あおいの疑問
「はーい! 食べちゃお、お姉ちゃん!」
「そ、そうね」
そう言って、二人は同時にアイスを食べ始める。
「そういえば、お姉ちゃん達ってどうすの? 明日から学校始まるけど」
あおいはアイスをひと口かじりして、突然そんなことを聞いてくる。
「どうするも何も、行かないわけにはいかないでしょ」
「いや、そうじゃなくてー、同棲してること言うのかなーって思って」
「なっ……! 同棲なんてしてないわよ! ただの同居!」
あおいの同棲という発言に、ななは顔を真っ赤にして叫ぶ。
そのせいで周りにいる人は何事かとこっちを振り返る。
「えっと……お姉ちゃんごめんね。分かったから落ち着いて」
まだ顔が赤いが、一呼吸してだいぶ顔の赤みが取れてきたなな。
「……落ち着いてるわよ。あと、言うつもりなんて無いわよ。絶対大事になるでしょ」
まぁ確かにこの会話さえ聞かれてなければ、と言いたくなったが、今何か言うと墓穴を掘りそうなので黙っておく。
「うん、そうだよね、安心した。まぁ、間違えなく大事になると思うし、ゴールデンウィーク明けの大スクープになりそう」
「そんなのされたら迷惑よ。私たちにだって生活があるんだから」
「……」
あおいは若干呆れた顔をして晃輔の方を見る。
あおいの反応に晃輔は苦笑いするしかない。
あおいの言いたいことはわかる。見たところななは自覚無いみたいだし、今言うと墓穴を掘ることになりかねないから敢えて何も言わないが。
「はぁ〜、お姉ちゃん、それだと新婚……結婚してる人みたいな言い方だよ」
「へっ!?」
あおいが変なことを言うので、またななが一瞬でゆでタコになっている。
「新婚……結婚……」
顔を赤らめてそんなことを呟いているもんだからつられて晃輔の方まで顔が赤くなってきた。
これはこれで可愛いとは思うけど、周りにいる人がなんだなんだと晃輔たちを見てくるので早く止めなければならない。
「おい、あおいこれどうすんだ?」
「ちょ、お姉ちゃん、戻ってきてー」
正気に戻そうとあおいはななを揺さぶる。
「なな、今日の夜、そのことについて話したいんだけどいいか?」
他の人に聞こえないようにできるだけ小さな声で呟くと、ななはコクリ、と頷いてくれたが、戻りつつあった顔の赤みがまた再燃してしまった。
「あのさ~、お姉ちゃんもお姉ちゃんだけど、こー兄もこー兄だと思うんだけど……」
あおいに呆れた目で見られて、そこではじめてやらかしたと気付く晃輔だった。