兄妹の絆①
久しぶりの投稿となります。面白くないと思いますが、暇つぶし程度に読んでください。
斬撃は見事に急所を切り裂いた。これで完全に息の根を止めたと思った。しかし、
ガ…ガ…ガ…
「……!桜、気を抜くな!まだ、やつは生きている!」
「え?」
俺が叫びをあげた頃にはもう遅かった。
完全に駆逐したと思い込み、背を向けている桜に怪物の人間の何倍もの大きさがある右手が直撃した。桜はバットで打たれた球のように飛んでいった。怪物は滞空している桜を目標に初夏に吹き荒れる突風の如く駆けていく。凄まじいスピードだ。
「避けろ!」
死に物狂いで叫んだ俺の声は桜に届かなかった。だめだ。完全に意識を失っている。
「桜っっ!!」
俺は今ある最大限の力を振り絞り、上半身が地面と平行になるほどの速さで走りだす。真昼の砂漠の如く乾燥した地面からは旋風が巻き起こったかのように土を巻き上げる。怪物との距離は約20メートル。怪物は妹にかなり接近している。
「このままじゃ…!」
諦めるしかないのか。また、何も出来ないまま大切な人を失ってしまう。
怪物が攻撃範囲内まで妹に接近した。そして、左手に暗黒の世界を切り裂く薄青色のプラズマを纏い始めた。
「させるか!」
俺の右手に持たれた刃こぼれ寸前の直剣が雲一つない大空に描き出される夕暮れのような茜色の光で包まれる。俺の最強の遠距離系技。ー不死鳥の翼ー
頼む。桜を救ってくれ!
「届けーーーー!」
振り切られたその直剣から放たれた波光は怪物に向かって進み続ける。俺の想いが伝わったかのように。だが、怪物はあたかも簡単に俺の攻撃を避けた。そして、怪物の左手は空中の桜を捉えようとしている。俺はまた大切な人を救えなかった。俺の弱さ故に。完全に諦めたその時だった。
キーン!
空気中の分子を震わせるほどの金属音が響いた。意識を失っていた桜が意識を取り戻し、攻撃をしろがね色に輝く双剣で受け止め、弾き返したのだ。空中で宙返りを一回して、地面に蝶のように優雅に着地する。
「心配かけてごめんね。もう大丈夫だから。」
人形のように優美な顔から笑顔が溢れた。
「生きててくれて安心したよ。」
俺の心中のわだかまりが桜の笑顔によって跡形も無く消え去った。
「兄ちゃん、やつは今までの相手以上に強いよ。一味違う。」
思い返してみればそうだ。あの時、桜の強力な連撃は確かにやつの急所を切り裂いたのだ。しかし、ダウンどころか攻撃が全く効いていないように見える。いや、全く効いていないのだろう。でも、やるしかない。
「桜!援護頼む!」
「おっけい!」
「はあああーー!くらえ、サンダーソニック!」
稲妻を纏ったソニックウェーブが加速していきながら直線状に進み、怪物の胸付近にヒットした。それとともに怪物は膝から地面に着き動かなくなった。
稲妻波ー(サンダーソニック)ーこの技はいくつもの衝撃波を飛ばし、ヒットした相手をしばらくの間麻痺させる効果を持つ技である。
「桜行くぞ!!」
「了解、兄ちゃん!!」
2人の声が同調する。
ーーーユニオン!!ーーー
不定期になりますが、展開が早くなりすぎないように書いて行く予定です。ツイッターフォローよろしくお願いします。