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輪廻

作者: 夏凪 翔

 夢を見た。

 少し変わった夢だった。

 僕は見知らぬ少女と二人で仲睦まじく歩いていた。会話をしたかは覚えていない。ただ一言、「楽しいね」と元気に言う少女の一声のみが記憶に残っている。

 あの夢は一体何だったのだろうか。


 そう思ったのは目が覚めて数分が経った一月の朝だった。僕は未だ覚醒しない頭で悩んだ。万人がそうとは限らないが二度寝をすると直前まで見ていた夢を続きから見ることが稀にある。

 絶対ではない。

 しかし、今日は十分な時間がある。まだ眠気を帯びた瞼を擦ることなく僕は布団に潜り、再び目を閉じた。


 夢を見た。

 変わった夢だった。

 その場所には何もなかった。建物も植物も、空も地面も何もない。まるで真っ黒いキャンバスの中にいるみたいだ。そんな真っ黒な空間を少女と二人、手を繋いで歩いている。少女の顔は見えないが楽しそうだ。

「楽しいね」

 何がそんなに楽しいのかわからないが隣で元気にはしゃいでいる姿を見ると温かい気持ちになる。好意というよりかは慈愛に近い感情だと思う。親が子を見守る際にはきっとこういう感情になるのだろう。

 やがて少女は僕の手を離し、前方へと駆けていく。必死に追いかけるが距離はどんどん離れていく。

「また、待ってるね」

 先ほどまでとは打って変わった大人びたその言葉にドキッとさせられた瞬間、僕は目が覚めた。

 壁にかけられた時計の時刻は昼を裕に越えていたためさすがに起きることにした。


 朝は食べずとも問題ないが昼抜きというのはさすがに腹が減る。冷蔵庫から冷飯とベーコン、生卵を取り出し、冷凍庫からパック葱と残り少なくなった枝豆を取り出し、チャーハンをつくった。

「そうだ」

 炒め、皿に盛りつけてふと思う。今日見た夢を忘れてしまわないようにメモをしておこう、と。

 急ぎ机へ向かい、新品のルーズリーフを開封しペンを走らせる。十分程で書き終えたがこれを挟むファイルがない。少し冷えてしまったチャーハンを胃に入れ、家を飛び出した。

 このとき僕は知らなかったのだ。夢の先を知ること、それは決して悪く転じることはあろうとも良く転じることはないのだと。


 夢日記とでも言うべき分厚さにまで成長したそれを丁度一年経った今、眺める。あの少女の夢はあの日以来一度も見ていない。

 誰もが見るであろうしょうもない夢ばかりを見ていた。

 綺麗な芸能人とイチャイチャしている夢。

 クラスメイト全員でデスゲームに参加させられている夢。

 出来もしないフェンシングの大会に出る夢など読み返すまでもないものばかりだ。

「はぁ~……」

 今日もまた大きな溜息とともにファイルを閉じ、家の手伝いである境内の掃除を始める。いつの時代からか荒寺を再建し、先祖代々この地を守ってきた由緒正しい家に生まれてしまったが故の手伝いもとい仕事だ。

 ほどほどに広い境内は掃き掃除だけでも一時間を有し、ここから拭き掃除に突入することを考えると気も滅入る。

「疲れた~」

 風呂に入りベッドに潜る。この時期の布団とこたつは驚異的なまでの包容力で僕を眠りに誘う。一仕事終えた後ともなればその威力は絶大だ。

 この心地いい睡魔のでいもあり今日はいい夢を見られそうだと思えて仕方ない。

 明日が休日ということもあり、携帯の電源を切ってから目を閉じた。脳裏に焼き付いた少女の声を思い出しながら―


「いつまで寝てんの!」

「ん……」

 妹に叩き起こされる。

「何?」

「忘れたん?今日出かける日!」

「……そうだっけ?」

 急ぎ歯を磨き、顔を洗い身支度を整える。携帯と財布、読みかけの小説をカバンの中に入れ家族の待つ車に急いだ。

 すぐに出発し、近隣の高速道路に入る。休日だというのに交通量が低いのはなぜだろうか。

 僕は車の後部座席で揺られている。

 八人乗りの車、運転席に父、助手席に母、中部座席に妹、計四人での外出だが一体いつぶりの外出だろうか。僕の大学受験の勉強と妹の高校受験の勉強、母の病発症などが重なり、一年前から何かとすれ違いを起こしていた家族だったために皆で外出できることを嬉しく思う。

