私たちは殿下の味方です。-リリア付き次女目線―
皆様こんにちは。
私の名前はエリー=ブライアン。
男爵家の一人娘で、今はここシュナイツ王国王宮勤めの侍女でございます。
私がお従えしているのは、シュナイツ王国国王であらせられますフィリオス陛下の妹君のリリア殿下でございます。
リリア様はそれはもうとても素晴らしい姫君であらせられます。
女神の生まれ変わりかと思わせるほどの美しい姿に、天使のような慈愛に満ちた優しい微笑み。
見るものを一瞬で虜にする、そんな魅力を存分にお持ちでいられます。
誰からも羨やまれる容姿を持ちながらも、決して人を卑下することはございません。
傷を負った鳥が庭に迷い込んでくれば、リリア様自ら手当を施します。
困っているひとがいればすかさず声をかけます。
元気のない侍女を見かけると、自室に招きお茶をしながらお話を聞きます。
誰にでも平等に優しく接する殿下は、私たち侍女・・・いいえ、この国にとってもとてもとて素晴らしい人なのです。
だから王宮にいるすべての人はリリア様を皆さんはお慕いしているのです。
ここに勤められて良かった。
私は心からそう思います。
私も殿下に助けられたことがあります。それも一度だけでなく何度も。
だから私は尊敬する大好きな殿下の味方でいようと、お暇をいただくまでずっとそばにいようと、そう思っております。
先ほど言いましたが、リリア様は私たちに平等に接します。
私たちだけでなく、護衛騎士にも料理番にも、誰にでも平等に接します。
ですがリリア様は、ある人を目の前にすると白い頬に朱がさします。常に前を向ているリリア様ですが、その人に会うと恥じらったように顔を下に向けます。
そのかわいらしい仕草といったら・・・こほん。すみません。つい本音が出てしまいました。
え?さっきから出てるって?ふふふ、それは失敬。
話を元に戻しますわね。
その人というのは、若干18歳にして一国の王を任されました、フィリオス陛下でございます。
リリア様の実の兄君でもある彼は、それはそれはとても素晴らしい君主であらせられます。あの兄にしてこの妹あり。どこかでそのような言葉を聞いたことがありますが、まさにその通りだと思います。
フィリオス陛下も、亡き前国王の生き写しかのようにとても優れた容姿を持っております。
リリア様と同じ色の髪と目。だれが見てもは二人は兄妹だと疑いません。
すらりとした体躯はその体に似つかわしくない大きな剣を振います。
世の女性を陥落させるという笑みも、確かにその通りだなと私は思います。
常に民のことを、国のことを考えていらっしゃる陛下は、私たちの自慢でございます。
あれ、またお話がずれてしまいましたね。申し訳ございません。
リリア様は大変陛下をお慕いしております。
私は始め兄として、しいては国王として、陛下をお慕いしているのだと思っておりました。
ですがどうやら違っていたようです。
リリア様は陛下のことを、一人の男性としてお慕いしているようでした。
私がそのことに気がついたのは、建国記念の式典に参加するためにリリア様の支度を手伝っていた時でした。
私はリリア様のサラサラの髪をとかしながら、どういった髪形がいいかリリア様に声をかけようとしたのですが・・・。
「なんで兄妹として生まれてきてしまったのでしょうか・・・」
ポツリと、本当に小さな声でそうつぶやきました。
他の誰もその言葉は聞こえていないようでした。リリア様も聞かれてないと思ったのでしょう。憂い顔をしながら鏡に映っている自分を見つめています。
私はばっちり聞こえておりました。何せ耳がいいもので。
ですが私は聞かなかったことにしました。にっこりと笑って、「どのような髪形にしますか?」とリリア様に問いかけます。
リリア様は「エリーにお任せするわ。」といってきたので、お言葉に甘えて今流行りの髪形にしました。
我ながらによくできた、と自画自賛しました。
どんな髪形でもリリア様は似合ってしまいます。だからこそ自分の腕前にとても満足するのです。
「準備は整いましたよ、リリア様。バルコニーへ向かいましょう」
「ま、待って!まだお兄様が・・「リリア」
リリア様は陛下と一緒にバルコニーに出たいようでした。
ですが陛下は迎えに来ました。偶然ではありません。20分も前から扉の外で待機しておられたのです。
誰の目から見ても二人は仲の良い兄妹。
ですが私からみると・・・相思相愛の、素敵な夫婦に見えます。
二人が結ばれることは難しいかもしれません。いえ、不可能なことかもしれません。
ですが・・・私は応援しようと思います。
たとえ報われない恋であろうとも。
二人を邪魔するものは私が片っ端から片付けます。
もちろん私だけでは手が足りないので、私の婚約者様にも手伝ってもらいます。
私の婚約者様も、二人の恋を応援しているのですから。
「リリア様。味方はほかにもたくさんいらっしゃいますよ」
「だって私は・・・私たちは、リリア様の侍女ですから」




