同年代の子と遊べるのが嬉しかった。

とても、楽しく月日はあっという間に過ぎ去っていた。

 ある日、自分が月を見る習慣がなくなっていることに気づいた。あれだけ好きだったのに自分がそんな簡単に習慣を変えてしまったことがとても悲しくなった。月を見ようとしたら見えなかった。なんでだろうと思った。わたしは、麦わら帽子をかぶっていた。もちろん、取ろうとした。でも、取れなかった。小学校に入学したときの思い出が蘇ってきた。帽子を外すのが怖かった。誰もいないはずなのに外では、外せなくなっていた。でも、どうしても見たかった。

 そして見えた月は麦わら帽子で隠れた三日月だった。

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