「どこ行くん?」

 そう聞きながらスマホのホームボタンを押す。そこにはいつものロック画面が映し出されている。指紋認証で解除し、アプリを開く。

「それも忘れたん?」

 同じくスマホに夢中な妹がスマホの画面を見たまま答える。

「えっと……」

 いくら思い出そうとしても思い出せない。忘れたというよりは最初から知らないのではないかと疑うほどに、だ。

 まぁ行く場所がわからないのであっても問題ないためこれ以上追及はせず、自分のスマホをいじり時間を潰し、程なくして飽き、再び眠りについた。 


 夢を見た。

 少女の夢だ。

 しかし、一つだけ違う点がある。それはあの真っ黒の空間ではないということだ。屋形船だろうか、向かい合って座っているため、一定のリズムで揺れる少女と移り変わる景色が少女の後方の船窓から見える。

「まだなの?」

 少女は座席で浮いた足をぷらぷらさせながら問う。その言葉が一体何に対しての質問なのか僕には全く分からなかった。

 少女は答えに悩む僕を見て微かに笑い、座席から飛び降りた。

「もう少しだけ待ってるね」

 そう告げると少女は甲板へ向かって走っていった。少女の後ろ姿は少し寂しげで、そして少しだけ嬉しそうに見えた。


「着いたよ、起きて」

 朝と同様に妹の声で目が覚める。

 砂利の駐車場から見える古民家は一体何時代を参考にしてつくられたのかと思うほどに雰囲気がある。

「なにここ?」

 見覚えがない。ここが何県なのか、そもそもどんな施設なのか、そして先程からなぜ妹を含む家族の顔が険しいのか、何一つとしてわからなかった。

 それ故の質問だった。

 しかし―

「さ、行こう」

「うん」

 まるで僕なんていないかのように家族は古民家に向かって行く。いずれにせよついて行く以外の選択肢がないため少し不快に思いながらもついて行く。


「ようこそおいでくださいました」

「いえ、本日はどうぞよろしくお願い致します」

 予約でもしていたのか、古民家に入ってすぐに爺と婆が迎えてくれた。しかし、普通の爺と婆ではない。何というべきか、まるで神主のような恰好をしていた。

「さぁ、どうぞ奥へ」

 全くもって不安だが物事を深く知るためには何よりもまず興味を持たねばならない。興味を持ち、それを調べ、求め、探求し、そして知るのだ。

 家族が無視をするのであればこの二人に直接聞いてしまえばいい。

「あの……」

 爺が家族を奥に案内している隙に、婆を呼び止める。

「付き添いで来たので詳しく知らないんですけど、ここは何をするところなんですか?」

「ここは霊を弔う場所にございます」

 そうとだけ告げると足早に婆は奥へと消えていった。その場に残された僕はますます訳が分からなくなった。

 つまりはお祓いに来た、ということなのだろう。しかし誰がいつの間に霊に憑りつかれたのか皆目見当もつかない。否、もしかしたら僕が家族のそういった機微に気付けなかっただけなのかもしれない。

 ここまで来て玄関で待機も酷なものだ。僕は少し駆け足で皆が消えていった方へと駆けて行った。


「それでは失礼致します」

 僕が部屋に入るとすでに妹は祭壇のような場所に寝転がっており、その目を閉じていた。爺はそんな妹の体、正確には頭とへそ、両足の先の計四か所にお札のようなものを張り付けていった。

「四は縁起のいい数字ですからね」

 気味が悪いことを呟きながら爺は延棒のようなものを自分の前に構えた。

「では、始めさせていただきます。もし娘さんが暴れる様でしたらご両親、娘さんの腕をしっかりと掴んでください」

 両親は頷き、爺は呪文のようなことを詠唱し始めた。

 聞き取れない言葉の羅列に異物感を抱きながらも部屋の隅で妹を見つめる。一体いつから霊に憑りつかれていたのだろうか。きっと僕の知らないところで両親と話をしていたのだろう。僕が妹でもまず親に相談するだろうから。

