10.案の定?
お久しぶりです。
書いたのはだいぶ前ですが投稿忘れてましたorz
携帯からの投稿なので行ごとの改行はありません。
それではどぞ。
学校にやって来た。
(誰にも見つかってない……よな)
(大丈夫みたいです)
俺たちは学校ということでテレパシーで意思の疎通を図る。
どうやら利子の言うとおり、利子が見えるのは本当に俺だけらしい。
確証はないけど。
教室に着くと、
「よう、雄真」
「ぅいーす」
隣席の赤月敬司が声をかけてくる。
俺はファンタジーだの特撮だのを否定するため、あまり話の合う奴がいない。
つまり、いわゆる友達というのはあんまりいないのだ。
しかし敬司は例外で、高1のときからの友人だ。個人的には親友と言っても遜色ないが、
相手がどう考えているか知らないので明言はしないでおくことにした。
何はともあれ、いつも通り敬司と雑談を……
……待てよ。そうしたら利子が暇を持て余すことになるのだろうか。
(心配はご無用ですよユーマさん)
(テレパシーなのか地の文読みなのかはあえて聞かないでおく)
気にしすぎか、ということで雑談を始め……ようとしたが、
「悪い、ちょっとトイレ行って来るわ」
と、早々に敬司が教室から出て行ってしまったため手持ち無沙汰となる。
(杞憂だったか)
(さぁどうでしょう)
あきらめて高校生っぽく授業の準備などしてみることにする。
一時間目は……古典だ。
鞄をあさる。……あれ、古典忘れたか?
机の横の鞄をかき回していると、利子も加勢を始めた。
「浅野」
背後から俺を呼ぶものと思われる声が聞こえたので顔を上げ振り向く。
「敬司はどこだい?」
「あぁ、今トイレに行ったところ」
僕を呼んだのは御社真雪。クラスメイトだ。
ちなみに若干言葉は男っぽいが女である。
腰まで伸びた黒のロングヘアーが特徴的……だが、前髪も長く、両目は前髪で
半分くらい隠れている。顔立ちはかなり整っているが、前髪に半分隠れているので
普段はあまりよく見えない。
そして、彼女は「人を騙すこと」に関して天才的な才能を持っているらしいが、
真偽のほどは不明だ。……というのも、とてもクールで周りのことにほとんど
興味がなさそうな様子なので、あまりよく知らないのだ。
ただひとつ知っているのは、敬司にだけは親しげに接していることだけだ。
「そうか、わかった」
淡々と言って御社は背を向けた。
(ユーマさん、古典の教科書ないみたいですよ)
(あらあら、忘れたか)
鞄をあさるのをやめて立ち上がった利子とテレパシーを飛ばしあう。
「……ん?」
立ち去ったはずの御社がなぜか再びこっちを見つめている。
……いや、視線は俺ではなく、そのほんの少し左の……
……まさか!!
御社は他のクラスメイト達を見渡すと、
「……なるほど」
と呟いて席へと戻っていった。
「……御社!!おい、御社!!」
慌てて声をかけるが、結局敬司が戻ってきたせいで口を噤むことになった。
まずい……
窓の外を見ていた利子は、何が起こったのかわかっていないようだった。
後書き
今回もここまで読んでくださりありがとうございました。
今回登場した御社真雪さんは、去年の夏からずっと書きたかったキャラです。
今後もちょくちょく出す気がしなくなくなくもないのでよろです。
利子からひと言。
「私が学校に来るのを自重してたらどうなったんでしょう」