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1話
あるところに、魔法の国があった。
その魔法の国は更にたくさんの国に分かれており、主に「火の国」「氷の国」「風の国」「雷の国」「水の国」という国がある。
これはその中でも氷の国に生まれた不幸な少女の話。
*
「まだ力が宿らないのかよ!」
「やーい!出来損ない!」
「神様すらもお前を見捨てたんだな!」
罵倒を一身に受け、涙ながらに耐える1人の少女がいた。
氷の国の民として相応しくない燃えるような赤の髪をおさげにした、まるで太陽の雫のような橙の目をした少女の名はフーと言った。
魔法の国に生まれた者はみな生まれながらにして胸にクリスタルを埋め込まれており、3歳になった際の名付けの儀式の日にそのクリスタルに力を宿すのだ。
しかし彼女、フーは名付けの儀式のときに胸のクリスタルに力が宿らなかったのだ。
それを人々は蔑み、嘲笑ったのだ。
その上、フーは孤児で異端者と呼ばれる老婆に引き取られたのだ、国中の人々がフーを仲間外れにした。