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僕の幼馴染。-フィリオスの側近目線―

 皆様こんにちは。僕の名前はヘムルート=ギルビオンと申します。

 ギルビオン公爵家の二男としてこの国で生を受けました。


 僕が陛下であらせられますフィリオスに会ったのは、僕が6つの時でした。


 僕のフィリオスに対する第一印象は、「この人についていこう」でした。

 まだこれが初めての謁見だというのに、僕はもうフィリオスを主として認めていました。


 そんな威厳を、僕と同い年のフィリオスはもうすでにもっていたのでした。



 ギルビオン公爵家は代々国王の側近を勤めており、僕の父も前国王の側近でした。


 そんな公爵家でうまれた僕の人生はもちろん『国王の側近』で。


 国王の側近になるために、帝王学からすべての学問を勉強しました。

 国王を守れるように、剣の腕も磨きました。


 まだ6歳にしてのこのハードな教育。ですが不思議とこの人生が嫌だなとは思いませんでした。

 もしフィリオスがろくでもない、とんでもない馬鹿だったら嫌になっていたと思いますが・・。


 陛下は誰にでも優しい。

 だからこそその優しさにつけ込む馬鹿な女や従事者たちがあとを絶たない。

 ですがフィリオスは、『人を見る目』をきちんと持っていました。

 そして優しそうな外見からは到底想像できない、国王としての顔がありました。


「不穏分子はただちに始末せよ。この国の毒となる奴はいらない」



 国の役人たちが集まっていていた時にフィリオスが『陛下として』言い放った言葉です。


 その時のフィリオスの顔といったら・・・。ぶるっ。思い出しただけで鳥肌が・・・・。



 ある日のこと。

 フィリオスの執務中に、フィリオスを慕っているという馬鹿な女が突然入ってきました。

 彼女いわく、私こそが王妃にふさわしい、と。


 この時フィリオスにはいくつかの縁談がありました。

 国の役人たちが自分の娘や孫を王妃に、と差し出す中で、フィリオスは毅然として言い放ちました。

 妃はいらない。私は誰とも結婚する気はない。 と―。


 容姿端麗・文武両道・最高権力者のフィリオスが女にもてないはずがない。

 だがフィリオスには浮ついた話が一つもなかった。

 第一に国政、次に妹であるリリア様。


 フィリオスはいつだって民のこと国のことを第一に考えておりました。



 ・・・・と僕は思っていました。あの言葉を聞くまでは―。



「フィリオスが誰とも見合いをする気がないから、狸爺たちはリリア様に縁談を持ち込んでいるそうだよ」


「だがリリアは誰とも会っていないんだろう?」


「そうですね。誰とも・・・。まったく、この国の王族は欲がないねぇ。自分にも無関心だし、結婚する気はないし」


「べつに問題なかろうに。きちんと政は行っているし。国民は文句ないはずだ」


「それはそうだけどー。やっぱりお世継ぎを望むじゃん?みんな楽しみにしてるよ」


「世継ぎね・・・。他の女との子供はいらないな。愛していない女の子供など愛せるはずがない」


(うわぁ。もう駄目だこの人)


「じゃあ、どんな人だったら愛せるっていうのさぁ」


「リリア」


「は?」


「リリア。俺はリリアがいてくれたらそれでいい」


「は?ちょっと待て。それって家族としてってことだよな?」


「何をばかのことをいっている?リリアは家族だ」


「いや、それはそうなんだけど!そうじゃなくって、リリア様をどう思っているかってこと!」


「リリアは俺の心のよりどころだ。愛してるにきまってるだろう?」


「それは家族としてってことか?」


「は?何を今更。女としてにきまってるだろう」


(何を今更、って・・・!僕は初めて聞いたんだけど!?)


「リリア意外いらない。だから俺は結婚しない」


「まじか・・・!そうだったのか・・・!

 いや、まてよ。フィリオスが結婚しなくても、リリア様が結婚したらどうするんだ?」


「リリアが結婚?そんなことさせるわけがないだろうが。リリアの結婚に関しても、俺の承諾がないとできないんだぞ?」


 フィリオスの声が1オクダーブ下がりました。

 リリアを愛してやまない、という男の目にはかすかな狂気が見え隠れしていたのは気のせいか本当か。


「でも、兄妹同士で結婚って・・・。前例がないぞ」


「結婚しなければいい。さっきも言っただろう?ただそばにいてくれさえすればそれでいい。と」


 今度は悲しみの色を携えた瞳が見え隠れしました。





 本気なんだな、と僕は思いました。

 聞けば生まれてからずっと妹としては見てこなかったという。



 リリア様はどう思っているのでしょうか。



 部下に呼ばれて執務室を後にした僕でしたが、最後に見た幼さなじみの悲しみに染まった目を忘れられなくて、仕事が終わった後真っ先にある人物の元を訪ねました。



 ―トントン



「エリー?僕だけど」


「ルート?待って、今開けるわ」


 エリー。

 リリア様付きの侍女で、僕の婚約者でもある彼女なら、リリア様の気持ちを知っているかもしれない。


「ごめんね、こんな夜遅くに」


「大丈夫よ。入って。紅茶でいいかしら?」


「うん。ありがとう」


 エリーの部屋に入ると、さっそくエリーは紅茶をいれてくれました。

 エリーの淹れる紅茶はいつも美味しいです。世界で一番おいしいと思います。


 そういうとエリーは顔を赤くして照れたようにお礼を言います。

 その仕草が可愛いってなんの。


 こほん。今日はエリーを愛でるために来たんじゃないんだ。しっかりして!僕!



「ねぇエリー。自分の大切な人が報われない恋をしていたらどうする?」


 カップを置いてじっとエリーを見つめます。


「報われない恋をしているというのは・・・相手に好きな人がいる、とかそういったこと?」


「あーいや、違うな・・・。うーんなんていうのかな、・・禁断の恋・・?」


「それって陛下とリリア様のこと?」


「やっぱそうだよなぁ。・・・って、え!?知ってるの!?」


「他の人は知らないみたいだけど。私は陛下とリリア様だったら応援するわ」


「陛下はリリア様のことが好きみたいだけど・・・。リリア様はどうなんだろう、って思って」


「あら。知らないの、ルート」


「え?」


「相思相愛じゃない。陛下とリリア様は」


「そうなの!?」


「え、貴方陛下の側近でしょ?そんなこともわからなかったの?」


 勝ち誇ったように言うエリーに内心舌打ちをしてしまいました。


(僕だってフィリオスのことは知っているつもりだ!小さいころから一緒だったし!)


「陛下を見るリリア様は恋する乙女そのものだったわ。今度見てみて下さいな」


 もう夜も遅いから、と早々に部屋を追い出された僕は廊下の壁に寄り掛かって考えます。


 エリーは応援するっていってたな。もしお互いに想い合っているのなら僕は―




 目を閉じて深呼吸をする。



 僕はフィリオスの味方だ。ならば、フィリオスの思い通りに動けるよう、手筈を整えなくては。



 まずは見合いを勧めてくる狸達をどうにかしなくちゃな。




 帝国学園を主席で卒業したヘムルートは、秀麗なその顔に黒い笑みを浮かべたのでした―。








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