 そんなことを思っていた矢先の出来事だった。

「!?」

 何か声を発したわけではない。妹の体が急に蠢き、そして跳ねだしたのだ。両親は慌てて妹の左右の腕をそれぞれが掴む。

「そのままお願いいたします!」

 爺が叫びながら思いっきり妹のへそを叩いた。

「……えっ?」

 その瞬間妹の顎が人の可動域を大きく逸脱するほどに開き、口から見知った少女がその顔を覗かせた。

「やっとよ。やっと貴方と自由に話せるわ」

 その言葉が言い終わる頃には辺りは真っ黒になり僕は気を失った。


 これが夢なのか、夢でないのかは僕にはもうわからない。僕は自室で目覚めた。現に今僕はいつもと同じ転び心地のベッドに寝転んでいる。

「起きた?」

 だが傍らのゲーミングチェアに夢で見かけた少女が座っていた。それだけでここは夢の中なのだと確信したい。

 そう、未だ確信はできていない。

 今までは自分の見知らぬ場所に最初からいたため夢だと言えたがここは自室で傍らの携帯電話の電源は切れている。まだ薄暗いため時計の場所をやっとの思いで探す。

 時計の針は四時を指していた。

「こっち見て」

 未だ覚醒しない脳で必死に考える。

 もしここが現実なのだとしたら目の前のこの少女はきっと霊的な何かに違いない。そうだとしたら返事をするのはきっとタブーだ。

 屋形船のときと同じように足をぷらぷらさせながら頬杖をつきこちらを見ている。考えるまでもなく可愛く、無視しているのが次第に辛くなってくる。

「いつまでそうしているつもりなのー?」

 そういえば―

「あっ……」

 少女の顔を今まで見たことはなかったな、と興味本位で少女の方を向いてしまい目が合う。その瞬間に悟ってしまった。

 あぁこれは抗えそうにないな、と。

 優しく微笑むその表情、少し大きめの目とまだあどけなさの残る顔立ちに僕は一目で心を奪われた。吸い込まれるような瞳とはこのことを言うのだろうか。

 気付くと僕はベッドから起き上がり少女の元へ歩み寄っていた。

 無意識のままに。

「貴方が私を助けてくれる?」

「えっ?」

 その一言で僕は記憶の片隅にしまっていた記憶の断片を思い出した。過去僕が父親から話してもらった数少ない先祖にまつわる話だ。

 歩みを止め少女の顔をジッと見つめる。先程までのあどけなさとは違い、真剣な表情でこちらを見ている。

「いいよ」

「えっ?」

「僕が助けるよ」

 少女がなぜ僕の夢に度々現れるのかはわからない。しかし、僕にはどうしても目の前の少女が悪い子には見えなかったのだ。

「えっと、じゃあこっちに来て」

 一瞬だけ少女は見た目通りの可愛らしい顔つきになるがそう思ったのも束の間、僕はすぐに意識の水面に沈んでいった。


 喧騒の中、目を覚ます。大道芸をしている人と司会と観客たち、どうやら自分は後者のようだった。客席は熱気に満ちており、ステージのピエロはおどけながらも次々に芸を成功させていく。

 やがてピエロがジャグリングを終えるとピンクの拡声器をおもむろに取り出し、おどけたような声で語り出した。

「僕の華麗なテクニック、見てくれたかな?ここで君たちの中から何人か同じように挑戦してもらうよー!僕に指名された人はステージに来てね!」

 最初に指名されたのは若い夫婦だった。二人してイチャイチャしながらステージに上がり、そして消えた。

「二人には特設ステージに行ってもらったよー!」

 動揺一つ見せない観客一同はきっと誰一人として人間ではないのだろう。この夢に最初から配置されている駒か何かだと思うことにした。

 それから体感にして数十分の時間が流れた。その間、僕は誰かにずっと監視されているような感覚がして動けずにいた。

 が、さすがに痺れをきらしてしまい、一歩を踏み出そうとしたそのときだった。

「あの~」

 一人の女性に声をかけられその場にとどまる。まるで僕が動き出すのを待っていたかのようなタイミングに内心少し戸惑いと苛立ちを覚えながらも声がした方へ振り返る。

「次は私たちの番ですよ。行きましょう?」

 そう言ったかと思うとその女性に腕を掴まれ、多人観衆の間を縫っていくかのように走っていく。僕はてっきり特設ステージとやらに行くものだと思っていたが連れてこられたのは西洋とも東洋とも言えないなんとも不思議な造りをした建物だった。

 しかし、建物に入るとそこは昔の日本のような広い広い屋敷だった。二人が入ると扉は勝手に閉まり、後ろの女性はぴたりと自分にくっついている。

 後ろを振り返らずとも悟った。この女性はあの少女だ。確証はない。しかし確信した。狼狽える僕をまるで観察しているかのような視線、試しに一歩踏み出すと同じように彼女も一歩踏み出す。

「あの―」

「頑張りましょう!」

 言葉も遮られた。ならば、と趣向を変えてみる。

「どうやったら君を救えるの?」

 返事はない。

「君なんだろ?」

 返事はない。

「……君を救いたい」

「………………っ―」

 彼女が何かを言おうとしたそのときだった。

「わぁーーーーー!!助けてくれーーーーー!!」

 絶望の渦中にいるであろう一叫が建物に轟く。誰の声とも知れない声ではあったがこの夢の中であればその声は異質なものだった。

 この夢に僕以外の人がいる?

