バーベキュー3
「でもさぁ、ほんとにこういうイベント事っていつぶりだったかなー」
晃輔たちがバーベキューを楽しんでいると、突然あおいがそんなことを言ってきた。
「たぶん、あおいたちが小学生の時が最後だったんじゃないかしら」
あおいの質問に真実がそう答える。
「あの時はあんなに小さくて可愛かったのに、こんなにも大きくなって。嶺と晃輔はあれだけど、二人ともこんな美人さんになって」
「うるさい」
晃輔は思わずツッコんでしまった。すると、真実が晃輔に向かって声を上げる。
「お母さんに向かってうるさいとは何よ」
「えへへ~」
「あ、ありがとうございます……」
どうやら、ななとあおいは真実に褒められて少し照れているらしい。
「また今度は、海とかキャンプとか行こうね!」
「そうね」
「ああ」
「それで、ななちゃんかあおいちゃんのどちらかが、嶺か晃輔を貰ってくれると藤崎家は安泰ねー」
「っ…………!」
「あ、ははー」
真実が突然変なことを言ったため、あおいはどう返したら良いか困ってるし、ななは顔を真っ赤にして俯いてしまった。
どうすんだよこれ、という視線を送る晃輔。
すると、真実は晃輔の視線に気づいたみたいだが、悪びれもせずににやにやしている。
恐らく、これ以上何を言っても無駄だというのはわかっているので、晃輔は大きくため息をついて話題を変えた。
「はぁ……そういえば、あおいは勉強の方は大丈夫なのか?」
「えぇー! 今それ言う!? せっかくお肉美味しいのに!」
こうして無理矢理にでも話題を変えないと、晃輔たちがいたたまれなくなる。
「いや、それはあんまり関係ないと思うけど……」
「そうね」
「あ! お姉ちゃんまで! ひど!」
「まぁまぁ、それは置いといて、それで、あおいは勉強できていないのか?」
嶺があおいをあやしてるところを見ると、流石最年長だなって感じがする。
無駄に面倒見が良いせいか、妙にお兄ちゃんみがあるというか……勉強はそれなりにできるらしいので、ニートっていう点さえ無ければ結構いいお兄ちゃんなのだろう。
「嶺兄まで!」
「ていうか、ななに勉強教えてもらえばいいだろう?」
「お姉ちゃん、身内にはすごい厳しいから……」
珍しくあおいが遠い目をしている。
身内だとやりにくいとかあるんだろうか。
「そしたら今度、晃輔に勉強見てもらったらどうだ?」
「はぁ!?」
驚き過ぎたのか晃輔の声が裏返ってしまった。
「ちょ、何言ってー」
「やったー! こー兄の家庭教師だー!」
「頑張ってね、晃輔」
「ななまで……」
嶺が余計な事を言うから、勝手に予定が決まってしまった。
結局、このあとの片付けもほぼ全て晃輔がやることになり、片付けが終わり次第藤崎家と楠木家は帰途についた。