行動
疲れからか泥のように眠っていた俺は誰かに起こされるわけでもなく目が覚めた。うっすら目を開けると同じ天井があった。
起きだそうとして右に寝返りをうつと突然視界が真っ暗になった。
何だ!?敵か!?
確かに自分の目の前に何かがあるのを感じた。少し温かく、ふわふわしている。
そう広くはないベッドの上で目の前のものから距離をとろうと少し下がり、とっさに両手を突き出した。
「あん♡」
「………(あん?)」
手のひらを少し温かくて柔らかい感触が支配していた。手の中にすっぽり収まるほどの球体か?
完全に視界が開けた俺は驚愕した。カメレオンの体液よりも凄まじい衝撃。
俺は理乃さんの胸を思いっきり握っていた。さっき視界が真っ暗になったのは彼女の胸に顔がうずまっていたからだ。
「京一クンって大胆…♡」
「ほんっとすいませんでした違うんですわざとじゃないんです。。。」
「そっかそっか、お姉ちゃん大好きなんだな!?」
話が通じない!?
「失礼します!」
そう言って俺は部屋を飛び出した
廊下を歩きながら昨日のことを思い出した。
とりあえず神谷に能力の発動条件について聞いてみるか。
そう思って俺は神谷の部屋に訪れた。
「ガチャ…)すまない、神谷。ちょっt」
「フン、フンフンフン♪」
なんと神谷がエプロンを付けながら台所で鼻歌を歌っていた。
数秒したあと目が合った。
「バッカ!お前ノックくらいしろよ!」
「ご、ごめん。何作ってんの?」
「ま、マカロン…」
頬を膨らませながら神谷が言った
JKか!?
これ以上言及するのはかわいそうだったので本題に入ることにした。
神谷にお茶を出してもらって机に対面して座る。
「なるほどな。」
「神谷はどーなんだ?」
「俺の場合、そいつは指を鳴らすことだな。なんつーか、能力を使う合図みたいな。」
「あれはそーゆー意味があったんだね。また一緒に出ることあるかもしれないし、神谷の能力のこともう少し教えてくれない?」
「おう、じゃあ…」
神谷は口を閉じた。
「おい、新入り気をつけろ。何かいる。」
そう言うと神谷は指を鳴らした。
「ふぎゃ!」
奇声を上げて机に何かがふってきた。
反射神経を駆使して俺は机の上のものを避難させた。
「貴様ァ…」
机の上にはショートヘアの女の子が顔面から衝突していた。猫耳のフードがついたパーカーにジャージとラフな格好をしている。
「ホモの香り、した」
「してねーよ!さっさと出ていけカス!」
「今のは?」
「仲間だよ。まぁそのうち一緒に出ることになるだろう。で、話を戻すと、俺はさっきみたいに決めた空間の中で指定した人間以外の生物に干渉することもできる。」
「インターバルは?」
「使った能力によるが、だいたい3分。この前みたいにあのサイズのディアブロに長時間干渉した場合は10分。」
「けっこうあるんだね。」
「まぁ、いろいろ模索してみることだな。ほら、俺は菓子作りの続きすっから帰った帰った」
部屋を追い出されるようにしてあとにした俺は今度は園部の部屋に向かうことにした。