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『夏のホラー2023』投稿作品

防災無線の鳴る頃

作者: 桜橋あかね

ねぇ、知ってる?


この街の防災無線って、毎日午後の5時に鳴るじゃん。


ただね、一ヶ所だけ違う『音』が鳴る所があるらしいよ。


それを聴いた人はね――


▪▪▪


(はぁ、はぁ……観たいテレビが終わっちゃう!)


小学5年生の(みなと)は、学校のクラブを終えて家に帰っていた。


(あと、もうちょっと!)

丘を越えて、見慣れた古いポストがある角を曲がろうとした時だった。

午後の5時を知らせる、防災無線が鳴り響く。


(……?)


湊は、違和感を覚えて足を止める。

いつもは町の町歌(ちょうか)が流れるはずなのに、違う音が聴こえたのです。


耳を澄ませてみると、どこか聴いたことがあるような音。

でも、それは町歌に紛れて(かす)かに聴こえるだけ。


「うーん……まあ、いいか」


大した音ではない、そう感じた湊は家の方へ向かうのだった。


▪▪▪


それから、というもの。

湊の周りで不可解な事が起きました。


「……えっ?僕たちが飼っていたちよちゃん死んじゃったの!?」


あの音を聴いた数日後、クラスで飼っていたウサギの『ちよ』が急に死んだと先生から聞いたのだ。


「ああ、本当さ。昨日は元気だったんだが、朝冷たくなっていたんだ」


ウサギは寂しいと死ぬ事は、5年生の湊でも知っていた事だが……

腑に落ちないのは、他のクラスのウサギと一緒に飼っていたのに()()()()()()()()()()というもの。


死んだ理由は、正直わからない――

そう先生が付け加えた。

それ以上、湊は言えませんでした。


(ちよちゃん、可愛がっていたのに……)

そう思いながら湊は教室を出ると、同級生の早良(さがら)まほが話しかけた。


「ねえ、湊くん」


「……なに?早良(さがら)さん」


そう返すと、まほは表情を曇らせながら手招きした。

着いていくと、正面玄関の下駄箱に案内された。


「……朝、全然気付かなかったけど」

そうまほが言いながら、湊の靴箱を指差します。


(………!?)




そこには、血のような真っ赤な手のあとがあったのです。




「ん?どうしたんだ、二人とも」

その時、たまたま教頭先生が通りかかりました。


「……先生、これ」

僕は、静かな声で例の血塗られた部分を指差しました。


「なんだ、これは」


教頭先生は聞きますが、湊は『分かりません』と言わんばかりに首を横に振ります。


悪戯(いたずら)にしては、やり過ぎだな。……俺から、校長に話を通しておくぞ」


その言葉に、湊は頷きました。


▪▪▪


あれから何事もなく過ごしていた湊だったが、またクラブが遅くなって走って帰っている途中でした。

あの日のように、古いポストが見えた時でした。


午後5時を知らせる、防災無線の音楽が聴こえました。


(……!?)


また違和感がして、湊は足を止めます。

あの時には(かす)かに聴こえていた『違う音』がしっかりと聴こえました。


『 コノサキハ イッチャダメ 』


音だと思っていたのは、あの子の声―――………


▪▪▪


「ねぇね、知ってる?」


「なに、早良(さがら)さん」


――防災無線のウワサ、キミは知っている?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] ~です。~ました。調と ~のだ。~た。の混在。 [一言] うーん、謎ですね。 何がどう関連してウサギが? 怖くはあるものの、私にはなぜそうなったのかが分からなかったです。解説をお願いし…
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