 この一つの可能性に僕は突き動かされ、少女の返答を待つ間でもなく走り出そうとした。しかし―

「あの場所で待ってるね」

 振り返る。その一言を残し、少女は消えていた。振り返った瞬間に少女が見せた微笑みの意味を考えながら僕は叫び声が聞こえた方に向かって走った。

 通りゃんせ 通りゃんせ ここはどこの細道じゃ 天神様の細道じゃ ちっと通して下しゃんせ 御用のない者通しゃせぬ この子の七つのお祝いに 御札を納めに参ります 行きはよいよい 帰りは怖い 怖いながらも 通りゃんせ 通りゃんせ

 ふと頭に浮かんだメロディは今の状況に酷似していた。

 果たしてこの夢に帰りがあるのかはわからないが僕の歩みは驚くほどに軽く、まるで跳ねるかのように声の方に走っていった。

 程なくしてそれは見つかった。体の至る所がまるでくりぬかれたようになった男の姿がそこにあった。

「あれは……?」

 人だ。見間違いでなければ人がいる。

 庭園だろうか。思えばここは屋敷なのだから庭園があっても何ら不思議ではない。問題なのはその庭園に人がいるということだ。最初に見た少女同様、顔の黒い子どもが二人、それに付き添うように立つ着物の女性が一人、もちろん顔は黒く表情は伺えない。

 あの子たちがこれをやったのか、一瞬そう思ったがすぐに考えるのをやめた。

 極力男に近付かないように、黒い子たちを視界から外さないように僕はその場を離れた。


 屋敷の中を走っているわけだが闇雲に走っているわけではない。

 少女が待ってると言った場所、先程からそこへの道順が明確に頭に送られてくるイメージを感じる。どこを右に行けばいいか、どこの扉を開ければいいか。

 これもきっと少女がやっていることだとは思うが僕は素直に従うことにした。

 頭に伝わる道順を辿り、屋敷を出るとそこは荒れた山道だった。どこか見覚えのある山道を屋敷の中同様、走って上っていく。いくら走っても息が上がることがないのは夢の中だからだろうか。

「あれ?」

 駆けあがったそこには何年も忘れられたかのような廃れた寺があった。僕はその寺にゆっくりと近付き、正面にある賽銭箱をずらした。そこには成人男性ではキツイであろう狭い通路への入り口がそこにあった。

「本当にこの先に……」

 意を決し僕は中へ潜りこんだ。ハイハイの体勢でないと進めないため通路の中で無理矢理体を捻り、やっとこさ前進を始める。コケのような臭いと手に伝わる何とも言えない感触がヤケにリアルで不快感が込み上げる。

「どうして……」

 手を出し、足を出し、その繰り返しで疲れないはずなのに疲労感を感じている自分がいる。密閉空間であり、光もなく、音も無音に等しいこの空間で僕は気付けば涙を流していた。

 辛いわけではない。苦しいわけでもない。悲しくもないし、無論嬉し涙でもない。

 これはきっとあの少女の感情だ。

 進めば進むほどに手足が痺れ、思考が止まっていくような感覚を覚える。進むたびに戻れないような、そんな不要な自覚も芽生えてきた。

 これはきっとあの少女の感覚だ。

 とめどなく流れる涙を拭う暇すら惜しんで僕は全身を続けた。

 やがて僕は少し広い石壁と一面石畳のスペースに辿り着いた。

 その瞬間だった。突然、体の自由がきかなくなり僕は地面に倒れた。それと同時に下腹部を強烈な痛みと不快感を感じ、そしてそれを僕はすぐに悟った。


「そうか……ここは……君は……」


 痛みは数十秒後に消え、体の自由も戻った。

 そして僕は記憶の確認を行うべくこの空間の奥、石壁の一部を押し込んだ。

「やっぱり……」

「待って」

 奥に行こうとした僕を引き留める声が聞こえる。振り返るとそこには悲しげな眼をした少女の姿があった。

「やっとわかった。君が何者なのか。そして僕とどういう関係があるのか」

「いや……いや……いや!!」

 突然喚き出した少女は僕を突き飛ばし、石壁の奥へ消えていった。僕は大急ぎで後を追った。ものの十数秒で突き当りの部屋へ辿り着き、そのまま足を踏み入れた。

「どうして……?どうして……?」

「君が何を欲しているのかわからないけど、恐怖心を煽って、僕を誘惑して、それで君は満足なの?」

 少女の顔が歪んでいく。

「痛み分け?復讐の達成?謝罪?君が望むなら僕は―」

「い゛や゛ぁ゛ーーーーー!!!」

 金切り声が響く。

 立っていられず膝を曲げる。頭が痛くなってきたため頭を抱え、目を閉じる。

 気付いたら僕は―


「大丈夫か?うなされていたぞ?」

「父さん?……大丈夫」

 未だに頭が痛むような気がして眩暈と吐き気に襲われる。

「本当に大丈夫か?」

「うん。……一つお願いがあるんだ」

 そのお願いを口にした瞬間、父は少し驚いた後に僕の頭をそっと撫でた。

「辛かったか?」

「ううん、後で……父さんのときはどうだったのか教えてよ」

「あぁ、わかったよ」


 それから僕と父さんは二人で昇り始めた朝日に照らされながら賽銭箱をずらした。


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