第4話
殴られた。最愛の妹である桜に殴られた。
僕はイカを発射した後、賢者なった。そして、イカ臭い部屋のドアを開けた瞬間そこには最愛の妹が立っていた。妹の存在を確認した瞬間、僕の鼻には激痛が走った。そう、正面から拳で鼻を殴られたのだ。ああ、意識が飛びそうだ。そのせいか頭の中にはまだリビングの方から快感に浸っている声が聞こえる。
「これはお前の声じゃなかったのか?」
鼻の感覚などもう無い。どんどんと奥から鮮血が流れ続ける。
妹が流れ出した僕の血を手で掬って遊んでいる。
「お兄ちゃん、これはね。ラジカセだよ。自分の声を聴いてたの。」
妹の回答は想像を遥かに超えた。立派に育ったな。
「とにかく、ティッシュを取ってくれないか?」
「ひんひんって言ったら取ってあげる。」
妹は僕の血を掬っては飲み、掬っては飲みを繰り返してる。
生物的危機を感じた。
「ひんひん。」
生きる手段は一つしかない。このままではイッちゃう。
「もっと、感情込めて。」
妹は倒れた俺の上に馬乗りになり、満面の笑みを浮かべていた。
「ひーんひんひんひーーぃーぃーんー」
これで助かる。
「きも。臭っ。」
ガラララッ。ペッ。
妹は僕の眼球に痰混じりの唾をかけてリビングに戻って行った。