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 翌朝。

 晃輔は案の定、ほとんど眠ることはできなかった。


 そう思っていたら、どうやら晃輔は相当疲れていたのか、いつの間にか眠ってしまっていたらしい。

 晃輔が目を覚ますと、ななの顔が目の前にあった。


「っ……!」


 驚いて声を出しそうになったが、ななはまだ寝ているようなので、なんとか堪える。

 起き上がって昨日寝る前に取り付けた時計を見ると、まだ朝の八時過ぎだった。


「結構寝たな」

「そうね」


 すぐ近くで、ななの声が聞こえてきて身体がビクッとする。

 晃輔は一瞬、心臓が止まったかと思った。


「びっくりした……脅かすなよ……起きてるならそう言ってくれ……」


 寝起きに至近距離で急に声を掛けられる側の気持ちになってくれ、と晃輔はすぐそばにいるななに苦情を言う。

 晃輔が胸に手をやると、心臓がバクバクしていた。

 そうしてる間に、ななはベッドから起き上がり告げる。


「それは、悪かったわね。それにしても、結構、ぐっすりだったわね」


 そう言って、ななはリビングに向かおうとしたが、ななが突然寝室のドアの前に立ち止まった。

 一体どうしたんだ、と晃輔が思っていると、なながこっちを振り返り告げた。


「寝顔、可愛かったよ!」


 いたずらっぽく瞳を細めてはにかんだななは、それだけ言って、今度こそリビングの方へ向かっていった。


「それは、ずるい……」


 ななのいきなりの不意打ちで顔が真っ赤になってしまう晃輔。

 結局、晃輔は顔の火照りが収まるまでリビングに向かうことはできなかった。


 顔の火照りが収まって晃輔がリビングに向かうと、既に朝食の準備がしてあった。


「おはようー」

「おはよう……」


 リビングには、先ほど部屋を出たなながいる。

 晃輔は先ほどのことを思い出し、再度、顔が赤くなっていくのを感じてしまう。


 晃輔は、冷たい水で顔を洗うなどをして、なんとか落ち着きを取り戻し、改めて今の状況を整理する。

 やっぱり、朝起きて自分の家に幼馴染のなながいることにすごく違和感を感じてしまう。


 ななとは幼馴染のため、昔からそれなりに交流はあったが、学校では品性方向の完璧美少女(パーフェクトガール)であり、あまり関わることはない、だからだと余計に思うのだろう。


「朝ご飯はパンで良い? というか、これしか買ってないけど……」


 晃輔がいろいろ考えていると、ななそう聞いてくる。


「あぁ、ありがとう……」


 家電類は昨日買って、配送をお願いしたので、まだこの家には電子レンジやトースターなどが無い。

 なので、帰りにお惣菜パンを買っておいたのだが、正直正解だと思った。



***



「明日、あおいが来るって」


 朝食を食べてしばらくすると、ななが突然そんなことを言ってきた。


「は?」


 思わず間抜けな声が出る晃輔。


「あおいが? なんで?」

「あおいが生活できてるの? って聞いてきたの。だから私が、早くて、今日か明日には頼んだものが来ると思うって言ったら、私も手伝うって。ほら」


 ななにスマホを見せてもらうと、『私、明日は一日空いてるから、お姉ちゃんたちの家、見に行きたい! ついでに私もお姉ちゃん達のお手伝いするよ!』と元気いっぱいの文書が送られてきていた。


「手伝いはついでかよ……」


 晃輔は呆れを隠そうとせずにそう呟く。


「ごめんね、晃輔」


 申し訳なさそうに、そう告げるなな。


「いいよ、大丈夫。どうせ、あおいは言い出したら聞かないし」

「ありがとう……」

「大丈夫だって。ただ、明日は、忙しくなりそうだな……」


 そう言って、晃輔はななにバレないように小さくため息をした。


 ななとの同居の事といい、なんでこう、あらゆるものが突然起きるのだろうか。

 幼馴染の妹、あおいの急な訪問に、晃輔は頭を抱えるのだった。


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